自動車

WLTPにおけるPHEV燃料消費率のためのユーティリティファクターの検討

世界調和の燃料消費率に関する国際的な検討の場として「WLTP」がある。WLTPとは国連の「自動車基準調和世界フォーラム」(World Forum for Harmonization of Vehicle Regulations)の一環の「小型車の世界共通排出ガス試験法」(Worldwide harmonized Light-duty Test Procedure, 略称WLTP)ワーキンググループのことで、この中の「EV(E-Lab)」サブグループや「電気自動車・環境」(Electric Vehicles and the Environment, EVE )ワーキンググループなどがBEV/PHEV/HEVに関する検討作業を行ってきている。

これらのワーキンググループでは、BEV/PHEV/HEVの標準試験法や規制リファレンスガイドなどのとりまとめ・提案を行なっており、この中で「世界調和ユーティリティファクター」(Global Harmonized Utility Factor)についても統計データをまとめる方法論などの議論を行なっている。本ブログではここの中で言及しており、WLTP関係の元の資料はUNFCEのサイトから入手可能である。

世界統一試験サイクルWLTC(Worldwide harmonized Light duty driving Test Cycle)による
PHEVのCD(電力走行)レンジおよびCS(ハイブリッド走行)レンジの試験手順
Wltcforphev ユーティリティファクター(UF)とは、PHEVの全走行距離の中に占める充電電力による走行距離の比率すなわち電力走行(距離)割合のことで、この値には国の平均、地域の平均、任意の集団の平均から個人の値までいろいろな定義が可能である。この値は、これら集団~個人のドライブパターン(実働1日あたりの走行距離の頻度分布)から計算で求まるが、統計処理の方法でFUFやIUFのように異なった値が導出される。ユーティリティファクターを使用すれば当該集団または個人の実効的な燃料消費率・CO2排出量が計算できる。

本ブログではユーティリティファクターについて多くの箇所で論じてきたが、総括的には次の3資料が参考になる。

 ① 「プラグインハイブリッド車の燃料消費率 -- ユーティリティファクタ,電力・ガソリン等価合成の考え方」(「自動車技術」2014年7月号執筆記事
 ② 「走行パターンとプラグインハイブリッド車の燃費特性 その1.国土交通省によるPHEV燃費測定・表示の要領」
 ③ 「走行パターンとプラグインハイブリッド車の燃費特性 その2. ユーティリティファクターとPHEV燃費表示の課題」

「世界調和ユーティリティファクター」とは、各国/各地域におけるユーティリティファクターを同じ基準で評価することである。このためには自動車のドライブパターンの統計データ収集作業など各国/各地域における作業が必要になる。WLTPの場では、どのような定義のユーティリティファクターを用いるかなど、世界調和試験法のワーキンググループの目的に適った検討と整理が必要と考える。なお、世界の各国/各地域のユーティリティファクターが得られれば、これらを総合した世界平均のユーティリティファクターを導出することも可能になる。

本稿執筆時点(2015年7月)までのE-Labサブグループの検討においては、フェース1として地域ごとのユーティリティファクターを適用することとし、世界調和ユーティリティファクターに関する検討を引き続き行うとしている。

具体的な提案としては、2014年の会合においてACEAからの参加メンバーから次のような提案が出されている。
 ◯ 各参加国は地域の自動車走行データに基づくユーティリティファクターを作成する
 ◯ ユーティリティファクターの導出方法をGTR 1B(GTR=国際技術規則Global Technical Regulations)に利用可能なデータベースとともに記述する

さらに、2015年のWLTP IWGの会合においてサブグループからの下記提案が説明され、WGのまとめに含めることが決定されている。
 ◯ ユーティリティファクターには、米国自動車技術会のSAE J2841に記述されているようにその導出の統計的方法によってFUFとIUFの2種の定義があるのが、この選択は参加国に委ねる
 ◯ 既に導出されている米国、EU、日本のユーティリティファクターをまだ導出されてない参加国への情報としてGTRに記述する

WLTPにおけるこれらユーティリティファクターに関する検討と平行して、EUで2020年からフェースインする排出規制によりPHEVの導入が加速されていることもあり、ACEA代表のBMWの委員によるEUにおけるユーティリティファクターの算出やこれを用いたPHEVのエネルギー効率の評価などが発表されている。(これらについては別項で解説する予定)

| | コメント (0)

トヨタ、新アーキテクチャーTNGAの特長と計画を発表

20150326_01_01s20150326_01_02s20150326_01_03s


トヨタ自動車 は、新しいアーキテクチャー(TNGA, Toyata New Global Architecture)を2015年内に発売予定のプリウスから導入開始し、他の車種にも順次展開して2020年ごろに世界販売の約半数で採用する計画を2015年3月26日明らかにした。

「アーキテクチャー」とは一般に「構造・構成・様式」などを意味し、建設産業では構造・設計法・工法、コンピューター産業では設計・ハード・ソフト技術、自動車産業ではパワートレインや車台など複数車種で共有される部品・システムの標準化様式を指す。

トヨタの「TNGA」はパワートレインユニットとプラットフォーム(車台、シャーシー)から構成されており、これらを一体的に開発することにより基本性能・商品力の向上、複数車種の同時開発による部品・ユニットの共用化などを進め、従来比で20%以上の開発効率の向上を見込んでいる。

具体的性能としては、パワートレインユニットではエンジン熱効率やトランスミッションの伝達効率の改善によりシステム全体で燃費約25%動力性能約15%以上の向上、フラットフォームではボディー剛性を従来比で30-65%の向上を図るとしている。詳しくはトヨタ自動車のプレス発表記載の説明(下記一部抜粋、写真も同サイトから転載)を参照されたい。

「新パワートレーンユニット」

 クルマの中核となるパワートレーンユニットでは、低重心化、軽量・コンパクト化、統一設計によるモジュール化など、クルマの基本骨格を決める要素をプラットフォームとパワートレーンユニット間で連携しながら新開発することで高性能・低燃費を追求するとともに、もっとかっこいいクルマ、より卓越したハンドリングにも貢献。エンジンの熱効率やトランスミッションの伝達効率を向上させることで、パワートレーンシステム全体(エンジン・トランスミッション)で燃費は約25%、動力性能は約15%以上向上。
 またハイブリッドシステム(エンジンを含むシステム全体)では、駆動ユニットの配置見直しやモーター・インバーター・電池の小型化、高効率化を図ることで燃費の15%以上向上を見込んでいる。トヨタは新パワートレーンユニットを2015年に導入開始し、ハイブリッドシステム、トランスミッション、エンジンを順次刷新していく。

「新プラットフォーム」

 新プラットフォームは、アンダーボディやサスペンションを刷新・新開発するとともに、パワートレーンユニットを低重心・低配置化することで、クラストップレベルの低重心高を実現。低く構えた、かっこいいデザイン、気持ち良いハンドリング、質感の高い乗り心地、安全・安心をお届けする衝突安全性能などに貢献。骨格構造の見直しなどにより、ボディ剛性の向上(従来比30~65%向上)を図るとともに、ボディ接合にレーザー溶接技術を採用することなどでボディ剛性を更に高めていく。トヨタは新プラットフォームを2015年中に発表予定のFF系ミディアム車から導入、FF系のコンパクト車・ラージ車、FR系の車種にも、それぞれに対応する新プラットフォームを順次展開し2020年頃には全世界の販売台数の内、約半数に導入される見込みである。

| | コメント (0)

電気自動車の充電を通信で制御、電力会社PG&Eと自動車メーカーBMWのデマンドレスポンス計画 -- BMW i3 100台、サンフランシスコで18ヶ月間テスト

Bkg

計画参加車へは最高1540ドルの報奨金

2015年1月6~9日にラスベガスで開催されたCES国際家電ショー(2015 International Consumers Electronics Show)で、ドイツの自動車会社のBMWとカリフォルニア州(北部・中部)の電力会社のPG&E(Pacific Gas and Electric Company)が「BMW i ChargeForward Program」という電気自動車の充電をデマンドレスポンス(需要家が需要量を変動させて電力の需給バランスを一致させること、略してDR)で行うテストを開始すると発表した。

Bmwchangeforward01s場所はサンフランシスコのベイエリア、期間は2015年7月から2016年12月までの18ヶ月間で、このテストに参加するBMWの電気自動車オーナーは最大1540ドルの奨励金を受け取れる。

参加できるのは、ベイエリアに居住するPG&Eの顧客で電気自動車BMW i3のオーナー、全部で100台。参加する車は居住場所での充電に際してPG&E社からの信号により最大1時間充電遅延が可能となるように設定される。ただし、自動車オーナーが外出などの予定があればその旨の意思表示を通信により行うことにより充電遅延を断ることができる。

具体的には、オーナーは出発予定時間の情報を送ることにより充電遅延を断ること(opt-out)が可能。このopt-outはその日だけ有効で、日が変わると自動的に遅延受入の状態(opt-in)に戻る。このopt-outとopt-inの割合や途中での調査への協力などの実績により、期間中報奨金の額がきまる。なお、充電負荷の低下はPG&Eが設置したスマートメーターで確認される。

プログラムへの参加者には、開始時(upfront)に1000ドルと期間中(ongoing)の協力の成績により終了時に最高540ドルの報奨金(ギフトカード)が渡される。

BMWは個々の車の充電を遠隔で操作するが、PG&Eから要請されるデマンドレスポンス量(100kW)の確保には、BMW施設内に設置される電気自動車の使用済み電池二次利用の電力貯蔵装置(200kWh)により、全体としてのバランスを取るようにしている。この貯蔵装置は、PG&Eとの充放電の双方向電力流通のほか太陽光発電から充電されるようになっている。

電力会社が能動的役割、PG&EがBMWを選考

PG&E社の発表資料によると、このテスト計画は電力会社側からの競争的引合の結果BMW社を選んだもので、条件である最低100kWの電力需要調整はPG&E社が他の工業・商業の顧客に対するデマンドレスポンス計画と同じ大きさである。このようなデマンドレスポンスの計画は、顧客にピーク時の需要カットを報奨することによって、信頼性向上、費用削減、環境保全に役立たせるもので、今回のテストが成功すると、電力から自動車への有意な金銭支払の道を開き、顧客の電気自動車購入をさらに活気付けることになる、としている。

電力会社としては、稀にしか起きないような需要のピークへの対処にデマンドレスポンスを使うことによって、配電線やトランスやその他の設備の増強を遅らせて費用の節約ができる。そして、需要の急上昇に対応する際の高価で汚染源となる化石燃料電力の購入量を減らすことができる。このような方法を将来さらに高度化することによって、風力や太陽光などの変動電力を調整・平坦化することが可能になる。

DemandresponsepeakcutBMWはPG&Eに対して次の二つの方法で電力需要の調整に協力することになっている。

① BMWは電気自動車で使用済みのLi-ion電池を二次利用した大容量電力貯蔵装置を設け、電力需要が小さい時は充電し、需要が急増した時は放電させる。この電池は、BMWがMiniEで使用したLi-ion電池200kWhでBMWの施設内に設置。

② BMWは100台のBMW i3電気自動車をリストアップして、今回のChargeForward計画に組み込む。PG&Eが何らかの理由で需要抑制が必要ななった時にインターネット経由でBMWへ信号を送り、需要抑制量とその時間を知らせる。これに従い、BMWは各自動車に信号を送って充電を一定時間停止する遠隔操作をする。

PG&EはBMWが行うこれらのサービスに対して、他のデマンドレスポンスのサービスと同様の対価を支払う。一方、BMWは参加車に対して開始時の報奨金と需要抑制に協力した程度に応じた継続中の報奨金を支払い、これらの金額が電気自動車の総保有コストの低減に活用される。テストに参加している18ヶ月間、参加者は電話アプリを通じて継続中報奨金の額を知ることができる。

「このテストの成功は、他の自動車メーカーやデマンドレスポンス協力機関に対して電気自動車による電力系統へのサービス価値を活用する道を開き、同様に電気自動車オーナーの利益になるもの」、「PG&Eのサービスエリア内の電気自動車の台数は現在6万台以上で、これらが集まると莫大な成長性ある資源となって、より柔軟で低価格でクリーンな電力を提供できる」、「このテストは、自動車メーカーが自動車電池による電力系統への調整サービスの可能性、その価値、電気自動車市場成長への効果などを判断するのに役立つ」など、PG&Eは期待を表明している。

充電集中によるピークへの対応から再生可能発電による変動への対応へ

Kieferduckgraph_2電気自動車1台への普通充電(SAE J1772 AC Level 1~2)の充電電力は、日本では現在最大200V15Aの3kWであるが、米国では220V30Aの6.6kWが主流になっている。(テスラは80A*220V=17.6kW) PG&Eのサービスエリア内の電気自動車(現在6万台)の充電が集中すると系統全体で数十万kWのピークが出ることになる。電気自動車の充電電力は1台で家1軒の使用電力の最大値に匹敵するので、配電網の末端で電気自動車が増加すると配電線やトランスの増強が追いつかない場合があり、ローカルにも充電制御が必要になる。今回のPG&EとBMWの協力によるテストも先ず充電集中などによるピークのカットのためのデマンドレスポンスと考えられる。

このような充電制御の試験計画は、米国では他にもEPRI(米国電力研究所)によるものなど電力会社や自動車メーカーの参画で進行中であるが、自動車の電力系統へのサービスに対する対価の支払いなど電力会社が他の負荷制御に対して支払ったいるのと同様の条件で行っており、このサービス対価が自動車オーナーまで還元される点など今後の実用におけるモデルになるものと期待される。

このPG&Eが電力供給しているカリフォルニア州は、風力や太陽光などの再生可能エネルギー発電の急増により、2015年ころから1年のある時期(左の図は3月の値)に昼間の電力需要の落ち込みと夕方の電力需要の急上昇の所謂「Duck Graph」(アヒルのお腹の曲線のようなグラフ)問題が予想されており、その対策のために電池などの電力貯蔵設備の増強が喫緊の課題となっている。

今回の電気自動車によるデマンドレスポンスのテストの先には、自動車電力をこの再生可能発電による変動対策に利用する方法の開発実証がある。そのためには、自動車側に次のような機能が必要になってくる。

