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碁盤の座標:各種方式の比較と今後の方向

囲碁の盤上の位置を表す座標には、いくつかの表記形式が存在する。たとえば、国際的な座標フォーマットである「英字国際式」では、左下を原点とし、横方向に英字(A~T)、縦方向に数字(1~19)を用いる表記が広く使われている。一方、日本国内では、新聞や雑誌などで、左上を原点とし、横に数字、縦に漢数字を用いる伝統的な「漢数字式」が用いられている。

新聞・雑誌・インターネットの囲碁対局サイト・棋譜AI解析ソフト・棋譜編集ソフトなどで、実際に使用されている座標形式は、おおよそ次のように整理できる。ここでは、複数の座標系を選択可能な「Kiin Editor」(棋譜記録ソフト)とLizzieYZY(AI棋譜解析ソフト)における命名を参考にして記載する。

1. 座標形式の主な使用例

1)漢数字式:原点左上 横:1 2 3 …、縦:一 二 三 …

* 別名:日本式、新聞式

例:新聞囲碁欄(読売新聞)↓

Yomiuri

 2)英字国際式:原点左下 横:A B C …、縦:1 2 3 …

* 別名:KGS式、IGS式

例:KGS(インターネット囲碁対局サイト)↓

Kgs

3)英字式:原点左上 横:A B C …、縦:1 2 3 …

* 別名:野狐式

例:野狐囲碁(ネット対局サイト)↓

Fox

 4)数字式(上から):原点左上 横:1 2 3 …、縦:1 2 3 …

* 別名:TLN2式(後述)

例:LizzieYZY(AI棋譜解析ソフト)↓

Lizzieyzy

5)数字式(下から):原点左下 横:1 2 3 …、縦:1 2 3 …

* 別名:BLN2式(後述)

例:LizzieYZY(AI棋譜解析ソフト)↓

Bln2_lizzieyzy

 6)両英字式:原点左上 横:a b c …、縦:a b c …

* 別名:SGF式

例:SGFファイル(棋譜記録フォーマット)↓

Sgf_axis

 2. ソフトウェアにおける座標選択の例

Kiin Editor(棋譜編集ソフト)では、次の4形式から座標を選択できる。

* なし(座標非表示)
* 漢数字式:原点左上/横:数字、縦:漢数字
* 英字式:原点左上/横:英字、縦:数字
* 英字国際式:原点左下/横:英字、縦:数字

LizzieYZY(AI棋譜解析ソフト)では、次の4方式から選択可能である。

* 英字国際式(デフォルト)
* 英字式(野狐式)
* 数字式(上から)
* 数字式(下から)

なお、雑誌『碁ワールド』(日本棋院)の記事中に掲載される棋譜は、基本的に座標表示なしである。↓

Goworld

 3. 座標形式ごとの読みやすさと直感性

これらの座標表記を用いた実際の棋譜を見比べると、形式ごとに読みやすさや分かりやすさに差があり、盤上の位置を直感的に把握しにくい場面も少なくない。

横・縦ともに数字で表す「数字式」の座標は、一般の科学・技術分野の図表でも広く使われている形式であり、視覚的な整合性が高く、直感的にも理解しやすい。将来、囲碁の座標表示をどこかで統一していくとすれば、各種の座標表記方式の中から、この「数字式」が有力な候補になると考えられる。

 4. 「数字式(上から/下から)」の比較

数字式には、「数字式(上から)」と「数字式(下から)」の2方式がある。
数学の座標平面に対応させて考えると、

* 数字式(上から)は第4象限、
* 数字式(下から)は第1象限

にそれぞれ相当する。

数学や物理のグラフになじみのある人にとっては、第1象限のグラフに相当する「数字式(下から)」のほうが自然に感じられるかもしれない。

しかし一方で、

* パソコン画面などでは「左上原点」の座標系が広く使われていること
* 日本で普及している漢数字式は「左上原点」であり、その縦座標の漢数字をそのまま洋数字に置き換えれば「数字式(上から)」になること

を考えると、実務的には「数字式(上から)」への移行のほうがスムーズだとも考えられる。

 5. TLN2式とBLN2式という名称の提案

数字式の2方式の呼び名として、次の略称を提案したい。

「数字式(上から)」
→ Top Left Origin Numeric 2 Axis
→ 略称:TLN2式

「数字式(下から)」
→ Bottom Left Origin Numeric 2 Axis
→ 略称:BLN2式

TLN2およびBLN2の両方式は、数学的座標系との親和性が高く、人間にも直感的に理解しやすい形式であると考えられる。

TLN2式およびBLN2式では、盤上の位置表記に、数学で一般的な (x, y) 形式を用いる。

 6. TLN2式とBLN2式における代表点の例

19路盤で、いくつか代表的な点を TLN2/BLN2 の両方式で表すと、次のようになる。

| 盤上の位置     | TLN2式 (左上原点) | BLN2式 (左下原点) |
| -----------     | -------------------- | ------------------- |
| 右上隅の星     |         (16, 4)         |        (16, 16)       |
| 左下隅の三々  |         (3, 17)         |         (3, 3)          |
| 天元             |         (10, 10)        |        (10, 10)       |

実際の運用にあたっては、上下左右の4辺すべてに 1~19 の数値を表示しておくと、盤上の位置の把握がさらに容易になると思われる。

7. 追記:碁盤の座標方式の比較表

上で説明した碁盤の各種座標方式について、比較表を下に示す。

2

注記:本稿は2025.11.27に旧稿を全面的に改定しました。

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