« 走行パターンとプラグインハイブリッド車の燃費特性 その2. ユーティリティファクターとPHEV燃費表示の課題 | トップページ | プラグインハイブリッド車の最適電池容量 -- ユーザー各人のドライブパターンを知る »

バイオマス・原子力協働プロセスによる大気中炭酸ガスの削減

私は2007年頃から「バイオマス・原子力協働プロセスによる大気中炭酸ガスの削減」について研究を行っており、その結果を木質炭化学会米国原子力学会革新的原子力技術国際会議日本原子力学会などに発表してきました。

Horiessaynucleachar
「エネルギーレビュー」誌の2012年12月号に掲載した上記 「原子力で炭焼き」 と題する随筆はこのコンセプトの趣旨を書いたもので、技術的内容については下記のペーパーに英文で説明してあります。(興味のある方にはPDFファイルをメール添付でお送りします。)

Hori, M., “Nuclear Carbonization and Gasification of Biomass for Effective Removal of Atmospheric CO2”, Progress in Nuclear Energy (Published by Elsevier) Volume 53 Issue 7, p.1022-1026 (September, 2011)

このコンセプトの日本語での説明を以下に示します。これは日本原子力学会「2012年春の年会」(福井大学文京キャンパス 2012年3月21日)で発表した予稿を編集したものです。


Globalcarboncyclejバイオマス・原子力協働プロセスの地球規模炭素循環における効果

バイオマス・原子力協働プロセスを用いて、植生・土壌中のバイオマスなどの有機炭素を固体炭素化および燃料化することによる地球規模炭素循環への効果と、このプロセスに必要な原子力供給量とその供給可能性を示す。

1.大気中炭素の削減
 地球温暖化を抑制するために人為起源CO2の排出削減策が国際的に進められている。
 最近の研究では、大気中炭素量の2倍以上の炭素を含む永久凍土の[大気温度上昇→融解→CO2放出]の正フィードバックによる温暖化の加速的進行が示されており、大気中炭素量の削減は喫緊の課題となっている。

2.バイオマス・原子力協働プロセス
 本プロセス(下図)は、原子力熱を利用して、植生・土壌中のバイオマスを炭化する反応とその際発生する気化物を水蒸気ガス化する反応から構成される。
 炭化プロセスで生成する安定固体炭素の材料利用・貯留と、ガス化プロセスで生成する合成ガスの燃料化による化石燃料代替の両方の効果によって、地球規模炭素循環における大気中への炭素放出量の削減が可能になる。
 プロセスに必要なエネルギーを原子力から供給することは、炭素の転換率を最大にする効果がある。

Nuclearbiomassprocessj3.炭素循環への効果と必要原子力供給量
 参考ケースとして光合成による炭素固定量の1/10(年6Gton炭素)を本プロセスで処理する場合、年2.7Gtonの炭素を安定固体として循環から除き、年2.2Gtonの合成燃料を化石燃料代替することができるので、大気中炭素量は長期的に減少していく。
 この場合の必要原子力供給量は石油換算年1.7Gtonで、プルトニウムのリサイクル利用を適時導入すれば世界エネルギー会議・Bケースの発電に加えて本プロセスへの原子力供給は可能となる。
 なお、大量の炭素・黒鉛材料が製造されるので、現在の工業用以外に農林業(Biochar)・建設業(黒鉛構造材)などへ用途が拡がる。

4.地球環境復元の作業
 ①大気中炭素をバイオマスの炭化によって安定化することは、古生代にバイオマスが地熱で炭化して生成した石炭などの化石燃料を、人類が燃焼してCO2を排出してきたことに対する「復元」の作業である。これまでの人為起源CO2排出は地球規模のものなので、これに対する復元作業は当然、地球規模の大規模なものになる。
 ②処理するバイオマスには、森林などの木質(植生、土壌)のほか、栽培エネルギー植物(陸上、海中)や融解永久凍土などもある。
 ③実際に処理する規模は、地球温暖化の深刻度、実施中のCO2の排出抑制策の効果、生態系への影響などを評価して判断することになる。

|

« 走行パターンとプラグインハイブリッド車の燃費特性 その2. ユーティリティファクターとPHEV燃費表示の課題 | トップページ | プラグインハイブリッド車の最適電池容量 -- ユーザー各人のドライブパターンを知る »

研究開発」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/6611/56446962

この記事へのトラックバック一覧です: バイオマス・原子力協働プロセスによる大気中炭酸ガスの削減:

« 走行パターンとプラグインハイブリッド車の燃費特性 その2. ユーティリティファクターとPHEV燃費表示の課題 | トップページ | プラグインハイブリッド車の最適電池容量 -- ユーザー各人のドライブパターンを知る »