① 車載のパワーエレクトロニクス機器による双方向電力流通(充放電)
② 系統側からの指令による車載機器の通信制御
③ 自動車の定置場所(家など)以外の勤務先や公共の場所での充放電のためのプラグインポイントの同定
④ 効果的電力サービスのための充放電電力(6kW充放電など多い方が効果的)

これら必要な機能については、「《自動車から家・ビル・電力系統への双方向電力流通サービス》 V2Xの基本的事項と成功のための7つの要件」の項を参照されたい。

| | コメント (0)

《自動車から家・ビル・電力系統への双方向電力流通サービス》 V2Xの基本的事項と成功のための7つの要件

《自動車から家・ビル・電力系統への双方向電力流通サービス》
V2Xの基本的事項と成功のための7つの要件

自動車から電力系統への電力流通サービスは、自動車から電力を出すという意味で「Vehicle-to-(供給先)」と呼ばれており、略して「V2H」(Home、家)、「V2B」(Building、ビル)、「V2G」(Grid、電力網)、「V2L」(Load、負荷)と記され、これらを総称して「V2X」と表記される。

プラグインハイブリッド車や電気自動車の電池は大きな電力(パワーkWとエネルギーkWh)を持っており、また自動車は平均して1日24時間の内1時間程度しか稼働していないので、これら自動車が駐車中の23時間にその大きな電力をナノグリッド、マイクログリッドから商用グリッドまでの各種電力系統で利用することにより電力系統をよりスマートに効率的に運用することが可能になる。

ここでは、自動車から家、ビルディング、電力系統などの負荷への双方向電力流通サービスに関わる基本的な事項を説明し、これら自動車の双方向電力流通サービスを実用として成功させるための要件を示す。

なお、本稿は筆者による次の講演内容を整理したものである。

①「自動車による電力サービス(V2X)」 日経BP・Smart City Week・SCW2012 「V2H/V2G最前線・自動車が切り開くスマートコミュニティー社会」 パネルディスカッション(2012.10.31)

② 「地域のエネルギーシステムにおけるEV・PHVの新たな役割 – 期待される役割と課題、その将来性 – 考え方などの整理」 経済産業省・次世代自動車振興センター主催「EV・PHVタウンシンポジウムin大阪」 パネルディスカッション (2012.11.22)
筆者の講演スライド

A. 双方向電力流通サービスに関わる基本的な事項

1,自動車・電力系統の連系に用いられる車種

Slide1_2電力系統と電気的に接続可能な車種は、図表1の「次世代自動車」(エネルギー・環境対応型自動車)の中でも、「電動自動車」に分類されるハイブリッド車(以下、HEV)、プラグインハイブリッド車(PHEV)、電気自動車(BEV)および燃料電池自動車(FCV)の4車種である。

この電動自動車の中でも系統電力を自動車駆動用電池に充電して走行するPHEVとBEVは設備および設定の追加により系統との双方向の電力流通が可能になるので、自動車・電力系統の連系における最も重要な車種と見なされている。なお、PHEVとBEVの2車種を合わせて「プラグイン自動車」(Plug-in Electric Vehicle, PEV)と呼ぶ。

2,電動自動車のエネルギー・環境的な特長

次世代自動車は従来型のエンジン駆動の自動車よりエネルギー消費が少なく且つ環境影響が小さい特長がある。ハイブリッド車、プラグインハイブリッド車、電気自動車、燃料電池車などの電動自動車をガソリンエンジン車と同じ条件下で比較したJHFC(水素・燃料電池実証プロジェクト)の総合効率検討作業部会報告書(日本自動車研究所発行2011年3月)によると、図表2(下図)のように電動自動車(とくにプラグインハイブリッド車と電気自動車)の走行距離当たりの一次エネルギー投入量(左側の図)および炭酸ガス排出量(右側の図)はエンジン自動車より低くエネルギー・環境効果に優れていることが判る。

走行のエネルギーで見ると、ハイブリッド車はガソリンなどの石油製品により、燃料電池車は主に天然ガスなどの化石燃料による一方、プラグインハイブリッド車は石油製品と系統電力により、電気自動車は全て系統電力によるので、プラグインハイブリッド車と電気自動車などのプラグイン自動車ではエネルギー消費とCO2排出が少なくなる上に一次エネルギー源の多様化が可能になる。

Primaryenergykm_2Co2km_2


3,プラグイン自動車の充電に必要な電力

Slide3日本の自動車が将来電動化された時の使用電力は図表3のように、日本の乗用車が全部BEVになった時は全発電量の8%程度、全部PHEVになった時は全発電量の6%程度なので、車への充電を夜間8時間で行うとすると必要な発電量は20GW~29GWとなる。

日本は最大需要180GWの供給に十分な設備を現在有しており、夜間需要が90GW~120GWなので現有の設備で将来の自動車電動化の際の充電に対応できる。ただし、充電が集中しないような制御は必要であり、これは自動車・電力系統のエネルギー連系システムに組み入れて調整・制御を行なっていくことになる。

4.自動車電力の特長: kWh(エネルギー)よりkW(パワー)

Slide4自動車電力の特長は、電池が保有するエネルギー(kWh)より電池が供給できるパワー(kW)の大きさにある。

図表4は1台のプラグイン自動車の電池が供給できるパワーを15kWとして乗用車全部がプラグイン自動車になった場合の全供給電力を計算したもの。日本も他の主要国と同様に自動車が持つパワーは全発電電力(GW=100万kWの単位)の7倍程度以上の大きさになっている。

自動車の消費電力の大きさが全発電量(kWh)の数%(図表3)であるのに対し、自動車の供給可能なパワーは全発電電力の数倍あり、平均的に1日23時間は駐車中の自動車のこの大きなパワーを電力系統へのサービスに利用する価値は大きい。


5.自動車による電力サービス

Slide5自動車による電力のサービスには、図表5のように停電などの非常時の電力供給サービスと定常的な電力融通サービスがある。このようなサービスを、自動車から電力を出すという意味で「Vehicle-to-(供給先)」と呼び、略して「V2H」(Home、家)、「V2B」(Building、ビル)、「V2G」(Grid、電力網)、「V2L」(Load、負荷)、「V2X」(総称)などと表記する。

非常時の電力供給が短時間(数十時間以内)の場合はBEVを利用できるが、長時間(数日間以上)の場合は電池の保有電力に限度があるために燃料タンク(ガソリン、水素)を有するHEV、PHEV、FCVなどを利用する。

定常的なサービスは系統の電力変動を抑制する目的が主であり、この場合の電力融通はパワー(kW)は大きいが短時間で双方向(アップ・ダウン)になり電池の充電率(SOC)の変動は小さい。

自動車・電力系統の連系エネルギーシステムにおける広範な電力サービスの必要性を想定すると、PHEVは最適の車種と考えられる。


6.自動車と系統との接続

Slide6プラグイン自動車は、図表6のように時間・場所・機会(TPO)に適した方法で充電される。充電インフラは、①車の定置場所での普通充電(AC 100V、200V)、②走行の目的地における普通充電または急速充電(DC)、および③走行の経由地における急速充電から構成される。

車の定置場所(普通は家)の次に勤務先における充電がBEVの航続距離延伸やPHEVの電力走行割合の増加に効果があるので、米国では官民で勤務先充電設置のキャンペーンが進められている。

Slide7勤務先に充電設備があるとプラグイン自動車の系統との接続時間が増加するので、充電の機会・時間の増加とともに自動車の電力サービスに利用可能な時間も増加する。図表7は米国の自動車の走行統計から推定した自動車の系統接続率(ある時間に系統に接続されている車の全体に対する割合)の時間変化を示したもので、家での充電に加えて勤務先充電があると系統接続率の最低値が63%から83%に20ポイント向上することが示されている。Evsenaming1


世界の充電コネクター

下の写真は、米国のコンサルタント機関EVI(Electric Vehicle Institute)が作成した世界の充電用プラグとコネクターを一覧できるポスター。このポスターのPDFファイルはここからダウンロードできる。(2015.01.05追記)
Eviconnectors


7,通信制御・双方向電力流通パワーエレクトロニクス

Slide8車載のパワーエレクトロニクスに双方向電力流通機能を持たせ、プラグイン自動車が駐車して系統と接続している間は系統側からの通信による指令を受けて充電/放電をさせることにより、自動車と電力系統の連系が容易になる。

米国のAC Propulsion社はこのような機能を持ったパワーエレクトロニクス(図表8)を開発してきており、米国で進行中のV2Gの実証試験では実際に使用されている。V2Gを本格的に行うためには、このような通信機能のある車載の双方向電力流通パワーエレクトロニクスをプラグイン自動車に装備する必要がある。

自動車と系統との双方向の電力流通には200V(米国では220~240V)の普通充電接続が適しており、電流は系統側が許す範囲で大きい方が効果が大きい。米国自動車技術会の充電規格SAE J1772のAC Level 2は最大80A(19.2kW)まで規定しており、米国の多くの充電設備が30A(6.6kW)対応となっているので、将来この容量でのV2Gが想定される。(日本の充電設備は現在15A・3kW対応なので、充電時間やV2G対応から問題がある)

8.自動車の電力サービスの対価

Slide9自由化された電力取引市場においては、電池からの早い応答の電力サービスに対してそのサービス価値に見合う対価が支払われる仕組みになっている。定常的サービスで最も価値が高いのは電力系統の周波数などを安定化する「アンシラリーサービス」へのV2Gである。

図表9は、米国の独立電力系統運用期間(ISO)におけるアンシラリーサービスの取引価格の実績例で、早い応答の周波数制御へのサービスが最も高価となっている。これらの価格は電力量ではなく接続している時間に対して支払われる値である。

Slide10このような自動車の電力サービスへの対価によって、自動車オーナーは自動車保有の総費用(Total Cost of Ownership、TCO)を削減することが可能となる。図表10は各種自動車の購入費用とエネルギー費用の総額の比較イメージで、V2G可能なPHEVの購入費用は最も高いがガソリンや電気などの出費よりもV2Gサービスで受け取る対価が大きくなり、図に示すように車の使用に伴い総費用が低下する傾向が想定される。

9,自動車の電力サービスによる太陽光発電の安定化

Slide11日本の計画の2020年~2030年の太陽光発電導入量2800万kW~5300万kWに対し,その7割の2000万kW~3700万kWの変動が想定されており、系統安定化のためのピーク電力用発電設備が必要とされている。これに対して,プラグイン自動車の導入予想からV2Gによる安定化効果を評価すると図表11のようV2Gによる太陽光発電変動の調整が可能なことが判る。

B.  双方向電力流通サービスが成功するための7つの要件

前節で述べた双方向電力流通サービスに関わる基本的事項から、このサービスが実用として成功するための7つの要件を挙げて、以下に示す。

1. V2Xのそれぞれの目的に適ったタイプの電動自動車を使用すること

V2Xに適した車種は、電動自動車の中でも系統から充電が可能なタイプの自動車(プラグイン自動車、Plug-in Electric Vehicle、略称PEV)でプラグイン・ハイブリッド車と電気自動車の2型式である。その中でも電欠・航続距離不安がないプラグインハイブリッド車はV2Xにおける制約が少ないので最も汎用的に使うことができる。

2. 自動車電池が保有するエネルギー(kWh)を供給・利用するよりも、電池が供給可能なパワー(kW)の利用を主にすること

電力系統から見た時の自動車電池の特長は、保有するエネルギー(kWh)よりも供給できる高応答速度のパワー(kW)にあり、このパワー(kW)を電力系統で利用する時はその価値は高い。

3. 勤務先における200V普通充電のインフラを整備し、双方向流通の電力を可能な限り大きくすること

自動車と系統が接続(プラグイン)している時間は、平均的に定置場所である家の次に勤務先が長い。また、双方向流通の電力は大きい方が効果的なので、欧米並みの200V・30A・6kW級が望ましい。

4. 車載のインバーター/パワーエレクトロニクスに充電・放電の双方向電力流通機能を持たせ、流通先からの指令に従ってV2X可能な構造にすること

現行の多くの車載のインバーター/パワーエレクトロニクスでは、別途充放電可能なパワーコントロールユニットが必要なためV2X実用にはコスト・運用上の制約が多い。米国のV2G実証試験で使用しているような車載の通信指令によって作動する双方向充放電可能なパワーエレクトロニクス・ユニットが望ましい。

5. 自動車・電力系統を統合してV2Gを運用する場合は、自動車と電力系統を統合して運用する技術・制度および自動車から系統への電力サービスの対価の清算・支払の方式・制度などを確立すること

自動車・電力系統間の双方向電力流通による統合運用の方式・制度は、電力の発電・送電・配電の制度に含めて公共政策として確立する必要がある。例えば、自由化された電力市場のアンシラリーサービスにおいて、電池のような高応答速度の電力サービスに対してその価値に見合った価格が設定される仕組みなど。

6. 太陽光・風力発電などの変動安定化にもV2Gを利用する仕組みをつくること

太陽光発電や風力発電は天候の変化によって定格出力の相当な割合の変動が想定されており、系統安定化のためにこの変動分を他の発電設備から補うなどの調整が必要であり、自動車電池もその役割を担うことが期待されている。これについてもアンシラリーサービスの場合と同様に利用する仕組みをつくる必要がある。

7. 自動車と電力系統を連系・統合したトータルシステムとしてのグランドデザインから実証までの開発を関連業界が共同して実施すること

米国では数年前からV2Gの試験・実証が大学・電力会社・系統運用機関(ISO)が共同して実際の電力系統と電動自動車を使用して実施されている。また、最近は米国の電力会社・系統運用機関15社と自動車メーカー8社の共同による電力系統からの指令による充電制御の実証も始まっている。このような、電力会社・系統運用機関・自動車メーカーなどの関連業界が共同して自動車と電力系統を連系・統合したトータルシステムとしてグランドデザインから実証までの開発を実施していくことが必要である。

参考 本稿に関連する資料へのリンク

プラグイン自動車・電力系統間の双方向電力流通システム-そのコンセプトと効果
勤務先充電の重要性と米DOE・EDTAのチャレンジ
米国自動車技術会の新しい充電規格、コンボコネクターとは
自動車―電力系統のインタラクション ? 自動車が系統に接続される割合は?
エネルギー・環境対応型自動車の分類・呼称・略称
自動車から電力系統への電力融通(V2G)
電気自動車導入による電力需要増加
電気新聞で対談 「プラグインハイブリッド車を展望」

| | コメント (1)

プラグインハイブリッド車の燃料消費率 -- BMW i3 REx に見る日本・EU・米国の差 -- 652km/Lと166km/Lと37.4km/L

Mediagallery_3「ZEVの新カテゴリー"BEVx"とは?」のページで紹介したように、カリフォルニア州のゼロエミッションビークル「ZEV」の新しいカテゴリーの「BEVx」を目指して開発されたレンジエクステンダーのBMW i3 RExは、PHEVとしては異例に長い電力走行距離(CDレンジ)のため、日本、EU、米国の各国が定めたプラグインハイブリッド車の燃料消費率には非常に高い値を示すものがあり、また国による差異も相当に大きい。以下、この辺の事情を探ってみる。(写真出所

日本におけるPHEV燃料消費率の比較

Jc08phevfc例えば、日本の国土交通省が2009年7月に決めた「プラグインハイブリッド自動車の燃費算定等に関する実施要領」に従ってBMW i3 RExの「プラグインハイブリッド燃料消費率」を計算すると実に652km/Lとなり、プリウスPHVの61.1km/LやアウトランダーPHEVの67.0km/Lより桁違いに高い非現実的な値になる。(右表) BMW i3 RExのカタログにはこの「プラグインハイブリッド燃料消費率」の値は掲載されていない。なお、2009年の国土交通省PHEV燃費算定に関する参考ページはここ

日本・EU・米国のPHEV燃料消費率の比較

では、米国やEUでのBMW i3 REx のPHEV燃料消費率はどのくらいか? 

