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走行パターンとプラグインハイブリッド車の燃費特性 その2. ユーティリティファクターとPHEV燃費表示の課題

[本稿は、筆者が自動車技術会2012年春季大会で口頭発表し、その後自動車技術会論文集Vol.43, No.6, November 2012に掲載した資料「電力とガソリンの等価合成によるPHEV燃料消費率の表示」をもとに作成した。「その1.国土交通省によるPHEV燃費測定・表示の要領」はここ。]

Phevmodes2プラグインハイブリッド車(PHEV)は、最初の一定距離は外部電力によって充電した電気による電力走行をし、電池の充電率(SOC)が一定値まで減少した後はエンジン駆動のハイブリッド走行に切り替わる。エンジン自動車(ICEV)やハイブリッド車(HEV)では駆動エネルギー源はすべてガソリンなどの燃料であるのに対して、PHEVの駆動エネルギー源は外部から充電した電力とガソリンなどの燃料の二種類になる。このようなPHEVのエネルギー消費率を単一の代表的燃費値で表示する場合の、エネルギー消費率の単位・尺度(Metrics)、電力/燃料の共通単位への変換、電力/燃料の走行距離割合による加重などについて考察し、代表的燃費表示のための合理的方法を提示する。


走行領域・走行モード・電池SOC・燃料消費率

PHEVでは一般に、外部充電電力による電力走行の領域をCharge Depleting(CD)レンジと呼び、エンジン駆動によるハイブリッド走行の領域をCharge Sustaining(CS)レンジと呼んでいる。この二つの領域における電池のSOCおよびエンジン用燃料の消費率を、走行距離との関係で示すと図のように示される。

Aemode左図は、CDレンジを全部電力で走行する場合、すなわちAll Electric(AE)モードで走行する場合であり、シリーズ型(Range Extender)PHEVやパラレル型PHEVでCDレンジにおいてエンジン駆動がない条件の場合が該当する。


Blendedmode右図は、CDレンジにおいて電力駆動にエンジン駆動が加わるBlendedモードで走行する場合で、パラレル・ハイブリッド型PHEVでCDレンジにおいてエンジン駆動がある条件の場合が該当する。

なお、実際の走行では電池SOCおよび燃料消費率とも走行条件によって変動するがこれらの図においては模式的に直線で示している。


走行パターンとユーティリティファクター

PHEVのエネルギー消費を評価する場合、全走行距離に占める外部充電電力によって走行する距離の割合を想定する必要がある。この割合は米国自動車技術会(SAE)では「ユーティリティファクター」(Utility factor、UF)と呼称している。筆者が2006年に自動車技術会に発表したPHEVに関する論文では「電力走行(距離)割合」と呼んでいた。

UFの値は自動車の走行(ドライブ)のパターンで決まってくる。一人一人のドライブパターンが異なるのでUFも各人で異なる。そのため燃費表示などに使用する時は国全体の平均的なUFを定義して使用することになり、自動車走行に関する統計調査値から国全体の平均的UFを計算することになる。

HoriufこのドライブパターンからUFを算出する基本的な方法を左図に示す。この場合、使用したドライブパターンは、対象とする集団(個人を対象とするUFの場合は一人)の実働1日(車を使用した日)あたりの走行距離の頻度分布を言う。左図で使用した走行距離の頻度分布は、国土交通省が全国規模で年3回調査・発表している「自動車輸送統計報告書」の2004年のデータに基づいている。この輸送統計は、無作為に抽出した自動車の一定期間内各日の走行距離、走行目的、乗車人員などを調査したものであるが、公表されている乗用自動車(登録車および軽自動車)のデータはこれらを計算処理して一走行(トリップ)距離帯別の輸送人員に整理している。そのため左図に示したドライブパターンの値は、公表されているデータから仮定を置いて一日あたり走行距離別の自動車台数頻度を推定したものである。もし元の調査データを入手できれば、より確かなドライブパターンとUFの算出が可能と考える。


現在日本におけるPHEVの燃費表示に使用する公式のUFは、国土交通省が2009年に「道路運送車両の保安基準の細目を定める告示」等の一部改正に際して自動車工業会に通達した「プラグインハイブリッド自動車の燃費算定等に関する実施要領」の中に、図および近似式で示されている。同通達の中ではこのUFの値は「JCAPデータ自動車使用実態調査による」となっているが、対象車種・データ数・統計処理方法などは公表されていない。

Ufcomparemlitandhori2jこの国土交通省のUFの値と筆者による登録自動車のUFの値を比較すると、右図に示すように、異なる統計データから導出された二つのUF値が良い一致を示している。


