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プラグインハイブリッド車の最適電池容量 -- ユーザー各人のドライブパターンを知る

プラグインハイブリッド車は、電気自動車とハイブリッド車の両方の特長を持っており、その燃費性能は次の3つの数値で表すことができる。
 ① 充電した電力で何km走るかという充電電力使用時走行距離、
 ② 電力走行時に1kWh電力で何km走るかという電力消費率、
 ③ ハイブリッド走行時の1リッターのガソリンで何km走るかというハイブリッド燃料消費率

例えば、トヨタ・プリウスPHVの燃費性能(国土交通省審査値)は次のようになっている。
 ① 充電電力使用時走行距離: 26.4 km、
 ② 電力消費率: 8.74 km/kWh、 
 ③ ハイブリッド燃料消費率: 31.6 km/l

また、三菱・アウトランダーPHEVの燃費性能(国土交通省審査値)は次のようになっている。
 ① 充電電力使用時走行距離:60.2 km、
 ② 電力消費率:5.90 km/kWh、 
 ③ ハイブリッド燃料消費率:18.6 km/l

一般に自動車の燃費は、ガソリン1リッター何kmという値で表すのが普通なので、プラグインハイブリッド車についても、上の3つの燃費性能を一つにまとめた「プラグインハイブリッド燃料消費率」(複合燃料消費率)という値を国土交通省が定義しており、この燃費もメーカーのカタログに掲載されている。プリウスPHVの場合はこの値は61.0 km/l、アウトランダーPHEVの場合は67.0 km/lとなっている。

Ufcomparemlitandhori2j系統電力とガソリンの2つのエネルギーにより走行する場合に、どちらをどのくらい消費するかは、充電と充電の間に走る距離によって変わる。国土交通省では、日本の自動車が1日あたり走行する距離の統計データをもとに、プラグインハイブリッド車の電池容量と充電電力走行距離の全走行距離に占める割合の関係を提示している。は、プラグインハイブリッド車の電池容量によってきまる充電電力による走行距離(横軸)と電力走行距離割合(「ユーティリティファクター」と呼称、縦軸)の関係を示したもの。 

「プラグインハイブリッド燃料消費率」は、このユーティリティファクターとプラグインハイブリッド車の燃費性能を用いて次式で計算することになっている。(ただし、外部充電電力走行時にエンジン駆動が加わる所謂「ブレンド走行」の条件では別の式)

プラグインハイブリッド燃料消費率 = ハイブリッド燃料消費率/(1-ユーティリティファクター)

プリウスPHVの場合は充電電力使用時走行距離=26.4kmなので図からユーティリティファクター=0.483となりプラグインハイブリッド燃料消費率=61.0 km/l になり、アウトランダーPHEVの場合は充電電力使用時走行距離=60.2kmなので図からユーティリティファクター=0.723となりプラグインハイブリッド燃料消費率=67.0 km/lになる。

因みに、上記国土交通省のプラグインハイブリッド燃料消費率はガソリン消費量のみに着目し電力消費は含めてないが、米国環境省のプラグインハイブリッド車の燃費表示は電力消費量を熱量的に等価のガソリン量に換算・加算した等価燃費を使用している。ガソリンと電力のエネルギー等価性を考慮したプラグインハイブリッド燃料消費率の表示に関する考察はここに提示している。

さて、このプラグインハイブリッド燃料消費率は、あくまでも日本の平均的ユーザーのドライブパターン(1日あたりの走行距離の頻度分布)と同じ場合に当てはまるもので、個々のユーザーには其々のドライブパターンがある。

460020_2自動車関連の情報・サービスを提供する総合自動車ニュースサイトの「レスポンス」の三浦編集長のプリウスPHVの場合について計算してみよう。Miuras_phv3_driving_patternレスポンスの2012年8月の【PHVオーナーの夏】「妻は30kmのEVモードを望んでいる」の記事に出ていた111日間の走行距離のデータ(表)を1日走行距離(距離範囲の中点を使用)の累積頻度で整理すると、右図のようになる。三浦家の場合、1日の走行距離が30km以内の日が全体の2/3を占めているが、一方で200km~600km走行の頻度が5%以上あり、日本平均と比較するとこの図のさらに長距離側の割合が多く「長距離走行型」と言える。

Miuras_uf2このドライブパターンから、三浦家のユーティリティファクターを求めてみると(計算方法はここの「走行パターンとユーテリティファクター」の項参照」)、左図に示すように同じ容量の電池を搭載した場合に電力で走行する割合が日本平均より少なくなる。ただし、通常のユーティリティファクターの算出では充電は1日1回で満充電から走行開始と仮定しているので、三浦家のように出先で継ぎ足し充電をする場合は電力走行割合は図の値より高くなる。

三浦家の場合、どの程度の電池容量がコストパーフォーマンス的に最適かは、電池コストなどを入れて評価する必要があるが、ユーティリティファクターのカーブの形から見て三浦夫人が希望する30~40kmが一つの選択肢と言えそうである。

レスポンスの三浦家のデータはPHEVでの111日間の記録であるが、別掲のMH氏の457日間のドライブパターンのデータのように長期になると推定の信頼性が高まる。MH氏のドライブパターンとそれから求めたユーティリティファクターを下の3つの図に示す。なお、ドライブパターンを求めるにはその人の1日あたりの走行距離の分布を知ることが出来れば良いのでプラグインハイブリッド車で取る必要はなく、今乗っているエンジン自動車などで取れば良い。

Mhfig2_3Mhfig3_2Mhfig4_2

プラグインハイブリッド車は将来、搭載する駆動用電池の容量をオプションで選択できるようになることが考えられ、その時のためにユーザーは自分のドライブパターンを把握しておくことは有用と考える。(別掲記事の追記2)

このためには、今乗っている車(PHEVである必要はない)の1日あたりの走行距離を記録しておけば良い。それにはカーナビに1日あたりの走行距離記録機能を装備したり、あるいはスマートフォンを利用してそのような記録サービスを提供したり、あるいは車のCANデータから1日あたり走行距離の記録・利用を可能にするなどの方法がある。

ユーザー個人のドライブパターンが判れば、ユーザーが将来プラグインハイブリッド車を購入する際に最適の電池容量を知ることでき、また標準搭載の電池容量でどのくらいの燃費が期待できるかを知ることができる。これについては筆者が数年前から自動車技術会などで提案しており、自動車メーカーは出来るだけ早く新車および既販売の自動車でデータ取得を可能にして将来のプラグインハイブリッド車ユーザーにサービスすべきと考えている。これはまたユーザーの囲い込みにもなると思う。

なお、ユーティリティファクターやカタログ燃費値(国土交通省審査値)はJC08モード基準なので実用燃費とは相当乖離していることに注意が必要である。上の方法でユーザーが最適電池容量を求める際には実用燃費性能で評価する必要があり、その際にはCarlifeNaviの「マイカー管理」や「e燃費」のデータは各人の実際の燃費を推測する上で役立つものと考えている。

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