日本・EU・米国では、自動車の燃料消費率を試験するモード・手順(JC08、NEDC、SFTPなど)が異なり、また電力走行(CDレンジ)の電費とハイブリッド走行(CSレンジ)の燃費からPHEV燃料消費率を算出する際のユーティリティファクター(UF)の定義、さらに電力/ガソリンのエネルギー加算の考え方も異なっている。

それ故これらから算出されるPHEV燃料消費率の値に違いがあっても当然であるが、日本・EU・米国のそれぞれの試験モード、ユーティリティファクター、エネルギー加算方法によるBMW i3 REx のPHEV燃料消費率の値を同じkm/Lの単位に換算して比較してみると、日本は652km/L、EUは166km/L、米国は37.4km/Lとやはり大きな違いが出ている。(下の左の表)

ここで使用した各国のモード燃費からPHEV燃料消費率を算出する式を分類して示すと(下の右の表)、日・EUが「PHEV燃料消費率1」、米が「PHEV燃料消費率2」となる。なお、筆者が自動車技術会に提案した方法は「PHEV燃料消費率3」である。詳しくは資料(12)またはこれらで引用している各国の資料を参照されたい。なお、日本は2014年に国土交通省が「プラグインハイブリッド燃料消費率」の表示の見直しを行うとしている。(12

PhevfcjapanuseuVariouscalculationmethodphev1

PHEV燃料消費率に差が出る理由

Mileagediscrepancyjama3この日本・EU・米国のBMW i3 RExのPHEV燃料消費率の652km/Lと166km/Lと37.4km/L
の差は次の理由によると考えられる。
 ① 燃費試験のモードの違い
 ② ユーティリティファクター(UF)の値の違い
 ③ 電費と燃費からPHEV燃料消費率を算出する方法の違い

① 燃費試験のモードの違い

日本自動車工業会のレポートによると、モード燃費と実燃費(ユーザーが実際に走行した場合の燃費)の乖離の程度を、ユーザーの実燃費調査データをもとに

「モード燃費到達率」=実燃費/カタログモード燃費

として整理して回帰式を求めると、日本とEUでは右の図のようになる。これから、モード燃費が30km/Lあたりの実燃費は平均的にEUで約2割、日本で約3割低くなっている。

米国(EPA)では2008年の試験方法の改訂以降、全米平均のリアルワールド(現実的)運転条件と相関したテスト条件を設定(資料)しているので、個々の値は別として全体としては乖離がほぼ解消されてきている。(右の図に「モード燃費到達率」 y=1 として参考記入)

以上から、モード燃費からの乖離の大きさは、平均的に 日本>EU>米国 と言える。なお、BMW i3 RExの日・EU・米の電費[km/kWh]は日本 9.34、EU 7.41、米国 5.6、燃費[km/L]は日本 27.4、EU 21.4、米国 16.6なので、乖離の大きさと同じ順になっている。

② ユーティリティファクター(UF)の値の違い

Ufforjapaneuus4「フォルクスワーゲンがPHEVで"猛攻撃"、EUのCO2排出規制とパワートレインの方向」のページの解説にあるように、PHEVの全走行距離に対する電力走行の割合であるユーティリティファクター(UF)の日・EU・米の値は左の図のようになっている。

BMW i3 RExの外部電力による走行距離(CDレンジ)からUFを求めると、日本(0.958)>EU(0.872)>米国(0.834) となる。日本・EUの場合、PHEV燃料消費率は、1/(1-UF) に比例するのでUFの数値から、日本>>EU となる。

③ 電費と燃費からPHEV燃料消費率を算出する方法の違い

日本とEUのPHEV燃料消費率の算出は、消費した外部充電電力量を無視して、消費したガソリン量のみで全走行距離を除す方法(上の「PHEV燃料消費率の計算方法」の表の「PHEV燃料消費率1」)を用いている。

一方、米国のPHEV燃料消費率の算出は、消費電力量を熱量で等価のガソリン量に換算してこれを消費ガソリン量に加えて、全走行距離を除す方法(上の「PHEV燃料消費率の計算方法」の表の「PHEV燃料消費率2」)を用いている。

電費と燃費からPHEV燃料消費率を算出する方法による違いは、UFが大きい領域では、日本=EU>米国 となる。

なお、米国の方法でも、動力として使用する電力を熱として低く評価しているため、消費するエネルギーを低く評価することになるのでPHEV燃料消費率は高く出る。BMW i3 RExではUFが大きいので、VoltやPrius PHVなど他のPHEVより格段に良いPHEV燃料消費率(Combinedで88 MPG)が算出されている。(下のEPAデータ表のPHEVの部分の抜粋)

米国ではこの方法を電気自動車(BEV)の燃料消費率の表示にも使用しており、BEVやPHEVの燃料消費率をガソリンのMPG(Miles Per Gallon)で表示する時はエネルギー転換・熱力学に関わるエネルギー等価性から想定されるより高め(良い燃費)の値が出ることになる。これに対し、上の「PHEV燃料消費率の計算方法」の表の「PHEV燃料消費率3」は、エネルギー等価性にもとづくより適切な評価値を与えるものと考えている。

Epa_datafile_phev

以上、①、②、③の理由により、日・EU・米のPHEV燃料消費率の値は 日本>>EU>>米国 になっていると考える。

世界調和のPHEV燃料消費率への動き

世界調和のBEV/PHEV/HEVの燃料消費率に関する国際的な検討の場として、国連の「自動車基準調和世界フォーラム」(World Forum for Harmonization of Vehicle Regulations)の一環として、「小型車の世界共通排出ガス試験法」(Worldwide harmonized Light-duty Test Procedure, WLTP)ワーキンググループおよびその中のEV(E-Lab)サブグループや「電気自動車・環境」(Electric Vehicles and the Environment, EVE )ワーキンググループなどが検討作業をしている。

これらのワーキンググループでは、BEV/PHEV/HEVの標準試験法や規制リファレンスガイドなどのとりまとめ・提案を行なっており、この中で「世界調和ユーティリティファクター」(Global Harmonized Utility Factor)についても統計データをまとめる方法論などの議論を行なっている。世界調和ユーティリティファクターの作成を本格的に行うには、自動車のドライビングパターンの統計データ収集作業など相当大掛かりなものになりそうである。

追記: 世界調和ユーティリティファクターに関するより新しい状況については、「WLTPにおけるPHEV燃料消費率のためのユーティリティファクターの検討」の項を参照されたい。

| | コメント (0)

フォルクスワーゲンがPHEVで"猛攻撃"、EUのCO2排出規制とパワートレインの方向

Future_mobility_volkswagen_p27s

VWはe-mobility戦略でPHEV(プラグインハイブリッド車)に注力

Forbes_cover050613s上のビューグラフは、フォルクスワーゲン・グループの将来技術部門のProf. Dr. Wolfgang Steigerによる講演資料の1枚で、2014年7月4日ロンドンで開催された「バークレイズ将来パワートレインシンポジウム」でプレゼンテーションされたもの。「将来の自動車交通—VWグループの持続可能なソリューション」(Future Mobility -- Volkswagen Group’s Solutions for Sustainable Mobility)と題する全31ページのPDFファイルはここからダウンロードできる。

VWグループは、自動車電動化e-mobilityに関して明快なビジョンを描いており、当面はPHEVやBEVの積極導入を進め、FCV(燃料電池車)については以前から研究開発を進めてきたが導入は2020年以降の問題と冷静に割り切っている。FCVに関するVWの方針やWinterkorn CEOの見解などは本ブログの『自動車メーカーによる燃料電池車の国際共同開発、「バスに乗らない」フォルクスワーゲン社』の中で触れている。

上のビューグラフのPHEVの導入計画を見ると、Prius PHVとVoltでPHEVを先導してきたトヨタとGMのお株を奪っており、まさにInside EVsサイトの見出し「VWがPHEVで猛攻撃を計画」(VW Group Plans PHEV Onslaught)という表現がぴったり。

2013年5月6日号のForbes誌の表紙にはVW社のWinterkorn CEOの写真と「GMとトヨタよ、ご用心—VWは間もなく地上最大の自動車メーカーになる」とあるが、果たしてVWのe-mobility戦略の先行きは?

CO2排出規制でメルセデスもPHEV路線へ

Mercedes_benz_s500_phev_010711450x2このPHEV化の方針はメルセデス・ベンツも同様である。2014年5月のMercedes Benz Cクラス・エステートの発表会における開発部門トップのThomas Weberの発言によると、メルセデスではこれまでBクラスやSmartForTwoなどの電気自動車を出してきたが、これからは2020年に向かって大型の車はプラグインハイブリッド技術に絞って開発し、そのためにモデュラーアーキテクチャであるMRA(Mercedes Rear-wheel Architecture)を活用していくとしている。

EUのCO2排出規制とパワートレインの方向

Euco2このようなPHEV化の方向は、欧州で2020年からフェースインする95gCO2/kmの排出規制が推進源になっている。先のVW社Wolfgang SteigerのCO2排出に関するプレゼン資料(右図)は、2020年からの規制に向かってこれまでの各種駆動技術の改良では不十分で、プラグインによる系統電力の利用と従来燃料による航続距離確保を併用するパワートレインへの変更の必要性を示している。

EUの乗用車排出ガス・燃費規制のECE R101 rev 3によると、PHEVのCO2排出量は下の式により計算される。

 M = (De x M1 + Dav x M2) / (De + Dav)

ここで
  M = PHEVの1km当たりのCO2排出グラム数[g/km]
  M1 = 充電電力走行(Charge Depleting, CD走行)時の1km当たりのCO2排出グラム数[g/km]、規定では充電する電力のCO2排出はゼロとしているのでM1=0
  M2 = 充電電力使用後のハイブリッド走行(Charge Sustaining, CS走行)時の1km当たりのCO2排出グラム数[g/km]
  De = Annex9規定の手順による充電電力走行(Charge Depleting, CD走行)の距離
  Dav = 再充電までに燃料で走行する距離、規定により25km固定にしているのでDav=25

上の式から

 M = M2 x Dav/(De + Dav) = M2 x 25/(De+25)

PHEVによるCO2の削減係数(Reduction Factor)をFとしてM=M2/Fで表す場合は上の式から

 F = (De+ Dav) / Dav = (De+25)/25

EUの規定によるハイブリッド車Priusとプラグインハイブリッド車Prius PHV(De = 25 km)のCO2排出量は、其々89 gCO2/kmと49 gCO2/kmになっており、PHEVはHEVよりCO2排出量が45%削減されている。

MercedesphevこのEUの規定によりMercedes Benz S500のエンジン車とプラグインハイブリッド車のCO2排出量を比較すると左の表のように、充電電力走行距離30kmのS500 PHEVの削減係数はF=(25+30)/25=2.2、CO2排出量は69 gCO2/kmとなり、エンジン車の210 gCO2/kmの55%減になる。

このように.EUの2020年以降のCO2排出基準に適合するためには、上に説明したECE R101のCO2算出規定に則ったPHEV化が最も手っ取り早い方法でCO2削減に要するコストも低く、フォルクスワーゲンやメルセデスがPHEV化を積極的に進めている大きな理由と言える。(参考資料12

EUのECE R101規定では、充電する電力によるCO2排出(M1)はゼロとしているので、PHEV化の効果が大き目に計算される。実際には、その国・地域の電源構成によって異なるが、系統電力は一次エネルギーから発電・送電を経て電池への充電に至る経路でCO2を排出しているので、M1に電力のCO2排出相当値を入れてPHEVの電力+燃料による全CO2排出量を計算する方が排出規制の意図に合っている。とくに大容量の電池を搭載して充電電力走行距離が長いPHEVの場合には、このような計算は必須と考えている。

以上延べたCO2排出評価の具体的計算方法の問題は別として、総論として、現在各国とも再生可能エネルギーや原子力による発電を増加させ発電のCO2排出を削減する努力をしており、自動車のPHEV化の方向は脱石油・脱化石燃料・CO2排出削減へ繋がる最も現実的で効果のある方法と考えている。

付記1: EUにおけるPHEVのCO2排出量・燃料消費率計算の考え方について

上で説明したようにEUのECE R101 rev3によるPHEVのCO2排出量M(g/km)は下式で定義されている。

 M = (De x M1 + Dav x M2) / (De + Dav)

ここでM1は外部充電電力による電力(CD)走行時のCO2排出量、M2は燃料によるハイブリッド(CS)走行時のCO2排出量、Deは外部電力充電より走行距離、DavはCD走行を終えた後のCS走行の距離で25kmの固定としている。

同じ考えでPHEVの100km走行当たりのリッター単位の燃料消費率C(l/100km)は下式で定義されている。

 C = (De x C1 + Dav x C2) / (De + Dav)

