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2015年7月

WLTPにおけるPHEV燃料消費率のためのユーティリティファクターの検討

世界調和の燃料消費率に関する国際的な検討の場として「WLTP」がある。WLTPとは国連の「自動車基準調和世界フォーラム」(World Forum for Harmonization of Vehicle Regulations)の一環の「小型車の世界共通排出ガス試験法」(Worldwide harmonized Light-duty Test Procedure, 略称WLTP)ワーキンググループのことで、この中の「EV(E-Lab)」サブグループや「電気自動車・環境」(Electric Vehicles and the Environment, EVE )ワーキンググループなどがBEV/PHEV/HEVに関する検討作業を行ってきている。

これらのワーキンググループでは、BEV/PHEV/HEVの標準試験法や規制リファレンスガイドなどのとりまとめ・提案を行なっており、この中で「世界調和ユーティリティファクター」(Global Harmonized Utility Factor)についても統計データをまとめる方法論などの議論を行なっている。本ブログではここの中で言及しており、WLTP関係の元の資料はUNFCEのサイトから入手可能である。

世界統一試験サイクルWLTC(Worldwide harmonized Light duty driving Test Cycle)による
PHEVのCD(電力走行)レンジおよびCS(ハイブリッド走行)レンジの試験手順
Wltcforphev ユーティリティファクター(UF)とは、PHEVの全走行距離の中に占める充電電力による走行距離の比率すなわち電力走行(距離)割合のことで、この値には国の平均、地域の平均、任意の集団の平均から個人の値までいろいろな定義が可能である。この値は、これら集団~個人のドライブパターン(実働1日あたりの走行距離の頻度分布)から計算で求まるが、統計処理の方法でFUFやIUFのように異なった値が導出される。ユーティリティファクターを使用すれば当該集団または個人の実効的な燃料消費率・CO2排出量が計算できる。

本ブログではユーティリティファクターについて多くの箇所で論じてきたが、総括的には次の3資料が参考になる。

 ① 「プラグインハイブリッド車の燃料消費率 -- ユーティリティファクタ,電力・ガソリン等価合成の考え方」(「自動車技術」2014年7月号執筆記事
 ② 「走行パターンとプラグインハイブリッド車の燃費特性 その1.国土交通省によるPHEV燃費測定・表示の要領」
 ③ 「走行パターンとプラグインハイブリッド車の燃費特性 その2. ユーティリティファクターとPHEV燃費表示の課題」

「世界調和ユーティリティファクター」とは、各国/各地域におけるユーティリティファクターを同じ基準で評価することである。このためには自動車のドライブパターンの統計データ収集作業など各国/各地域における作業が必要になる。WLTPの場では、どのような定義のユーティリティファクターを用いるかなど、世界調和試験法のワーキンググループの目的に適った検討と整理が必要と考える。なお、世界の各国/各地域のユーティリティファクターが得られれば、これらを総合した世界平均のユーティリティファクターを導出することも可能になる。

本稿執筆時点(2015年7月)までのE-Labサブグループの検討においては、フェース1として地域ごとのユーティリティファクターを適用することとし、世界調和ユーティリティファクターに関する検討を引き続き行うとしている。

具体的な提案としては、2014年の会合においてACEAからの参加メンバーから次のような提案が出されている。
 ◯ 各参加国は地域の自動車走行データに基づくユーティリティファクターを作成する
 ◯ ユーティリティファクターの導出方法をGTR 1B(GTR=国際技術規則Global Technical Regulations)に利用可能なデータベースとともに記述する

さらに、2015年のWLTP IWGの会合においてサブグループからの下記提案が説明され、WGのまとめに含めることが決定されている。
 ◯ ユーティリティファクターには、米国自動車技術会のSAE J2841に記述されているようにその導出の統計的方法によってFUFとIUFの2種の定義があるのが、この選択は参加国に委ねる
 ◯ 既に導出されている米国、EU、日本のユーティリティファクターをまだ導出されてない参加国への情報としてGTRに記述する

WLTPにおけるこれらユーティリティファクターに関する検討と平行して、EUで2020年からフェースインする排出規制によりPHEVの導入が加速されていることもあり、ACEA代表のBMWの委員によるEUにおけるユーティリティファクターの算出やこれを用いたPHEVのエネルギー効率の評価などが発表されている。(これらについては別項で解説する予定)

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