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電気自動車の充電を通信で制御、電力会社PG&Eと自動車メーカーBMWのデマンドレスポンス計画 -- BMW i3 100台、サンフランシスコで18ヶ月間テスト

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計画参加車へは最高1540ドルの報奨金

2015年1月6~9日にラスベガスで開催されたCES国際家電ショー(2015 International Consumers Electronics Show)で、ドイツの自動車会社のBMWとカリフォルニア州(北部・中部)の電力会社のPG&E(Pacific Gas and Electric Company)が「BMW i ChargeForward Program」という電気自動車の充電をデマンドレスポンス(需要家が需要量を変動させて電力の需給バランスを一致させること、略してDR)で行うテストを開始すると発表した。

Bmwchangeforward01s場所はサンフランシスコのベイエリア、期間は2015年7月から2016年12月までの18ヶ月間で、このテストに参加するBMWの電気自動車オーナーは最大1540ドルの奨励金を受け取れる。

参加できるのは、ベイエリアに居住するPG&Eの顧客で電気自動車BMW i3のオーナー、全部で100台。参加する車は居住場所での充電に際してPG&E社からの信号により最大1時間充電遅延が可能となるように設定される。ただし、自動車オーナーが外出などの予定があればその旨の意思表示を通信により行うことにより充電遅延を断ることができる。

具体的には、オーナーは出発予定時間の情報を送ることにより充電遅延を断ること(opt-out)が可能。このopt-outはその日だけ有効で、日が変わると自動的に遅延受入の状態(opt-in)に戻る。このopt-outとopt-inの割合や途中での調査への協力などの実績により、期間中報奨金の額がきまる。なお、充電負荷の低下はPG&Eが設置したスマートメーターで確認される。

プログラムへの参加者には、開始時(upfront)に1000ドルと期間中(ongoing)の協力の成績により終了時に最高540ドルの報奨金(ギフトカード)が渡される。

BMWは個々の車の充電を遠隔で操作するが、PG&Eから要請されるデマンドレスポンス量(100kW)の確保には、BMW施設内に設置される電気自動車の使用済み電池二次利用の電力貯蔵装置(200kWh)により、全体としてのバランスを取るようにしている。この貯蔵装置は、PG&Eとの充放電の双方向電力流通のほか太陽光発電から充電されるようになっている。

電力会社が能動的役割、PG&EがBMWを選考

PG&E社の発表資料によると、このテスト計画は電力会社側からの競争的引合の結果BMW社を選んだもので、条件である最低100kWの電力需要調整はPG&E社が他の工業・商業の顧客に対するデマンドレスポンス計画と同じ大きさである。このようなデマンドレスポンスの計画は、顧客にピーク時の需要カットを報奨することによって、信頼性向上、費用削減、環境保全に役立たせるもので、今回のテストが成功すると、電力から自動車への有意な金銭支払の道を開き、顧客の電気自動車購入をさらに活気付けることになる、としている。

電力会社としては、稀にしか起きないような需要のピークへの対処にデマンドレスポンスを使うことによって、配電線やトランスやその他の設備の増強を遅らせて費用の節約ができる。そして、需要の急上昇に対応する際の高価で汚染源となる化石燃料電力の購入量を減らすことができる。このような方法を将来さらに高度化することによって、風力や太陽光などの変動電力を調整・平坦化することが可能になる。

DemandresponsepeakcutBMWはPG&Eに対して次の二つの方法で電力需要の調整に協力することになっている。

① BMWは電気自動車で使用済みのLi-ion電池を二次利用した大容量電力貯蔵装置を設け、電力需要が小さい時は充電し、需要が急増した時は放電させる。この電池は、BMWがMiniEで使用したLi-ion電池200kWhでBMWの施設内に設置。

② BMWは100台のBMW i3電気自動車をリストアップして、今回のChargeForward計画に組み込む。PG&Eが何らかの理由で需要抑制が必要ななった時にインターネット経由でBMWへ信号を送り、需要抑制量とその時間を知らせる。これに従い、BMWは各自動車に信号を送って充電を一定時間停止する遠隔操作をする。

PG&EはBMWが行うこれらのサービスに対して、他のデマンドレスポンスのサービスと同様の対価を支払う。一方、BMWは参加車に対して開始時の報奨金と需要抑制に協力した程度に応じた継続中の報奨金を支払い、これらの金額が電気自動車の総保有コストの低減に活用される。テストに参加している18ヶ月間、参加者は電話アプリを通じて継続中報奨金の額を知ることができる。

「このテストの成功は、他の自動車メーカーやデマンドレスポンス協力機関に対して電気自動車による電力系統へのサービス価値を活用する道を開き、同様に電気自動車オーナーの利益になるもの」、「PG&Eのサービスエリア内の電気自動車の台数は現在6万台以上で、これらが集まると莫大な成長性ある資源となって、より柔軟で低価格でクリーンな電力を提供できる」、「このテストは、自動車メーカーが自動車電池による電力系統への調整サービスの可能性、その価値、電気自動車市場成長への効果などを判断するのに役立つ」など、PG&Eは期待を表明している。

充電集中によるピークへの対応から再生可能発電による変動への対応へ

Kieferduckgraph_2電気自動車1台への普通充電(SAE J1772 AC Level 1~2)の充電電力は、日本では現在最大200V15Aの3kWであるが、米国では220V30Aの6.6kWが主流になっている。(テスラは80A*220V=17.6kW) PG&Eのサービスエリア内の電気自動車(現在6万台)の充電が集中すると系統全体で数十万kWのピークが出ることになる。電気自動車の充電電力は1台で家1軒の使用電力の最大値に匹敵するので、配電網の末端で電気自動車が増加すると配電線やトランスの増強が追いつかない場合があり、ローカルにも充電制御が必要になる。今回のPG&EとBMWの協力によるテストも先ず充電集中などによるピークのカットのためのデマンドレスポンスと考えられる。

このような充電制御の試験計画は、米国では他にもEPRI(米国電力研究所)によるものなど電力会社や自動車メーカーの参画で進行中であるが、自動車の電力系統へのサービスに対する対価の支払いなど電力会社が他の負荷制御に対して支払ったいるのと同様の条件で行っており、このサービス対価が自動車オーナーまで還元される点など今後の実用におけるモデルになるものと期待される。

このPG&Eが電力供給しているカリフォルニア州は、風力や太陽光などの再生可能エネルギー発電の急増により、2015年ころから1年のある時期(左の図は3月の値)に昼間の電力需要の落ち込みと夕方の電力需要の急上昇の所謂「Duck Graph」(アヒルのお腹の曲線のようなグラフ)問題が予想されており、その対策のために電池などの電力貯蔵設備の増強が喫緊の課題となっている。

今回の電気自動車によるデマンドレスポンスのテストの先には、自動車電力をこの再生可能発電による変動対策に利用する方法の開発実証がある。そのためには、自動車側に次のような機能が必要になってくる。

① 車載のパワーエレクトロニクス機器による双方向電力流通(充放電)
② 系統側からの指令による車載機器の通信制御
③ 自動車の定置場所(家など)以外の勤務先や公共の場所での充放電のためのプラグインポイントの同定
④ 効果的電力サービスのための充放電電力(6kW充放電など多い方が効果的)

これら必要な機能については、「《自動車から家・ビル・電力系統への双方向電力流通サービス》 V2Xの基本的事項と成功のための7つの要件」の項を参照されたい。

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