ここでC1はCD走行時の100km当たりの消費燃料量、C2は燃料によるCS走行時の100km当たりの消費燃料量、DeとDavは上と同じ。

EUでは外部充電に使用する電力のCO2排出とエネルギー消費を無視するのでC1とM1はゼロで、再充電までに燃料で走行する距離Davは25km固定としている。

このEUのDe+Dav(25km固定)の意味について、以下考察する。

◎ Dav=25km固定とは、外部充電した電池の電力を使い切った後は燃料(ガソリン、ディーゼル)を使用してハイブリッド走行するが、この距離は外部充電電力による走行距離(すなわち電池の大きさ)に関係なく25kmと仮定してCO2排出量および燃料消費率を計算することである。

◎ 日本・国土交通省(MLIT)の2009年のPHEV燃費算定実施容量(解説・リンク)および米国・環境保護庁(EPA)の2010年PHEV燃費算定ルール(解説・リンク)では、何れも自動車の1日当たりの走行距離分布の統計値から求めた平均的なユーティリティファクター(全走行距離に占める電力走行距離の割合で外部充電電力による走行距離の関数、Utility Factor、UF)を使用することになっている。

Ufforjapaneuus4◎ EUのDe+Dav(25km固定)の評価方法をユーティリティファクターUFで表してみると、UFは外部電力走行距離を全走行距離で除した値なのでUF=De/(De+Dav)となる。このEUのDav=25km固定の場合のUF値を日本(MLIT)と米国(EPA)の燃費などの審査に使用しているUF値と比較してみると、右の図のようになる。

◎ EUのUF=De/(De+Dav)の値を日・米のユーティリティファクターUFと比較すると、EUのUFの曲線は日本と米国のUFの曲線より勾配がやや緩やかで、日本と米国の線を縫うように上昇している。すなわち、外部電力走行距離が~70kmの領域では日本に近く、70~160kmでは米国に近いと言える。外部電力走行距離(De、CD距離)が160kmよりもさらに大きくなると、EUのUFは日・米より低くなり電力走行距離割合が少なく評価されることになる。

◎ 以上から、EUのDav=25km固定による方法は、自動車の走行パターンから求めた平均的なユーティリティファクターが定義し難い場合などは、簡単な計算でPHEVの効果を近似的に算出できる便宜的な方法と言える。大容量の電池を搭載して外部電力走行距離(De、CD距離)が長いPHEVの場合にはより確度の高い方法を使用すべきと考える。

◎ PHEVの燃料消費率とCO2排出量の算出に際して、外部電力走行(CD走行)のレンジにおけるエネルギー消費量とCO2排出量をゼロとする定義式は日本とEUで使用しており、大容量の電池を搭載してCD距離が長い場合にはPHEVのエネルギー消費量(距離当たりのエネルギー消費量)とCO2排出量を過小に評価することになるので何らかの対応(参考)が必要になってくると考える。

注) 世界共通の自動車排出ガス・燃費などの試験法作成活動WLTP(Worldwide harmonized Light-duty Test Procedure)の場でもUFについて議論が行われており、上の図と似た形の日・米・EUのUFの比較図が示されている。参考の資料に引用しているこのWLTPによるUFの比較図は横軸のスケールが示されておらず、また表示されている米国のUF曲線は現在EPAが使用しているSAEの「MDIUF」ではなく以前の「FUF」による値と思われる。米国のUFについては、上記参考資料やここを参照されたい。

| | コメント (0)

プラグインハイブリッド車の燃料消費率 -- ユーティリティファクタ,電力・ガソリン等価合成の考え方

JidoushgijutsucoverJidoushagijutsumokuji22006年以来、自動車やエネルギー関係の雑誌や自動車技術会の年会・論文集に発表し、このサイトでも解説してきた、「プラグインハイブリッド車の燃料消費率」やそれに関連した「ユーティリティファクター」や「電力とガソリンのエネルギー等価合成」に関する調査・研究結果や関連する話題をまとめて、この度自動車技術会からの執筆依頼により会誌「自動車技術」の2014年7月号に解説を掲載しました。

「自動車技術」7月号は「進化する環境対応車の計測技術」を特集しており、私が執筆した「プラグインハイブリッド車の燃料消費率 -- ユーティリティファクタ,電力・ガソリン等価合成の考え方」と題する7ページの記事はその一つ。

私の執筆記事はここからダウンロードできます。

Jidoushagijutsuabstract

| | コメント (0)

ZEVの新カテゴリー「BEVx」とは? 小型エンジンと9リッター燃料タンク  BMW i3 RExとマツダ・デミオ・RE

小型エンジンと9リッター燃料タンクのシリーズ型PHEV

BMW i3 REx

Bmwi3outside「BMW i3」は2010年にMega City Vehicle(MCV)としてコンセプトが発表された5ドアの都市型電気自動車で、その特異なスタイルとともに軽量のアルミニウム・シャーシーとCFRP(炭素繊維強化プラスチック)ボディ、強力な167bhp・25.4kg-mモーターの駆動パワーなどの特徴を有している。この市販バージョンが2013年7月に公開された。

BMW i3には、純粋の電気自動車(電池電気自動車、BEV)バージョンと航続距離延長のための小型ガソリンエンジンと9リッターの燃料タンクを装備したプラグインハイブリッド車(シリーズ型PHEV、レンジエクステンダー、REx)のバージョンがある。

このi3 RExバージョンは2輪車で使われている2気筒647cc・36bhpの小型エンジン(左のイラスト)をモーターなどの電動駆動系と一体に装荷している(中央の写真の左側)。電気自動車i3 BEVバージョンではこのエンジンのスペースが空いていてステーだけが見える(右の写真)。BEVバージョンとRExバージョンをできるだけ共通の配置・部品構成になるように計画的に設計・開発してきたことが判る。

Bmwi3rexengineillust..
Bmwi3rexengineroom..
Bmwi3bevengineroom

マツダ・デミオ・REレンジエクステンダー

Mazdarexoutsideマツダ・デミオEVはこれまで電気自動車としてリース販売されてきたが、これに航続距離延長のための小型ロータリーエンジンを搭載した「マツダ・デミオ・REレンジエクステンダー」の試作車が2013年12月に報道関係者に公開された。

デミオ・REも、シングルローター330cc・22kW(29.5bhp)の小型エンジンと9リッターの小容量燃料タンクを装備している点ではBMW i3 RExと同様であるが、デミオREではモーターなどの電動パワートレインは前部コンパートメントに置き、レンジエクステンダーエンジンと燃料タンクは後部のトランクの下に置いている。下の写真左はコンパクトに纏まったエンジンと燃料タンクのアセンブリで下の鏡でこの下部が見えるようにした模型、これを後部のトランクルーム(写真右)の下に置いている。

Demioreengine2..Demioretrunk2

従来型と新型のRExの違い、何故ガソリンタンクが9リッター?

この2車種のエンジンと燃料タンクはこれまでのレンジエクステンダーエンジン付きシリーズ型PHEVとは設計コンセプトが全く異なっている。

Chevy Voltやスズキ・スイフトのような従来型のレンジエクステンダーPHEVは外部充電電力による短距離のEV走行とガソリンによる長距離のハイブリッド走行の両方が可能なように設計されている。

一方、BMW i3 RExやマツダ・レミオ・REは、外部充電電力によって中距離をEV走行する電気自動車(BEV)であって、走行に際してドライバーの「航続距離不安」をなくすとともに実際に電池充電率が限度まで低下して電欠状態になった場合のためにガソリンエンジンからの電力で充電可能な場所まで走行可能なように設計されている。

下表の従来型と新型のレンジエクステンダーの電池容量と燃料タンク容量を比較を見ると、とくに燃料タンクの容量が大きく異なっており、新型のガソリン量が格段に少ないことが判る。

従来型REx  Chevy Volt    電池容量 16kWh   燃料タンク容量 35.2L
従来型REx  スズキ・スイフト  電池容量 2.66kWh  燃料タンク容量 43L
新型REx    BMW i3 REx    電池容量 22kWh   燃料タンク容量 9L
新型REx   マツダ・レミオ   電池容量 20kWh   燃料タンク容量 9L

このようなレンジエクステンダー走行は、自動車機能の一つである「リンプホームモード」」と似た考え方と言える。「limp-home」とは「家にたどり着く」の意味から、故障車を部品の損傷を抑えつつ低速走行で自宅や整備工場などに安全にたどり着けるようにする自動車のフェイルセーフモード/装備機能の一つである。レンジエクステンダー機能を万一の電欠時に充電場所まで走行するためのリンプホーム機能と考えるならば、小型のエンジンと9リッターのガソリンタンクは十分な出力/容量と言える。

カリフォルニア州のゼロ排出車の新カテゴリー「BEVx」

CARBの新しい規制パッケージ「先進クリーン自動車」

Carb_logo2012年1月、カリフォルニア州大気資源局(California Air Resources Board、略称CARB、カーブ)が「先進クリーン自動車」(Advanced Clean Car、略称ACC)プログラムという2018年~2025年車に適用される新しい規制パッケージの採用を決定した。

Carbacc_2この先進クリーン自動車プログラムを構成する主要な3つの規制パッケージの一つが「ゼロ排出自動車」(Zero Emission Vehicle、略称ZEV)で、この中に新しい規制目的の自動車カテゴリーの「BEVx」を設定した。

この「BEVx」は"BEV (battery-electric vehicle) with a small 'limp-home' range extending engine or APU (auxiliary power unit) -- i.e., not a series-hybrid type vehicle equipped with a full-capability engine"、すなわちリンプホーム機能の小型レンジエクステンダーエンジン(CARBの呼称はAuxiliary Power Unit、略称APU)付き電気自動車(BEV)のことで、シボレー・ボルトのような本格機能エンジン付きの従来のシリーズ型PHEVとは異なったカテゴリーとなる。

先進クリーン自動車規制の元では、BEVxはBEVと同じ基準でゼロ排出マイルに基づくクレジットを得ることができ、要求される純BEVの中の50%までをこのBEVxにすることが可能である。

なお、2018年からZEV規制の対象は大量販売メーカー(LVM, Large Volume Manufacturer, カリフォルニア州で年6万台以上販売するメーカー、GM、Ford、Chrysler, トヨタ、日産、ホンダの6社)から中量販売メーカー(IVM, Intermediate Volume Manufacturer, カリフォルニア州で年4.5千台~6万台販売するメーカー、Volkswagen、BMW、Mercedes-Benz、マツダ、富士重工、Hyundai、・・・)まで拡大する。

新カテゴリーBEVxの考え方

Carbmeetingカリフォルニア州大気資源局(CARB)がACC規制パッケージについて説明した資料の中でBEVxの考え方を知る上で次の二つのレポートが参考になる。

① CARBのACCに関する初期趣意書(ISOR
California Air Resources Board
“STAFF REPORT: INITIAL STATEMENT OF REASONS -- Advanced Clean Cars -- 2012 Proposed Amendments to the California Zero Emission Vehicle Program Regulations” (December 7, 2011)

② CARBのACCに関する最終趣意書(FSOR
California Air Resources Board
“FINAL STATEMENT OF REASONS FOR RULEMAKING -- Including Summary of Comments and Agency Responses -- 2012 Amendments to the Zero Emission Vehicle Regulations -- Public Hearing Date: (January 26 and 27, 2012)

上記ISORとFSORの記述からBEVxに関わる話題を以下ピックアップする。

● CARBに対して複数のメーカーからZEVの中にBEVxのようなレンジエクステンダーの新カテゴリーを設けるよう提案があった、という記述がISORの中にある。ニュース記事(12)には、ACC規制パッケージに関するパブリックヒアリングにおけるCARBのスタッフと委員のコメントの中にBMW社がこの種のクラス分けに特別に興味を示したという記述があり、またBMWのほかにクライスラー社とフォルクスワーゲン社がBEVxカテゴリーの新設を支持したという記述もあり、BEVxのアイディアは一部のメーカーにより提案され支持されたことが判る。

● メーカーの提案として、BEVxは限定された走行距離の延長が可能な小型エンジンのAPUを装備しているが主に外部充電によるEV走行を行う自動車で、PHEVよりもBEVに近く、APU運転モードでは充電場所までの走行が出来る程度に性能が削減される、との記述がある。

● しかし、ISORの中にあった「要求ではないが、レンジエクステンダーのAPUモード運転に際して速度制限などの性能限界を設けることをメーカーに期待する。バックアップAPUの意図は電池を充電するのではなく、車を充電場所まで走行させるためのCS(Charge Sustaining、ハイブリッド)モードで走行するためである。BEVxは改良された近隣運転能力(Regional driving capability)を求めるユーザーのためで、長距離運転に使用するためではない」という主旨の記述がFSORではなくなっている。

● CARBがBEVと同じEV走行距離のBEVxを規制上同等に扱うには理由があるとして、BEVでのドライブの場合に運転者は電池に残っている距離についてある程度控えめの想定をするが、BEVxの運転者は電池に残っている距離の全部あるいは殆ど全部を走行する想定ができる。それ故、これまで走行距離の関係でBEVの購入を考えてなかった運転者にBEVxはアピールすることができることになる、などの理由を挙げている。

BEVxの定義

Bevx3_2「BEVx」(Range-extended battery-electric vehicle)は「相対的に(外部充電)電力走行距離が長いAPU(レンジエクステンダーエンジン)付きの電気自動車」(A relatively high-electric range battery-electric vehicle (BEV) to which an APU is added)と定義されているが、FSORをもとにBEVxの主な要件を下記および右図にまとめる。正確にはCARBの関連資料を参照されたい。

1.外部充電による走行距離(CD距離)は75マイル(120.7km)以上とする(2012~2017年のBEVxの最低要求へ適合の場合)。このCD距離75マイルの値はISORにおける80マイル(128.7km)からの変更。
2.APU(レンジエクステンダーエンジン)による走行距離はCD距離以下とする。
3.APUは電池の充電電力が設定値まで低下(deplete)するまでは作動させない。
4.SULEV排ガス基準とエバポ排出ゼロ基準に適合すること。

