プラグインハイブリッド車:目的地への距離による電池SOCの計画制御(追記1)
2009年にこのブログに「続・充電型電動自動車をよりエコロジカルに -- ユーザーの利用方法・メーカーの提供方法」(2009.12.24記載)として、「目的地への距離に基づいてプラグインハイブリッド車の電池充電率を計画制御する」方法について書きましたが、最近(2012年11月)これと同様のアイディアの「EV+」をFord社がC-MaxとFusionのPHEVとHEVに標準装備し、特許を申請したと発表しました。(上記ブログ記事の追記1を以下再録して解説します)
プラグインハイブリッド車のユーザーがカーナビに指定した目的地が充電可能な場所である場合、車が目的地に到着した時に自動車駆動用電池の充電率(State of Charge, SOC)が許容最低の値になるように、電池充放電計画を計算してSOC制御を行えば、プラグインハイブリッド車のエンジンによる駆動距離を小さくすることが出来、系統充電による電力走行距離を大きくすることが出来ます。
この設定した目的地への距離によりSOC制御を行う方法は制御プログラムの追加のみで費用はあまり掛からず、ハイブリッド走行(CSモード)にかかる距離すなわちEV走行(CDモード)を超える距離を運転するトリップ毎に一定の効果が期待できます。それ故、この方法をメーカーが装備・提供しユーザー設定で使用可能にすることにより、ガソリン使用量減少・CO2排出削減・ユーザー費用節減などの効果が期待できます。(右の表はSOC計画制御の効果の試算例、詳しくは上記ブログ参照)
米国のFord自動車がこのアイディアと同様の機能の特許を申請し、PHEVのFord C-Max EnergiとFusion EnergiおよびHEVのFord C-MaxとFusionに「EV+(plus)」(イー・ヴィー・プラス)と名付けて標準装備しました。
「EV+」はGPS によりHEV・PHEV が家に近づくと自動でEV モードになり、HEV では排ガスや音なしで走行でき、PHEV では筆者の上記アイディアと同様に充電場所にSOC 最低で到着できるのが特長。Ford社は「車上データの活用により車をより賢くする探索の最初の例」と言っています。
左の写真は「SmartGauge®」、EV+はこの一部でFord社がメーカー装備としている通信・エンタメシステムの「Ford Sync®」にGPSを組み込み位置同定を行なってSOCを制御するアルゴリズムを動かしているそうです。
(Ford社のプレス発表による)
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