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囲碁AIソフトの分析結果の「ホークアイ」表示

サッカーやテニスなどスポーツの審判補助システムとして使用されている「ホークアイ」(Hawk Eye)は、複数の高速度カメラがボールの位置をリアルタイムで捉えて、そのデータを3Dのイメージに変換して審判の判定の補助をします。

囲碁AIソフトのLizzieYZYには、棋譜分析した結果を総括的に表示する「ホークアイ」機能がついています。これはスポーツのホークアイと同様に、棋譜をAI分析した結果から対局者の戦いぶりを鷹の目のように鋭く、鳥瞰的に総合して、定量的に表示するものです。

AI分析結果のホークアイ表示

井山本因坊に一力棋聖が挑戦した2023年7月の本因坊戦の第7局(棋譜ダウンロード )を例にホークアイを説明します。

この一戦のLizzieYZYによるAI分析結果は↓のように示されます。

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上の左側の図で、横軸は初手から最終手まで、青線が形勢、赤線が目差で、中央より上方は黒有利、下方は白有利です。(形勢は中央が50%で下上0~100%、目差は中央がゼロで上下に任意スケール)

右の盤面は1日目の最後の手(白70)を打ったところ。左の図中の縦の白点線がその位置です。黒71は封じ手で左上隅の星横E-16打たれました。

この対局は、井山本因坊が1勝3敗の劣勢から二盤を勝って3勝3敗のタイに戻した後の最終戦。二連勝の勢いに乗っているように、黒の井山が1日目封じ手時点で勝率94%とリードしていました。ところが、2日目は初めから白の一力が劣勢から優勢へ逆転しました。上の左図で形勢は白の点線を折り目に対称的に変わりました。

これをホークアイで見てみます。↓

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ホークアイの各欄の説明

上左欄: 正確度=打った手がAIの最善手に対してどのくらい正確だったか探索数の比を算出、最高は100%。一致率=AIの候補手との一致率、最高は100%。ここでは一致率として上位2位までの候補手との一致をとっています。

上右欄: 各人が打った手の各手の目差(または勝率)の損失の分布。AIからみると、最善手で減点ゼロなので、その他はマイナスの手になります。

下欄: 横軸が初手から最終手まで。空色の線が黒から見た勝率、赤線が黒から見た目差。上が黒有利、下が白有利。緑色の部分が白の手がAIと一致した時、青色が黒の手がAIと一致した時を示します。

ホークアイは全局を通した評価のほかに、部分的な評価もできます。上の本因坊戦で戦局が大きく動いた1日目の後半と2日目の前半を見てみます。↓

Iyamichirikihoninbou7hawkeye2

1日目後半の49手分と2日目前半の43手分のホークアイを比較すると正確度や一致率などの指標が全く反対になっていることが判ります。鍛え抜いたプロの勝負において一晩でこのように変わるのか? 両者にどのような心境の変化があったのか? などいろいろ想像ができます。

正確度・一致率の平均値は実力を示す指標

一局全体で、打った手をAIの最善手と比較した「正確度」、AI候補手との一致の程度を示す「一致率」の値は、打った手の平均の質(的確さ)を示す指標で、互先ではこれらの値が高い方が勝つケースが多いです。

私は、最近の自分が対局した棋譜は全てLizzieYZYで分析してホークアイを見ています。良く打てた局は正確度・一致率の値が高く出ており、逆に調子の悪かった局はこれらの値が低く出ています。

私は、米国に本拠がある対局サイトのKGSで常時打っており、そこのランクは1D(2Dや1Kに上下することも偶にある、Dは段、Kは級の意味)、碁会所では六段程度の実力です。最近の一局を通した一致率の値は、平均すると50%前後、調子の良いときは50%後半、調子の悪いときは40%台前半から30%台も偶にあります。正確度は一致率より数%~10%程度高く出るのが普通です。

正確度・一致率の数値について私レベルのアマとプロと比較するのは盤面の複雑度が格段に違うのであまり意味がないと思いますが、プロの対局を分析した場合の一致率の値は平均的に60%台、トッププロは70%台になる場合が多く、80%台に達することも稀にあります。

リーグ戦仲間など私と同レベルの人との対局を分析した正確度・一致率の平均値は、囲碁の実力を示す一つの指標と考えることができると思っています。

ホークアイで実力の経年変化を推測する

私は、2000年代からiGoCCやKGSでネット碁を打っており、その対局の棋譜(sgfファイル)を保存しており現在400局以上になっています。そこで、これらの棋譜をサンプリングしてホークアイの正確度・一致率を調べて私の囲碁の実力の経年変化を調べてみることにしました。

400局の中から約5年間隔で各10局(勝負各5局)をランダム抽出してホークアイで正確度と一致率を調べました。その結果は ↓、

Changebyage

上の図から、2005年から2023年に至る10数年の間に実力の変化は認められない、という結論に達しました。KGSでのここ15年間くらい平均ランク1Dで打っていることからも、実力の経年変化は無いと言えると思っています。

熱心に勉強して対局している割には強くなっていませんが、高齢になっている割には弱くなっていないのはAIソフトによる棋譜分析の効果と思っています。

[参考] LizzieYZY日本語版に関する情報

Lizzieyzy日本語バージョン(リリース)

LizzieYZY日本語版ダウンロードサイト

 

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コメント

堀さん
感嘆の一語に尽きます。私も堀さんとは同年代の筈なのですが。
吉田育之

投稿: yoshi794 | 2024.04.08 12:56

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