BEVxの要件の「REx走行距離=<EV走行距離」の条件から、電力走行距離を75マイル・120kmとしてレンジエクステンダー走行距離も同じとすると、ガソリンタンク容量として2.4ガロン・9リッター辺りになると考えられてきた。(2014.4.25付けのBMW Blogによると、当局の要請によりガソリンタンク容量が1.9ガロン(7.2リッター)に減量)

この定義・仕様に合致したBEVx第1号がBMW i3 RExになるが、BMWがi3 RExの構想に基づきZEVの一つのカテゴリーとしてBEVxを提案し、それが規制に組み込まれてBMW i3 RExの導入に至る、自動車メーカーの積極的・能動的な姿勢とCARBのオープンで受容的な姿勢が、CARBの趣意書から読み取れる。

今後、CARBは、PHEVの新しいカテゴリーBEVxとPHEVの従来からのカテゴリーTZEV(Transitional ZEVの略、前のAT-PZEV、Chevy Volt、Toyata Prius PHVなど)の車の実際の使用データの提供をメーカーに要請するとしており、またCARB自身もこれらのPHEVとガソリンエンジン車など複数車を保有する家庭の使用状況を研究するとしているので、これらの実使用データの集積・分析が関連規制の評価・改良に繋がることが期待される。

BEVxのZEVクレジットのポイント

Zevcredituntil2017ZEVを販売した時に与えられる1台当たりのクレジット・ポイントは2012年から2017年まではZEV基準文書から抜粋した左の表の如く決められている。この中で、電池による航続距離(EPAにより定められた試験条件の”UDDS”による距離)が75マイル以上100マイル未満のBEVxはType1.5xに分類され、航続距離が100マイル以上のBEVxはTypeIIxに分類されて、それぞれ2.5ポイントと3ポイントが与えられる。なお、BEVxは2012年より前は定義されていなかったのでn/a(該当せず)と記されている。

Zevcreditafter20182018年以降はZEVのクレジット・ポイントの計算方法が変わり、CARBのZEV基準文書から抜粋した右の式にUDDS試験条件による航続距離を入れて計算することになる。式の注釈に書いてあるように航続距離が50マイル以下は0ポイント、航続距離350マイル以上は4ポイントで頭打ちとなる。

CARBの2017年以前のZEV基準の文書” ZERO-EMISSION VEHICLE STANDARDS FOR 2009 THROUGH 2017 MODEL YEAR PASSENGER CARS, LIGHT-DUTY TRUCKS, AND MEDIUM-DUTY VEHICLES”の最新のものはここで確認できる。

CARBの2018年以降のZEV基準の文書” ZERO-EMISSION VEHICLE STANDARDS FOR 2018 AND SUBSEQUENT MODEL YEAR PASSENGER CARS, LIGHT-DUTY TRUCKS, AND MEDIUM-DUTY VEHICLES”の最新のものはここで確認できる。

カリフォルニア州でのBMW i3 REx、BEVxかTZEVか?

2014_awards1BMW i3は2013年9月から量産が開始され欧州などでは11月から販売が始まっているが、好調な注文により2014年4月のBMWの発表では日産70台から100台への増産により初めの頃の想定の2倍の年2万台の生産ペースになっている。また、2014年4月のニューヨーク国際オートショーでは、BMW i3の基盤から新構築した設計、斬新なルート計画手法、環境に優しい構成材料などが評価されて、世界グリーンカー・オブ・ザ・イヤーと世界カー・デザイン・オブ・ザ・イヤーを受賞している。

上で引用したBMW Blogおよび2014.4.24付けの別のBMW Blogの記事から、米国カリフォルニア州でBEVxとして販売されるBMW i3 RExについては、燃料タンクの容量が2.4ガロンから1.9ガロンに減量のほか、エンジンは電池のSOCが6.5%以下まで低下した時に作動開始、RExエンジンは電池の充電には使用されず70MPH(113km/h、この速度の制限はソフトによる制限)までの巡航に十分なパワーがある、BMWの電池の保証(Warranty)は8年10万マイル(容量70%以上)だがCARB states(カリフォルニア州および同様な政策をとっている州)では10年15万マイル、電池は全体の交換を必要とせずモデュール交換が可能、など興味ある新しい情報が出ている。

Greenwhitehovstickers_2CARBのお膝元カリフォルニア州ではBEVxカテゴリー最初のBMW i3 RExへの関心は高いようだ。しかし、i3 REx がHOVレーン(規定人数以上が搭乗している車のみ走行可能な車線、ステッカーがあると一人乗車でも通行可)のステッカーの種類(BEVは白、従来のPHEVはグリーン)のどちらになるかで議論がありグリーンに決まると見られているが、グリーンステッカー(制限枚数4万枚)の残数が少なくなっている2014年3月時点でも未だ決定がなされていない。また州によるクリーン自動車補助金の額など本格販売が迫っている4月下旬まで未定となっていた。

HOVレーンのグリーンステッカーについては、4月28日に発表されたCARBのリストにBMW i3 RExが掲載され決定した。この時点で4万枚のステッカー残数が350枚程度になっていたが、カリフォルニア州議会がグリーンステッカー4.5万枚の追加発行(合計8.5万枚)の法案の審議を始めており、BMW i3 RExなどのPHEV新購入者はいずれステッカーの支給を受けられることになりそうである。

このCARBによるステッカーのリストにおけるBMW i3 RExの車種分類はChevy VoltやToyota Prius PHVと同じ「TZEV」になっており、これまでの話のようなZEVに準じる「BEVx」とはなっていない。これは現在手続き中のBMW i3 RExの仕様がCARBによるBEVxの下記条件を満たしていない(例えば、CD距離が75マイル以下、燃料タンク容量が大きいためにAPUによる走行距離がCD距離以上になる?)ためと想像される。
 1.CD距離は75マイル(120.7km)以上
 2.APUによる走行距離はCD距離以下
 3.APUは電池SOCが設定値以下で作動
 4.SULEV排ガス基準とエバポ排出ゼロ基準に適合

一方、BMW i3 RExの購入者が受け取れるカリフォルニア州のクリーン自動車リベートプログラム(CVRP)による補助額はBEV(電気自動車)などのZEVと同額の$2500に5月1日に決定した。事前の予想ではPHEVなどのTZEVが受け取れる$1500の補助と見られていた。これでBMW i3 RExの購入者は、連邦政府の$7500の税クレジットと合わせて$10,000の補助が受けられる。

上のような経緯を見ると、BEVxというTZEVとZEVの中間の新しいカテゴリーの車が導入されるまでに、クリーン自動車推進のカリフォルニア州(CARBなど)と新車種開拓の自動車メーカーのBMWとの間で多くの折衝や調整があったことが想像される。

なお、米国でのBMW i3 BEVは5月上旬納車開始、BMW i3 RExは5月下旬に納車開始

EPAの審査値:BMW i3 RExは「BEVx」の条件を満たせず

Bmwi3rexsticker_2 2014年5月下旬、BMW i3 RExのユーザーへの引き渡しが始まり、新車に掲示が義務づけられているウィンドウステッカー(左の写真)からEPAの燃費関連審査値が明らかになった。

ウィンドウステッカー記載のEPA燃費関連審査値から判断すると、BMW i3 RExは以下に示すようにCARBによる「BEVx」の条件を満たしていないことが判る。

① 外部充電によるEV走行距離(”All Electric Range”)は72マイルとなっており、「外部充電による走行距離(CD距離)は75マイル(120.7km)以上とする」の条件に合わない。
② 外部充電による走行距離にガソリンによる走行距離を足した全航続距離は150マイルと読めるのでガソリンによる走行距離は78マイルとなり、「APU(レンジエクステンダーエンジン)による走行距離はCD距離以下とする」の条件に合わない。

BMW社は、今回のBMW i3 RExのカリフォルニア州での発売に際してBEVxとしての登録を想定していたようだが、上記のようにBMW i3 RExは「BEVx」の条件を満たしていないために、VoltやPrius PHVなどのPHEVと同じ「TZEV」に分類されたと考えられる。2018年からのZEV規制に備えてBEVxを開発してきたBMWとしては、それまでにBEVxの条件に適うように仕様変更するものと考えられる。

Bmwi3epamlitdataBMW i3 RExのウィンドウステッカーに記載のデータからEPAの燃費関連審査値(CityとHighwayを加重平均した"Combined"「複合」データ)をkmおよびリッター単位に換算して右の表に示す。

この表には、レンジエクステンダーRExと並べて電気自動車BEVの値も示した。RExではBEVよりEV走行の電費が6%低くなっている。RExでは電池SOCが約6%まで低下してからエンジンが始動するために外部充電によるEV走行距離は電費の低下と合わせて約11%ほど短かい130kmになっている。

この表にはまた、BMW i3のRExとBEVの国土交通省によるJC08モードの審査値も示した。JC08モードでは、RExの電費低下は8%、外部充電によるEV走行距離は14%ほど短くなっている。なお、電池の容量はカタログより大きい22.4kWh、エンジン始動開始の電池SOCは6%となる。

JC08モード燃費とEPA複合燃費の値を比較すると、電費は1.67倍~1.72倍、燃費は1.65倍とJC08の電費・燃費はEPA複合の値よりも格段に良い値を示している。これは、EPAではユーザーの実際使用条件で達成可能な燃費を提示するための「調整」を行なっているため。EV走行に関する「0.7ファクター」のような「調整手順」についてはこのブログの「米国EPAのユーティリティファクターとPHEVテストデータ: メモ」のを参照されたい。

BMW i3 RExは「ほぼ電気自動車」、日本に向いたBEVxは?

Japanusuf2aBMW i3 REx のEPAによるEV走行距離72マイル(116km)から、米国の平均的ユーザーの電力走行割合は83.3%(左の図のSAEによる米国のMDIUFの値)となる。ZEVの新カテゴリー「BEVx」ではEV走行距離は75マイル(120.7km)以上が条件となっているのでBEVxの電力走行割合は84.2%以上となり、近距離走行を目的に購入される場合が多いBEVxで今後自宅での充電以外に勤務先など目的地での充電機会が増加していくことを考えると、実際の電力走行割合はさらに高くなり、「ほぼ電気自動車」と言えそうである。

日本でのBMW i3 RExでは、国土交通省審査値のEV走行距離196.1kmに相当するユーティリティファクター(UF)は0.958となり、これから「プラグインハイブリッド(複合)燃料消費率」を算出すると、27.4 [km/L] / (1-0.958)=652 [km/L]なので、実に652 km/Lという大きな値になる。国土交通省では、PHEVの「プラグインハイブリッド燃料消費率」表示の取り止めを決めたようで、日本のBMW i3 RExの仕様表にはこの燃費の項目は載っていない。

JC08モードの燃費は実用燃費との乖離が大きく、EPAの複合燃費が日本の実用燃費に近いので、BMW i3 REx のEPA複合のEV走行距離72マイル(116km)を用いて国土交通省規定のUFを求めると0.88となり、日本の実用燃費ベースでも電力走行割合88%の「ほぼ電気自動車」と言うことができる。

CARBによるBEVxの要件の75マイル(120.7km)のような長いEV走行距離になると、ユーティリティファクターの曲線から判るように電力走行割合の増分に対して電池容量の増分が大きくなるために費用(電池容量)に対する効果(電力走行割合)から考えて得策ではない。BEVxの特長を活かしたレンジエクステンダーを日本で導入するとしたら、UF=0.7~0.8辺りが一つの狙い目と考える。

例えば;
 電池容量:12 kWh(参考:BMW i3 22 kWh、LEAF 24 kWh、Outlander PHEV 12 kWh)
 EV走行消費電力量:11.28 kWh(SOC 6%の時にレンジエクステンダーエンジン始動)
 EV走行電費:6 km/kWh(想定実用電費)
 EV走行距離:68 km(11.28 kWh x 6 km/kWh)
 UF:0.73(国土交通省規定のUF曲線による、軽自動車の走行パターンではUFの図からUF=0.89)
 ハイブリッド燃費:17 km/L(想定実用燃費)
 燃料タンク容量:15 L(200km走行後のタンク残量約20%)
 エンジン:小型30 bhp程度(参考:BMW i3 REx 36bhp、マツダ・デミオ・REレンジエクステンダー 29.5 bhp)

このような仕様のBEVxならば、購入費用はそれほど高くなく、ガソリン消費量は大幅に減り(1/4程度)、エネルギー費用は安くなり、電欠などの航続距離不安がなく、通勤・買物などの近距離のほか中長距離ドライブに使用可能なので一家または一人1台持ちの場合にも適するなど、利点が多い。

注: 本稿は2014年4月上旬から6月上旬にかけてBMW i3 RExの米国への導入状況を中心に、BEVxに関わる進展をフォローして書き足してきた。今後、大きな進展があれば本稿への追記または別項として記載する予定である。

関連事項として「プラグインハイブリッド車の燃料消費率 -- BMW i3 REx に見る日本・EU・米国の差 -- 652km/Lと166km/Lと37.4km/L」をここに掲載した。(2014.09.09)

追記1:BMW i3 RExの このロードテストビデオは優れもの!!

