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2017年1月

超絶棋士「Master」現わる -- 囲碁の友人への年賀状

超絶棋士「Master」現わる -- 囲碁の友人への年賀状(2017年1月2日付)

新年明けましておめでとう御座います。今年もよろしくお願いします。

私は、1月1日から囲碁にどっぷり浸かっています。

と言うのは、「野狐囲碁」という中国の1万人以上が集まるインターネット対局サイトに入り浸っているからです。ここに最近もの凄く強いコンピューター囲碁ソフトが現れて、中国・韓国・日本のプロが大勢集まってこのソフトと対局しており、これを何千人もの人が観戦しています。

Foxigomasterjpgo01

昨年12月「KGS」というサイトで日本のソフトのDeepZenGoがアマ高段者や若手プロを相手に9割以上の勝率で無双をしていたところ、突然「GodMoves」(神の着手)という謎のソフト(or人間)が現れ、初手天元などの舐めた手でしかも1手平均5秒くらいでこのDeepZenGoを3タテで破ったことは新聞でも取り上げられました。

暮れも押し詰まった頃から、野狐サイトに「刑天」という中国Tencent社(?)のソフトが登録され、並み居る中・韓・日のプロ(世界ランク1位の柯潔も含む)を相手に38勝7敗の好成績を挙げていました。

ところが、今年になってこのサイトに「Master」というソフトが韓国籍で登録されて、これがプロ相手に目下10勝0敗で驀進しています。

先程、日本の井山6冠が対局しましたが、135手で中押しで負けました。この対局は突然予告なしに始まりましたが、4000人もの人が観戦していました。それだけこのMasterには関心が集まっています。

Masterとは何者か? AlphaGoは韓国棋院から名誉9段を貰っているので、この韓国籍で登録されたMasterはAlphaGoの新しいバージョンだという噂もあります。

コンピューター碁ソフトの目下の実力は、事情通に言わせると次のようになっているそうです。ただ、囲碁サイトでの対局は持ち時間の短い早碁ですので、普通の対局の実力とは異なりソフトに有利な可能性があります。

 Master>刑天>GodMoves>AlfaGo(2016年3月)>トッププロ>DeepZenGo(2016年11月)

碁がAIのソフトで益々面白くなってくると思います。

では、本年もよろしく。
(2017年1月2日夜)

追記1: 「Masterはアルファ碁の改良版」Googleがツィッターで公表

Hassabistwitmaster_21月4日、Google DeepMind社のCEOのデミス・ハサビスツィッターで野狐囲碁で30連勝(その前の東洋囲碁でも30連勝)して60勝0敗のソフト「Master」は、2016年3月に韓国のリー・セドルに4勝1敗で勝利した「AlphaGo」の改良版であることを発表しました。

ハサビスCEOは

「新しいプロトタイプが希望通りに動くか、非公式のネット碁の早碁の条件で対局させた」

「東洋囲碁でMagister(P)、野狐囲碁でMaster(P)のアカウントと対局した皆様、観戦した皆様に感謝する」

「非公式のテストが完了したので、公式のフル持ち時間の対局を棋院・棋士(いずれも複数)と協力して年内に行いたい。これについては近い内に発表したい」

と述べています。
(2017.01.07)

追記2: Masterがプロ棋士と対局した全棋譜のダウンロード

Masterが2016年12月29日から2017年1月4日まで、東洋囲碁と野狐囲碁の両サイトで中国・韓国・日本のプロ棋士と対戦した全60局の棋譜はここからダウンロードできます。
(2017.01.07)

追記3: Masterはどのくらいの強さなのか?

(注意:以下の考察は、東洋および野狐サイトにおけるMasterの6日間の早碁の戦績データから大雑把な仮定をおいて当たり計算をしてみたもので、今後を予想するものではなく、また内容は修正/訂正する可能性があります)

① Masterの期待勝率

Master(A)の対局相手(B、複数だが集団の平均で考える)に勝利する期待勝率(EA)

60連勝(*1)する確率を50%とすると期待勝率EA=0.5**(1/60)=0.9885
45連勝(*2)する確率を50%とすると期待勝率EA=0.5**(1/45)=0.9847

*1 東洋囲碁および野狐囲碁における全対局数(60勝0敗)
*2 東洋囲碁および野狐囲碁におけるレーティングの判明しているプロ棋士との対局数(45勝0敗)(出所:「コンピューター囲碁ソフトについて語るスレ47」 #271)45局対局した棋士(複数局打った棋士もいる)のGoRatingのELO世界ランク(*3)では1位~223位の範囲で平均は42位、ランク42位のELOレーティング(2017年1月4日現在)R=3,391。
*3 このELO世界ランクキングは公式戦のみ集計しているので、今回のような非公式・早碁の結果は反映されない。現在の第1位の棋士はKe Jie(中国の柯潔)R=3,627、第2位はAlphaGo(2016年3月のバージョン)R=3,599。

② Masterとプロ棋士とのレーティング差

期待勝率EAのMaster(A)の対局相手(B)とのELOレーティングRの差(RA-RB)は

     EA=1/{1+10**(RB-RA)/400}(イロレーティングWiki)から

     (RA-RB)=400log{1/(1-EA)-1}

60連勝の期待勝率EA=0.9885の場合はELOレーティング差RA-RB=774
45連勝の期待勝率EA=0.9847の場合はELOレーティング差RA-RB=724

以下、45連勝の戦績データに基いて述べる。ただし、この非公式・早碁のデータを適用できるとした仮想的な話である。

③ MasterのELOレーティング

45局対局したプロ棋士の平均ELOレーティングRB=3,391からMasterのELOレーティングRAを推定すると、Master(A)のELOレーティングはRA=3,391+724=4,115

④ Masterの第1位棋士に対する期待勝率

世界ランク第1位の棋士のELOレーティングRB=3,627、MasterのELOレーティングRA=4,115として

     EA=1/{1+10**(RB-RA)/400}

上の式から

Masterの第1位棋士に対する期待勝率 EA=0.9432
第1位棋士のMasterに対する期待勝率 EB=0.05683=1/17.60

すなわち、ELOレーティング4,115のMasterとELOレーティング3,627の第1位棋士が対戦した時の、Masterの期待勝率は0.9432(17~18局に1回負ける程度)、第1位棋士の期待勝率は0.05683(17~18局に1回勝つ程度)となる。

因みに、Masterと45局対局したプロ棋士の平均とのELOレーティングの差(RA-RB)=724は、第1位棋士(ELOレーティング3,627)と第679位棋士(ELOレーティング2,903)の差に相当する。なお、2017年1月4日現在のGoRatingには世界の棋士869人のELOレーティング(最下位2,585)が記載されている。
(2017.01.08)

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