BMW i3 REx について知りたかったら、この「Alex on Autos」のビデオは秀逸。

この車について知りたいことを全て、流れるような英語で説明する。英語が判らなくても、必要なポイントは画面に説明が出る。普通のロードテスト番組とは違い、密度の濃い29分20秒。
(2015.05.30)

| | コメント (0)

米国EPAのユーティリティファクターとPHEVテストデータ: メモ

EPAの燃費ラベル規則改定

Epafinalrule2011年7月に米国の環境保護庁(EPA)と運輸省(DOT)高速道路安全局(NHTSA)は、2012年以降販売される全ての新車(乗用車および小型トラック)に貼ることが義務付けられるウインドーステッカー(自動車燃料経済ラベル、Monroney sticker)に関する規則の改定を公布した。この規則改定は電気自動車やプラグインハイブリッド車などの系統電力を使用する車の本格普及に備えたもの。

EPAはこの規則の改定の1年前の2010年8月に規則改定案を提示して業界や消費者からのコメント・意見を募集し、それらを踏まえて上記の規則改定を行った。この規則改定案は電気自動車やプラグインハイブリッド車などの新型の車の燃費表示に関するEPAの提案とそれに至る外部を含めた検討の経緯・内容と改定の意図・内容も含めて、綿々と242ページに亘って説明したもの。これについては本ブログの「新車に貼るステッカーの案をEPAが発表、プラグインハイブリッド車用も。広く意見を募集中」の記事で紹介している。

EPAは、2011年7月の上記規則改定の公布に際して、規則改定案に対して提出されたコメント・意見とそれに対する応答・見解をまとめた369ページの「Response to Comments」を公表している。

規則改定案の作成経緯・意図・内容の説明から、それに対するコメント・意見を整理して公表、そして規則改定の決定公布まで、この種のルール決定におけるステークホルダーの意見を集約・反映する米国の丁寧なプロセスには感心させられる。

PHEVの燃費表示に関係するユーティリティファクター

Ufstatistical4_2[注: ユーティリティファクター、CDレンジ、CSレンジ、PHEV燃費などの基本的な事項については下記を参照されたい。
  「プラグインハイブリッド車の燃料消費率 -- ユーティリティファクタ,電力・ガソリン等価合成の考え方」自動車技術会の会誌「自動車技術」の2014年7月号掲載の解説記事
  「走行パターンとプラグインハイブリッド車の燃費特性 その1.国土交通省によるPHEV燃費測定・表示の要領
  「走行パターンとプラグインハイブリッド車の燃費特性 その2. ユーティリティファクターとPHEV燃費表示の課題」]

公布された燃費表示の規則改定の中で、プラグインハイブリッド車(PHEV)の燃費に関係するユーティリティファクアー(UF)としては米国自動車技術会(SAE)が2010年9月に発行した規格SAE J2841で定義される値を使用することを決めている。

J2841では、従来から用いられてきたフリートUF(Fleet Utility Factor, FUF)とは別の個別UF(Individual Utility Factor, IUF)を定義している。従来からのFUFは車両の走行に関する統計データから

FUF={全車の系統電力による走行距離÷全車の系統電力とガソリンによる走行距離}
で求めていたが、IUFは
IUF={(各車の系統電力による走行距離÷各車の系統電力とガソリンによる走行距離)の全車平均}
を求める方法としている。

SAEとEPAの説明によると、FUFは集団の平均の燃料消費やCO2排出を推定するのに向いており、IUFは平均的なユーザーの燃料消費やCO2排出を推定するのに向いている。

この2つの統計処理方法により2001年の全米世帯旅行調査(NHTS)の自動車走行統計データからUFを求めると、右図に示すように新定義のIUF(多数日Multi-dayのデータを処理するので「MDIUF」と表記)の値は従来のFUF値よりUF=0.5近辺で15%程度高い値になっている。このことはUFの算出において適切な統計処理方法を用いることの重要性を示唆している。なお、J2841では1日のデータが主であるNHTSの統計データを「Commute Atlanta」(アトランタ市で実施された多数日の追跡調査)のデータで補完している。

Saej2841mdiufEPAのPHEV燃費計算で使用されるこのJ2841によるユーティリティファクターMDIUFを左図に示す。横軸のCDレンジ(Charge Depleting Range、系統電力で充電した電池による電力走行距離)は400マイルまでで、400マイル以上はUFは1.0となる。

EPAテストのデータファイルにおけるPHEV燃費部分

Epaufdata2EPAでは燃費テストの結果をデータファイルにまとめて公開しており、2014年データファイルに記載されているPHEVは次の7車。

◉ Cadillac ELR
◉ Chevy Volt
◉ Ford C-Max Energi Plug-in Hybrid FWD
◉ Ford Fusion Plug-in Hybrid FWD
◉ Honda Accord Plug-in Hybrid
◉ Porsche Panamera SE-Hybrid
◉ Toyota Prius Plug-in Hybrid

この7車のPHEVの燃費・CO2排出およびユーティリティファクターの部分を抜粋して右図に示す。この部分は自動車メーカーのPHEV計算スプレッドシート(表計算ファイル)からEPAが公開用に抜粋したもので、スプレッドシートそのものはメーカーの所有物のため公開されていない。

右図の「Charge Depleting Driving Range」の欄に都市Cityと高速道路Hwyとそれらを複合したCombinedのCDレンジの距離が出ており、SAE J2841によるCDレンジとMDIUFと関係から各距離に相当す るMDIUFを求め、これらの値が「Individual Utility Factor」の欄に示されている。

UFが決まると、CDレンジの電費とCSレンジ(Charge Sustaining Range、ハイブリッド走行レンジ)の燃費から、PHEV合成燃費とPHEV合成CO2排出量が算出され、それぞれ「PHEV Composite MPGe」、「PHEV Composite CO2」の欄に示されている。

なお、米国EPAが認定したPHEV用のウィンドウステッカーの現行デザインでは、CDレンジの電費を発熱量で等価のガソリン燃費(MPGe)とし てCSレンジの燃費(MPG)と並べて表示しているが,両レンジの燃費をUFで合成したPHEV合成燃費は示されていない。しかし,ラベルに記載されている年間燃料費用や5年間節約金額などの算出にはUFを用いて計算したPHEV合成燃費が用いられている。

ここで注意する必要があるのは、ウィンドウステッカー記載の数値はユーザーが実際の条件(Real World)で達成可能と考えられる数値をより正確に反映するための「調整手順」(Adjustment Procedure)を経たものであること。プラグインハイブリッド車では、SAE J1711(HEV・PHEVの排ガス・燃費測定の推奨方法)によるテストで得られたCDレンジの燃費や距離などには0.7を乗じ、CO2排出量は0.7で除したものを記載する。なお、CSレンジの調整手順は従来車と同じ。

この「0.7ファクター」は実際の条件であり得る積極的(aggressive)運転、エアコン作動、その他の因子を考慮したもので、電気自動車およびプラグインハイブリッド車のCDレンジに適用される。自動車メーカーがEPAの事前承認を得ればこれ以外の調整方法も可能であるが、大部分は「0.7ファクター」の調整手順を選んでいるようである。

Blendedモードでは「All Electric Range」より「等価All Electric Range」を

Priusphv_epa_labelEPA の2014年燃料経済データファイルに掲載されている7車種のPHEVの内、Cadillac ELRとChevy Voltはレンジエクステンダー型のシリーズPHEVだが、他の5車種はパラレル型PHEVなのでCDレンジにおいて要求出力が設定より大きい時はエンジンが作動する所謂Blendedモードになる。

5車種のパラレル型PHEVの内、EPAの試験条件でBlendedモードになったのはPrius Plug-in HybridとPorsche Panamera SEの2車種で、他の3車種はCDレンジにおいてエンジンが作動しないAll Electric(AE)モードであった。CDレンジにおけるガソリン消費率は、一番右の欄の「PHEV Charge Depleting Fuel Consumption」に示されており、ここがゼロになっている車はAEモード、数値が記載されている車はBlendedモードの車である。

現行のEPAの規則では、ウィンドウステッカーに「All Electric Range」の値を記載することになっており、シリーズ型PHEVではこの値はCDレンジと同じで、パラレル型PHEVでもCDレンジでエンジン作動がなければCDレンジと同じ値になるが、パラレル型PHEVでエンジンが作動して Blendedモードになった場合は「エンジンが作動した時点の走行距離x0.7」の値を「All Electric Range」として記載する。[左の写真はPrius Plug-in HybridのEPA燃費情報を記載したウィンドウステッカー] Prius Plug-in Hybridでは「All Electric Range = 6 miles」となっており、「0.7ファクター」を用いて逆算すると6/0.7=8.6マイル近辺でエンジンが作動したものと思われる。

筆者は、パラレル型PHEVの場合にCDレンジでエンジン作動までに走行した距離(表示数値はその0.7倍)である「All Electric Range」はテスト条件設定に依存する値なのでウィンドウステッカーに記載する意味は少なく、むしろCDレンジでエンジン作動があっても、エンジン駆動分を差し引いた充電電力のみで走行した距離を表す「Equivalent All Electric Range」(EAER等価EVレンジ、EV走行換算距離などとも呼ばれている)を記載した方がユーザーに示す情報として意味がある、と考えている。同様の意見は規則改定案に対して提出されたコメント・意見の中にも出ている。

上記Prius Plug-in Hybridの場合のEPAテスト結果(Combined)のCDレンジの燃費0.2ガロン/100マイルとCSレンジの燃費の2.0ガロン/100マイルから、Prius Plug-in HybridのEAER(等価EVレンジ)=(1-GPM@CD/GPM@CS)xCDレンジ= (1-0.2/2)x11= 9.9マイルと計算される。

そして、Blendedモードの場合のユーティリティファクターUFは、UFの定義曲線図において横軸のCDレンジの代わりにこのEAER(等価EVレンジ)の値を用いるのがUFの定義に適うので、上記Prius Plug-in HybridのEPAテスト(Combined)の場合のUFは、CDレンジ=11マイル → UF= 0.29 の代わりに、EAER(等価EVレジ)=9.9マイル → UF=0.27 となる。

Porsche Panamera SEの場合は、EPAテスト結果(Combined)のCDレンジの燃費0.5ガロン/100マイルとCSレンジの燃費の4ガロン/100マイルから、EAER(等価EVレンジ)=(1-GPM@CD/GPM@CS)xCDレンジ=(1-0.5/4)x16=14マイルと計算される。それ故、UFはCDレンジ=16マイル→UF=0.39の代わりにEAER(等価EVレン)=14マイル→UF=0.35となる。

そもそも、米国EPA(およびその元のSAE J2841)のUFの定義曲線図の横軸は「Charge Depleting Range」となっており、日本の国土交通省のUFの定義曲線図の横軸は「プラグインレンジ/1日あたりの走行距離(km)」となっている。これらの表記はCDレンジがAEモードの場合は正しいが、Blendedモードの場合を含めると横軸は「外部充電電力による走行距離」とする方が良く、用語としては「Equivalent All Electric Range」、「EAER」、「等価EVレンジ」、「EV走行換算距離」などと表記する方が適切と考える。

参考: 日本、米国、EUのユーティリティファクター

Tableufjapaneuus3


Ufforjapaneuus_2
[注] 後日、説明を追加する予定。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

燃料電池車はどの程度エコか? JHFCの検討結果からエネルギー消費量とCO2排出量を他の次世代自動車と比較する

水素燃料電池車の導入には水素ステーションの整備支援や車の販売助成など政府による多額の援助が必要であるが、果たして燃料電池車に「水素を燃料とし、走行時にはCO2を一切排出せず、省エネルギー・地球温暖化対策に大いに寄与することが期待される・・・」と謳われているようなエネルギー・地球環境への効果はどの程度あるのか?

前の記事「自動車メーカーによる燃料電池車の国際共同開発、『バスに乗らない』フォルクスワーゲン社」の続きとして、本稿では「JHFC(水素・燃料電池実証)プロジェクト」によるWell-to-Wheel評価結果から水素燃料電池車のエネルギー消費量・CO2排出量を他の次世代自動車(ハイブリッド自動車、プラグインハイブリッド車、電気自動車)と比較してみる。

JHFCプロジェクトによる次世代自動車のWell-to-Wheel総合効率評価の結果から、標準ケースについては次のように言える。

「エネルギー節減・地球環境保全への効果で見ると、水素燃料電池車はエンジン自動車よりは優れているが、ハイブリッド自動車と同程度で、プラグインハイブリッド車および電気自動車より劣る」

評価方法・前提条件・各種ケースの結果など詳細については、JHFCプロジェクトの報告書またはこのブログの説明を参照下さい。

"Forget Hydrogen Cars, and Buy a Hybrid"

マサチューセッツ工科大学の雑誌「MIT Technology Review」の2014年12月12日号は"Forget Hydrogen Cars, and Buy a Hybrid"(燃料電池車は気にせず、ハイブリッド車を買おう)と題する記事を掲載している。

Forgetfcvmit_2

この記事で言っていること:

◎ FCVに関するメーカーの「燃料電池車は水しか出さない」などの宣伝文句は少し"misleading"(誤解を招く恐れがある)、車を動かす水素の大部分は現在天然ガスから製造しており、製造時に相当な量のCO2を大気に排出している。

◎ 市販されているFCVよりCO2排出の少ない車はいろいろあり、その一つハイブリッド車はFCVの約1/3のコストでリース可能。

◎ 米国環境団体UCSの計算ではヒュンダイの燃料電池車Tucson(ツーソン)はガロン38マイルのガソリン燃費相当のCO2を排出し、これは同じTucsonのガソリンエンジン車のガロン25マイル燃費よりは良い。しかしガロン38マイルより良い燃費の車は沢山あり、例えばトヨタのプリウスVはTucsonより少し車室が広くてガロン42マイル走る。Tucson FCVのリース料が月499ドルなのに対して、プリウスVは月159ドルでリースできる。

◎ 新技術によっていつかは水素がクリーンで安価になるであろう。再生可能エネルギー発電による電解水素や太陽光による直接水分解の可能性もあるが、現在のところ水素の燃料電池車の電気自動車に対する主たる優位性は燃料補給の速さにある。
(2014年12月17日追記)

「ZEV」と「EEV」

カリフォルニア州大気資源局による低公害車の分類の中に「ZEV」(Zero-Emission Vehicle)という最もクリーンな自動車を指す部類がある。八重樫武久氏は「Cordia」ブログの「エミッション・エルスオエア・ビークル」の中でZEVについて次のように述べている。

「ZEVの代表のバッテリー電気自動車(BEV)は、確かに走行時に燃焼による排気ガスを出しませんが、厳密に言えばその走行の為に、地球温暖化ガスである CO2は排出しています。当然の話しですが、充電の為に使用する電気は、どこか(elsewhere)で、エネルギーを消費し排出(emission)して作られたものです。」
このEmission Elsewhere Vehicle(どこか他所で排出する車)略して「EEV」という呼び名はStanford大学のLee Schipper教授が冗談めかしに作ったもので、八重樫さんがブログで紹介しているようにDaniel Yergin の著書"The Quest: Energy, Security, and the Remaking of the Modern World" (日本語版ダニエル・ヤーギン「探求――エネルギーの世紀」)の中で引用されている。カリフォルニア州大気資源局(CARB)で「ZEV」に分類されているバッテリー電気自動車が実際は「EEV」であるのと同様に、CARBで同じく「ZEV」に分類されている水素の燃料電池車も水素を製造する際にCO2を排出する場合は車以外でCO2を排出しているのでこれも「EEV」となる。

バッテリー電気自動車(BEV)や水素燃料電池車(FCV)が再生可能エネルギーあるいは原子力によってつくられる電力や水素によって駆動される場合は発電や水素製造におけるCO2排出がゼロなので、この場合は「ZEV」と言うことができよう。

電気自動車と燃料電池車のエネルギー効率の比較

Bevfcvelecflowcompare_2ここで、バッテリー電気自動車(BEV)と水素燃料電池車(FCV)について電力からスタートした時のエネルギー効率、すなわち電力系統が供給した電力の内で自動車の駆動に使用されるエネルギーの割合を見てみる。

一次エネルギーに再生可能エネルギーを利用するCO2排出ゼロの典型的なケースとして太陽光発電を利用する場合は、左図(Wido@WidodhのTwitterから引用)のようなプロセスになる。再エネ電力が自動車の車輪を駆動するまでに、FCVはBEVに比べて多くのステップが必要となる。オンサイトの電気分解方式ならば図の水素を輸送する高圧ガストレーラー/液化水素ローリーの部分が不要になるが、何れにしてもFCVでは電気->水素->電気のエネルギー変換を経るためにこの部分でエネルギーの60%以上を失う。

BEVとFCVの電力系統から車輪までのエネルギー効率を数値的に比較するには、下の図にあるようにBEVは充電→モーターの段階を経由するのに対して、FCVは電気分解→圧縮/液化→(輸送)→燃料電池発電→モーターなどの段階を経由するので、これらの各段階の効率を評価・積算する。

GridwheelefficiencyGridmotorefficiencyGridmotorgermanreport

上の3つの図に例示されているケースのFCV/BEVのエネルギー効率の比は、

【Ulf Bossel】 19~23/69=1/3.6~1/3
【Eberhard & Tarpenning】 (0.7x0.9x0.4)/(0.93x0.93)=1/3.4
【日本産業機械工業会調査報告】 22.9/63.9=1/2.8
となり、上記の例では電力からスタートした時のエネルギー効率は燃料電池車は電気自動車の1/2.8~1/3.6と低い。このエネルギー変換による損失は供給する電力が再エネ電力でなくても同じである。

すなわち、同じ走行をするのに、水素燃料電池車は電気自動車の2.8倍~3.6倍の電力を消費することになる。この比較は各ステップの一般的な効率から求めたもので、個々のケースについては以下のJHFC総合評価で説明するように想定する具体的な条件における値を入れて計算することになる。

Well-to-Wheelによる総合評価

一般に自動車のエネルギー消費量とCO2排出量を評価する際に、エネルギー採掘の源まで遡って、そこから車のテールパイプまで途中のエネルギー変換プロセスにおけるエネルギー損失やCO2排出を含めて評価する「Well-to-Wheel」(油井から車輪までの意味、略してWtW)の手法が用いられる。

ここでは「JHFCプロジェクト」と略称される「水素・燃料電池実証プロジェクト(Japan Hydrogen & Fuel Cell Demonstration Project)」によるWell-to-Wheel評価結果から考察を行う。このJHFCプロジェクトは経済産業省が実施する燃料電池システム等実証試験研究補助事業に含まれる「燃料電池自動車等実証研究」と「水素インフラ等実証研究」から構成されるもので、Well-to-Wheel評価に関しては2006年に発行された第1期報告と2011年に発行された第2期報告がある。

なお、Well-to-Wheel評価についてはこのほか下記に示すように、米国では自動車メーカー・国立研究所・石油会社による研究、日本ではトヨタ自動車・みずほ総研による研究などがある。

● GM, ANL, BP, ExxonMobil and Shell “Well-to-Tank Energy Use and Greenhouse Gas Emissions of Transportation Fuels – North American Analysis” (2001) Download

● GM, ANL, BP, ExxonMobil and Shell “Well-to-Wheels Analysis of Advanced Fuel/Vehicle Systems — A North American Study of Energy Use, Greenhouse Gas Emissions, and Criteria Pollutant Emissions” (2005) Download

● トヨタ自動車、みずほ情報総研 「輸送用燃料のWell-to-Wheel評価 日本における輸送用燃料製造(Well-to-Tank)を中心とした温室効果ガス排出量に関する研究報告」(2004) Download

ここでは、2010年度に日本自動車研究所(JARI)が発行した報告書「総合効率とGHG排出の分析」にまとめられている上記JHFCプロジェクトのWell-to-Wheel評価結果を中心に以下の参考文献をもとに考察する。

【参考資料】

1.JHFC総合効率特別検討委員会「JHFC総合効率検討結果報告書」(日本自動車研究所発行2006年3月) Download

2.JHFC総合効率検討作業部会「総合効率とGHG排出の分析報告書」(日本自動車研究所発行2011年3月) Download

3.JHFC国際セミナー 企画実行委員会・総合効率検討作業部会 石谷久委員長 特別講演資料「総合効率とGHG排出の分析」 2011年2月28日 Download

このJHFC検討の目的について上記報告書の最初に次のように記している。

「2002 年度から経済産業省の補助事業としてスタートし,2009 年度から新エネルギー産業技術開発機構(NEDO)の助成事業「燃料電池システム等実証研究」として推進されたJHFCプロジェクトでは,燃料電池自動車を主とする各種の高効率低公害(代替燃料)乗用車のWell-to-Wheel総合効率のデータを確定することにより,燃料電池自動車の位置づけを明確にし,燃料電池自動車および燃料電池自動車用燃料供給設備の普及促進を図ることが目的のひとつに掲げられている。」

JHFCではこの調査の前に同様のWell-to-Wheel総合効率の調査を実施しており、この結果は2005年度に「JHFC総合効率特別検討委員会」による「JHFC総合効率検討結果報告書」(上記参考資料1)として日本自動車研究所から公表されている。今回参考にするWell-to-Wheel総合効率の調査(上記参考資料2)は2005年度までの結果を見直し、最新の車両の燃費データ・諸元等を用い,エネルギー消費量・CO2排出量に関わるデータやエネルギーパスなども最新の情報に基づくものを使用している。

2010年度調査では2005年度と同様に、燃料電池車を含む自動車・エネルギー・環境・水素エネルギー・燃料電池・インフラなどに関係する専門家・有識者・関係者による「総合効率検討作業部会」(石谷久委員長)を組織して、データ提供や助言を受けつつ進めている。

総合効率検討作業部会には次の35団体が参加している。

【大学・研究所】
新エネルギー導入促進協議会 東京工業大学 東京大学 横浜国立大学 筑波大学 工学院大学 国立環境研究所 産業技術総合研究所 日本エネルギー経済研究所 地球環境産業技術研究機構

【団体等】
日本自動車工業会 燃料電池実用化推進協議会 石油連盟 電気事業連合会

【企業】
トヨタ自動車 日産自動車 本田技研工業 GM ダイムラー スズキ マツダ JX日鉱日石エネルギー コスモ石油 昭和シェル石油 東京ガス 岩谷産業 大陽日酸 ジャパン・エア・ガシズ 新日鉄エンジニアリング 出光興産 栗田工業 伊藤忠エネクス シナネン 大阪ガス 東邦ガス

以上のほかに、オブザーバーとして経済産業省、NEDO、新日石総研、事務局として日本自動車研究所ほかが参加

Well-to-Wheelの範囲

WelltowheelevaluationWell-to-Wheelを総合した効率とCO2排出の評価は、図(水素燃料電池車の場合)に示すように一次エネルギーの採掘から、燃料製造、輸送、車両への充填を経て、最終的に車両走行にいたる全てのエネルギー消費を考慮した、総合的なエネルギー効率とCO2排出量を評価するもので、Well-to-TankとTank-to-Wheelに分けて評価しこれを総合してWell-to-Wheel評価としている。

評価の対象とする車種

JHFCの検討においては下記の5車種を対象としてWell-to-Wheel評価を行なっている。

●内燃機関自動車(ICEV) 燃料はガソリン、軽油、圧縮天然ガスの3種
   ガソリン(ICEV)
   ディーゼル(DICEV)
   圧縮天然ガス(CNGV)
●内燃機関ハイブリッド車(HEV) 燃料はガソリン、ニッケル水素電池
   ハイブリッド車(HEV)
●プラグインハイブリッド車(PHEV) 燃料はガソリン、リチウムイオン電池、電力走行割合は0.5
   プラグインハイブリッド車(PHEV)
●(バッテリー)電気自動車(BEV) リチウムイオン電池
   電気自動車(BEV)
●(水素)燃料電池車(FCV) 圧縮水素搭載、リチウムイオン電池
   燃料電池車(FCV)
評価対象の車種の基本性能は原則として同等としており、その他の前提条件、車種想定、各車種の燃費・電費などの具体的な数値およびその導出の基礎などは報告書に記載されている。

なお、想定しているプラグインハイブリッド車は「電力走行割合」ユーティリティファクターUF=0.5のもの。因みに、プリウスPHV(2012年式)はUF=0.48、ホンダアコードPHEV(2013年式)はUF=0.59、三菱アウトランダーPHEV(2013年式)はUF=0.72である。

Comparisonvehicles2JHFC報告書では、この一覧表に示す各種水素製造・輸送方式の燃料電池自動車(FCV)と比較の対象とする各種自動車(ICEV、HEV、PHEV、BEV)について定量的評価を行い結果を示している。

燃料電池自動車への水素の供給方式としては、JHFC プロジェクトの実証水素ステーションの各種方式を参考に、標準ケースでは化石燃料オンサイト改質8方式、化石燃料オフサイト改質6方式、商用電力オンサイト電解2方式の合計16方式を評価している。

Well-to-Tankの評価方法

Well-to-Tank評価とは、一次エネルギー(原油、天然ガスなど)の源の油田やガス田などから自動車のガソリンタンク・圧縮水素タンク、バッテリーまでのエネルギーの流れ(輸送、変換などのプロセス)を評価して、車載のタンク・バッテリーに単位(1 MJ)のエネルギーを入れるのに必要な一次エネルギー投入量と途中のプロセスで環境に排出するCO2排出量を計算することを言う。

検討の対象とするガソリン、軽油、電気、水素などの一次エネルギー源からタンク・バッテリーまでのエネルギーの流れ(パス)のそれぞれについて数値的に計算する。このJHFC報告書では80のパスについて計算してWell-to-Tankの一次エネルギーとCO2排出量を算出している。

電力の流れでは電源の構成によってエネルギー投入量とCO2排出量が大きく変わる。この検討における電源構成比には検討当時最新の経済産業省 資源エネルギー庁「平成22 年度電力供給計画の概要」(2010.3)による2009 年の推定実績を用いている。この電源構成による電力を「J-Mix」と呼びこの検討では「標準ケース」としている。

発電のCO2排出量は発電方式により異なり、この検討では電力中央研究所による電源別CO2排出原単位のデータと上記J-Mixの電源構成比から算出している。

Well-to-Tankの評価結果

Welltotankenergyco2図3-14は、標準ケース(日本の2009年の平均電源構成電力、J-MIX)におけるWell-to-Tankの燃料消費量とCO2排出量を水素燃料電池車の水素製造・供給16方式をエンジン自動車、ハイブリッド車、プラグインハイブリッド車、電気自動車と比較したものである。

数値は、燃料1 MJ をタンク・バッテリーに充填するまでの(Well-to-Tank)エネルギー消費量(一次エネルギー投入量)および燃料1 MJをタンク・バッテリーに充填するまでに放出される(Well-to-Tank)CO2 排出量を示している。Well to Tank でのエネルギー消費量は上の目盛で,同CO2 排出量は下の目盛で読む。なお,圧縮水素の車両充填圧力は70MPa。

報告書に記載されている「標準ケース」の結果の整理(p.59)から主なものを下記転載する。

① 水素を製造するためには,現行のガソリンおよびディーゼル燃料を精製する以上のエネルギーを必要とする。
② 日本の平均電源構成を用いた水の電気分解による水素製造および電力発電は,現行のガソリンおよびディーゼル燃料以上に多くのエネルギーを必要とし,CO2 排出量も多い。
③ 現行のガソリンおよびディーゼル燃料以外で比較的必要エネルギーが少なく,CO2 排出量も少ないのは,オフサイトでNG 改質して圧縮水素(CHG)で輸送するパスと,オンサイトでの都市ガス改質のパスである。
④ オフサイト改質で製造した水素を液体水素(LH)にして輸送すると,CHG を輸送・充填するケースと比較して多くのエネルギーを必要とし,CO2 排出量も多い。


Tank-to-Wheelの評価結果

Ttwenergyconsumptionガソリン・軽油が燃料タンクに給油された状態、電気がバッテリーに充電された状態、水素が圧縮水素タンクに充填された状態から、自動車を駆動して1km走行するに要する「Tank-to-Wheel」エネルギー量(MJ)は、各自動車の想定燃費・電費から算出できる。図4-6はJC08モードでの走行の場合。

図4-6に示されているTank-to-Wheelのエネルギー消費率(MJ/km)の大小は其々の自動車のパワートレインの特長から説明できる。

●電気自動車(BEV)はエネルギーとして最も質の良い電気からモーター駆動による電力走行をするので最もエネルギー消費率が小さい。

●水素燃料電池車(FCV)は水素からの燃料電池発電を経てモーター駆動による電力走行になるので、燃料電池発電の損失の分だけ電気自動車よりエネルギー消費率が大きくなる。

●この図では、次にハイブリッド車(HEV)のエネルギー消費率が小さくなっている。ガソリンエンジンの動力を一部電力に変換して機械力走行に電力走行を組合せてハイブリッド走行するので燃料消費率がガソリンエンジン車(ICEV)の64%と効率的である。

●プラグインハイブリッド車(PHEV)は、充電電力による電力走行とガソリンエンジンによるハイブリッド走行を組み合わせるので、エネルギー消費率はハイブリッド車と電気自動車の中間になる。図4-6のハイブリッド走行の値1.17は1kmを全部ハイブリッド走行した時の値で、0.36は1kmを全部電力走行した時の値で、このJHFCの検討ではPHEVとしてユーティリティファクターUF=0.5の車を想定しているので1km走行のエネルギー消費率は1.17x(1-0.5)+0.36x0.5=0.765となる。
(図4-6記載の「*プラグインハイブリッド走行」の値の「0.59」は2009年7月に国土交通省が定めた「プラグインハイブリッド燃料消費率(複合燃料消費率)」の計算方法により 1.17x(1-0.5)=0.585 で算出したもの。この値はガソリン消費量のみで電力消費量は含まない。プラグインハイブリッド車のガソリンと電力の消費量を合算した値は上記の「0.765」となる)

なお、ここで充電電力におけるエネルギー消費率の値はバッテリーに充電された状態のエネルギー量(MJ)をベースにしており、通常の電費が充電器に入る前の交流電力を基準とする所謂「交流電力消費率」で表されるのと異なっているので注意が必要である。(JHFC評価では充電効率86%を想定している)

Well-to-Wheelの評価結果

Welltowheelenergyco2Well-to-TankとTank-to-Wheelのエネルギー消費量とCO2排出量を総合するとWell-to-Wheelの1km走行当たりのエネルギー消費量とCO2排出量の値が求まる。

標準ケース(J-MIX)におけるWell-to-Wheelのエネルギー消費量とCO2 排出量の算出結果(JC08 モード)は図5-3に示されている。この図でWell-to-Wheelのエネルギー消費量(左側)は上の目盛で,CO2 排出量(右側)は下の目盛で読む。

図5-3に示されている燃料電池自動車の水素製造供給16方式を、「オンサイト改質」、「オフサイト改質」、「水電解」の3種に集約して、これら集約3方式の燃料電池車のエネルギー消費量(一次エネルギー投入量)とCO2排出量をエンジン自動車、ハイブリッド車、プラグインハイブリッド車、電気自動車と比較してみる。次の二つの図では集約したデータの最大・最小の値を線の上と下の位置で示し、最大最小の中間の値を点で示した。

PrimaryenergyperkmrCo2perkmr


なお、報告書には、筆者がJHFC評価結果から作成した上の二つの図のような縦軸にエネルギー消費量とCO2排出量をとり横軸に車種をとって端的に比較した図は掲載されていない。

JHFC「標準ケース」評価のまとめ

これらの図から判るように、JHFC標準ケースの燃料電池車のエネルギー消費量とCO2排出量には水素製造供給16方式でその大きさに差があるが、水素燃料電池自動車と他の次世代自動車とのエネルギー消費量とCO2排出量の比較結果は次のように整理できる。

エネルギー消費量(1km走行当たりの一次エネルギー投入量)

1,水電解水素を使用する燃料電池車のエネルギー消費量は、ハイブリッド車、プラグインハイブリッド車、電気自動車はもとより、エンジン自動車よりも大きい。

2,最もエネルギー消費量が小さい燃料電池車でもハイブリッド車と同程度のエネルギー消費量であり、最もエネルギー消費量が小さい燃料電池車よりもプラグインハイブリッド車と電気自動車の方がエネルギー消費量が小さい。

CO2排出量(1km走行当たりのWell-to-Wheel CO2排出量)
1,どの燃料電池車のCO2排出量もエンジン自動車よりは小さい。燃料電池車水素製造供給16方式のCO2排出量の巾の中にハイブリッド車が入る。

2,最もCO2排出量の小さい燃料電池車でもプラグインハイブリッド車と同程度のCO2排出量であり、最もCO2排出量の小さい燃料電池車よりも電気自動車の方がCO2排出量が小さい。

報告書のWell-to-Wheel評価の「標準ケース」の結果の整理(p.90)にも次のように記述されており、上記と同様の結論になっている。

① 水電解を除くすべてのFCVパスで,ICEVより必要エネルギー,CO2排出量とも改善される。
② FCVとHEVを比較すると,必要エネルギーはHEVの方が少ないが,CO2排出量についてはFCVの方が少ない場合もある。
③ オフサイト大規模NG 改質CHG 輸送のFCVはHEVよりCO2排出量が少なくなっている。
④ オンサイト都市ガス改質およびオンサイトLPG改質のFCVは,ガソリンHEVに比べてCO2排出量が下回る。
⑤ CHG輸送とLH輸送のFCVを比較すると,必要エネルギー,CO2排出量の両方でLH輸送の方が大きい。
⑥ 必要エネルギー,CO2排出量とも最も少ないのはBEVおよびPHEV(EV)である。

以上、水素燃料電池車のエネルギー消費量・CO2排出量を他の次世代自動車(ハイブリッド自動車、プラグインハイブリッド車、電気自動車)および従来型エンジン自動車と比較した標準ケースの結果を総合して、

エネルギー節減・地球環境保全への効果で見ると、水素燃料電池車はエンジン自動車よりは優れているが、ハイブリッド自動車と同程度で、プラグインハイブリッド車および電気自動車より劣る
と言えよう。

なお、このJHFCの検討では上記日本の平均電源構成(J-MIX)を用いた「標準ケース」のほか、電力では一次エネルギーを一つに固定するケース(no-MIX)について、また水素製造では副生水素、バイオマス起源水素、再生可能エネルギー電力による電解水素(国内のほか海外のパタゴニアの風力発電、オーストラリアの太陽光・太陽熱発電の電解水素を船で輸送するケースを含む)についても評価している。

また、発電プラントや水素製造プラント(オフサイト大規模改質装置のほかオンサイトの都市ガス改質装置)でCO2を回収し貯留サイトまで輸送して貯留するCCS(CO2回収・貯留)のケースも評価している。これらの検討対象のエネルギーパスは80パスあり、主要なケースの各自動車のエネルギー消費率とCO2排出量についてはデータのほか比較図が示されている。

一次エネルギーを天然ガスのみに固定した場合

ここで一次エネルギーを天然ガスのみに固定した場合についてJHFC報告書の評価結果をもとに考察してみる。

天然ガスはシェールガス採掘技術の確立により一気に供給量が増え、石炭・石油よりエネルギー量当りのCO2排出量が少ないこともあり、天然ガスの輸送燃料としての需要は今後増大していくと見られている。(OECD/IEAのMedium-Term Gas Market Report

天然ガスの水蒸気改質法は、従来から大量の水素を安価に製造する工業的に主流の水素製造方式である。JHFC評価においてはFCVへの水素供給16方式の内6方式が天然ガスベースであるが、これら各種方式の中で水蒸気改質の水素製造法が最も効率が良いので、オンサイトおよびオフサイトの改質水素方式について評価する。

一方、エンジン自動車に天然ガス燃料を使用する圧縮天然ガスエンジン自動車(CNGV)の開発・導入が加速しつつあり、これが今後ハイブリッド自動車、さらにプラグインハイブリッド車と電動化していくのは当然の方向と考えられる。そこでガソリン燃料の場合と同様に天然ガス燃料の場合も、エンジン自動車・ハイブリッド自動車・プラグインはブリッド車について評価する。

一次エネルギーを天然ガスのみに固定して次世代自動車のエネルギー・環境性能を比較する際には、電気自動車、プラグインハイブリッド車、燃料電池車(水電解水素供給)への電力の供給は天然ガス火力発電を想定することになる。

一次エネルギーを天然ガスに固定した場合のJHFCのエネルギー投入量・CO2排出量の評価結果は報告書p.101の図5-12に示されている。この図に示されているデータをもとに、下記の7車種(エンジン自動車と次世代自動車6車種)について1km走行当りの一次エネルギー投入量とCO2排出量を比較してみる。

 ① 都市ガス圧縮充填の圧縮天然ガス燃料エンジンCNGV「エンジン自動車」
 ② 都市ガス圧縮充填の圧縮天然ガス燃料エンジンCNGVの「ハイブリッド自動車」*
 ③ 都市ガス圧縮充填の圧縮天然ガス燃料エンジンCNGVの「プラグインハイブリッド車」*
 ④ 天然ガス火力発電の電力による電池充電のBEV「(電池)電気自動車」
 ⑤ 水素ステーションで都市ガスを改質する天然ガスオンサイト改質水素使用のFCV「燃料電池車(オンサイト改質)」
 ⑥ 集中型プラントで天然ガスを改質し水素ステーションに輸送する天然ガスオフサイト改質水素使用のFCV「燃料電池車(オフサイト改質)」
 ⑦ 天然ガス火力発電の電力による水素ステーションにおける水電解の天然ガス電力-水電解水素使用のFCV「燃料電池車(水電解)」

上で*印の車種についてはJHFC報告書では評価されていないが、筆者がJHFC評価のガソリンエンジン車のICEV-HEV-PHEVの関係からエネルギー消費量・CO2排出量ともにHEV/ICEV=0.65として推算した。なお、天然ガス燃料のPHEVの電力走行距離割合(ユーティリティファクター)はガソリン燃料の場合と同じUF=0.5を想定した。

一次エネルギーを天然ガスに固定した場合のこれら7車種のエネルギー投入量とCO2排出量の比較を標準ケースと同じグラフ形式で表示すると下の2図になる。

PrimaryenergyperkmngCo2perkmng

上の2図から、一次エネルギー源を天然ガスに固定した場合の水素燃料電池車と他の次世代自動車および従来型エンジン自動車のエネルギー消費量とCO2排出量の比較結果は次のようにまとめられる。

エネルギー消費量(1km走行当たりの一次エネルギー投入量)

1.オンサイトおよびオフサイト改質水素を使用する燃料電池車の一次エネルギー投入量はハイブリッド車と同程度で、プラグインハイブリッド車・電気自動車より大きい。
2.水電解水素を使用する燃料電池車の一次エネルギー投入量は、エンジン自動車と同程度でハイブリッド車・プラグインハイブリッド車・電気自動車よりはるかに大きい。
CO2排出量(1km走行当たりのCO2排出量)
1.オンサイトおよびオフサイト改質水素を使用する燃料電池車のCO2排出量はハイブリッド車と同程度で、プラグインハイブリッド車・電気自動車より大きい。
2.水電解水素を使用する燃料電池車のCO2排出量は、エンジン自動車と同程度でハイブリッド車・プラグインハイブリッド車・電気自動車よりはるかに大きい。
以上、一次エネルギー源を天然ガスに固定した場合の水素燃料電池車のエネルギー消費量・CO2排出量を他の次世代自動車および従来型エンジン自動車と比較した結果を総合すると、
エネルギー節減・地球環境保全への効果で見ると、オンサイトおよびオフサイト改質水素を使用する燃料電池車はエンジン自動車よりは優れているが、ハイブリッド自動車と同程度で、プラグインハイブリッド車および電気自動車より劣る
という標準ケースと同様の結論になる。

Well-to-Wheel評価 – JHFCとトヨタ自動車の効率値を比較する

一次エネルギーとして天然ガスのみを用いた場合の次世代自動車のWell-to-Wheel(総合)効率の比較評価としては、本文に記載のJHFCの評価のほかに、総合資源エネルギー調査会・第28回基本問題委員会(2012.7.5)にトヨタ自動車が提出・説明した資料「水素・燃料電池自動車(FCV)の取り組み」の中の図(p.12、下記転載)がある。

Toyotafcv284p12

この図では、燃料電池車(FCV)と電気自動車(EV)の総合効率の値がJHFCの評価結果と全く逆になっている。

すなわち、JHFCの評価結果(10.15モードの場合)ではEVの総合効率がFCVの約1.3倍となるのに対し、トヨタ自動車の資料では逆にFCVの総合効率がEVの約1.3倍となっている

トヨタ自動車によるCNGV-HV、FCV、EVの「燃料の効率」、「車の効率」、「総合効率」の値とJHFCによるこれらの効率の値を比較して下の表に示す。

Efficiencycomparisonjhfctoyota

この表のJHFC欄の効率値はJHFC報告書に記載されている評価結果から次のようにして求めた。

① JHFCの圧縮天然ガスハイブリッド車(CNG-HV)の値はJHFCの評価データを参考に推算(推算方法は本文の「一次エネルギーを天然ガスのみに固定した場合」に記載)した値から算出

② JHFCのTank-to-Wheel評価値はMJ/kmで示されているので、効率値にするためにトヨタ自動車のCNG-HVの「車の効率」34%を基準としてJHFCのMJ/km評価値 (10・15モード)から算出

③ 「総合効率」欄のJHFCの値はJHFCの評価値から算出した「燃料の効率」と「車の効率」の積として計算

この表から、FCVとEVの総合効率におけるトヨタ自動車の試算とJHFCの評価の間の差は、それを構成する「燃料の効率」と「車の効率」における以下に示すような両者の評価値の差に起因していると推測する。

① FCVの「車の効率」はJHFCの49%に対してトヨタ自動車は60%になっている。トヨタ自動車のFCVの「車の効率」の60%の値は、燃料電池での発電効率とそれ以降のインバーター・モーターなどの効率を含んだものとしては大きい値である。インバーター・モーターなどの効率から逆算すると燃料電池の発電効率は70%以上になり、現状の燃料電池効率がトップランナーでも60%程度(LHV)なのに対して大きな値を想定している。

② EVの「燃料の効率」はJHFCの40%に対してトヨタ自動車は32%になっている。トヨタ自動車のEVの「燃料の効率」32%の値は、天然ガスの「採掘・液化・運搬」効率85%、「送電」効率95%および「充電」効率86%を用いて「火力発電」の発電効率を逆算すると46%となる。この46%の値は現在発電効率57%(LHV、送電端)の天然ガス火力発電プラントが既に導入されているのに対して小さい値を想定している。

③ 上記の差に加えて、FCVの「燃料の効率」とEVの「車の効率」における其々約6%の差が両者の評価の差を大きくする方向に働いて、「総合効率」がJHFCの「EV:FCV=1.31:1」に対してトヨタ自動車の「EV:FCV=1:1.38」という全く逆の評価になったと推測する。

同じ天然ガス起源の燃料電池車とハイブリッド車・電気自動車の総合効率評価値にこのような大きな差があることは議論・憶測を呼ぶので、試算・評価の条件や根拠などが公開されていることが望ましい。
(2013年10月26日追記)

関連ブログ:
 ●『「水素社会」は来るか? 今後の水素エネルギー利用の方向』
 ●『低温ガソリンSOFCで自動車が変わる?』
 ●『自動車メーカーによる燃料電池車の国際共同開発、「バスに乗らない」フォルクスワーゲン社』

| | コメント (1) | トラックバック (0)

より以前の記事一覧

その他のカテゴリー

優れもの | 囲碁 | 研究開発 | 自動車