Ufstatistical4米国の環境保護庁・運輸省道路交通安全局(EPA・NHTSA)によるPHEVの燃費算定には、SAEが2010年に改訂したPHEVのUFに関する規格SAE J2841記載の新しく定義されたUFを使用することになっている。それまでのFleet Specific UFも新しいIndividual Specific UFも、何れも2001年の全米世帯旅行調査(NHTS)の自動車走行統計データに基づいているが統計処理の方法が異なっており、左図に示すように新定義のUFは従来の値よりUF=0.5近辺で15%程度高い値になる。このことは、UFの算出において適切な統計処理方法を用いることの重要性を示唆しており、日本の燃費算定に使用するUFについても、使用する統計データおよび統計処理方法の精査・確認が必要と考える。


Uf3countriesなお、世界共通の自動車排出ガス・燃費などの試験法作成活動WLTP(Worldwide harmonized Light-duty Test Procedure)の場でもUFについて議論が行われており、右図のように日・米・EUのUFの比較が示されている。なお、EUのUFは簡易式によるもので統計データに基づいていない。日・米・EUのUFを同じCDレンジについて数値的に比較すると、日・EUは米より相当高い値になっており、日本・EUは平均的に短距離走行型であることを示している。


エネルギーの等価換算と走行レンジの合成

PhevflowchartPHEVの電力消費率とガソリン消費率は、CDレンジおよびCSレンジについて規定の燃費試験法に則って測定される。この試験結果を単一の代表的燃費値で表示する場合、左図に示すように電力とガソリンのエネルギー消費を等価換算など何らかの方法で一本化し、さらにCDレンジとCSレンジのエネルギー消費をUFを用いて合成する必要がある。(注: UFを用いて加重合算することを「合成」(Composite)と呼ぶ)


Equation1PHEVの単位距離当たりのエネルギー消費は、CDレンジの電力消費率およびCSレンジの燃料消費率を合わせたもので、UFを用いて(1)式により合成する。(注: Blendedモードの場合はCDレンジにおいてもガソリン燃料の消費がある。本稿ではAEモードについてのみ(1)式以下を示しているが、Blendedモードについても同様に式を導出することができる)

このようにPHEVの代表燃費をCDレンジとCSレンジのエネルギー消費をUFにより合成して導出する方法は、その前提として「走行はCDレンジから開始、充電は1日に1回、全国平均と同じドライブパターンの走行」を想定している。

PHEVの代表的燃費の単位としては、ICEVやHEVと同様に単位ガソリン量当たりの走行距離で示すのが一般ユーザーに最も理解しやすいと考えられており、[km/L]の単位(米国では[miles/gallon]、[MPG])で表示する方法が普通用いられている。単位ガソリン量当たりの走行距離で示す場合はCDレンジの電力消費[km/kWh]をエネルギー的に等価のガソリン燃費[km/L]に換算するなどして、これを以下の式を用いてCSレンジのガソリン燃費[km/L]と合成する。


ここで燃費N [km/L] は単位距離あたりのガソリン消費率C[L/km]の逆数になるので、燃費は(2)式により計算される。Equation2


PHEVの代表的燃費算出の考え方と例

3representativesここでは、電力とガソリンのエネルギー消費からPHEVの代表的燃費を算出する考え方とその例について考察する。


① 電力消費を無視してガソリン消費のみで評価

Equation3電力消費を無視してガソリン消費量のみを用いて代表的燃費を算出する場合、上記の(2)式の分母の第1項はゼロとなるため (2)式は(3)式のようになる。

この評価方法は、日本(国土交通省)およびEU(UN)で規定され、使用されている。

例えば、2012年式プリウスPHV のJC08モードの場合、CSレンジ燃費=31.6[km/L] およびUF = 0.483[-]なので、(3)式によりPHEVの代表燃費(「複合燃料消費率(プラグインハイブリッド燃料消費率)」と呼称)は61.1 [km/L] と計算される。(「複合」の意味に関しては注記1を参照)

この評価方法は、ガソリン消費量のみで全走行距離を除すので大きな電池を搭載してUFが大きくなる場合、ガソリン消費量が小さくなるので代表燃費値が過大になる欠点がある。


② 電力消費を発熱量で等価のガソリン消費に換算して評価

Equation45電力を熱量で等価のガソリンに置き換えて代表的燃費を算出する場合、上記の(2)式でCDレンジの電力消費のガソリン等価燃費はAEモードの場合 (4)式になるので、(2)式は(5)式になる。

ここでガソリンと電力の熱換算係数のH[kWh/L]として次の値が用いられている。
 H = 8.89[kWh/L] 32.0[MJ/L] (EPAのガソリン発熱量)
 H = 9.14[kWh/L] 32.9[MJ/L] (日本のガソリン発熱量)

この評価方法は、EPAでは既に使用されており、日本の新燃費基準報告書の中の別添6「電気自動車及びプラグインハイブリッド自動車の取扱いについて」では将来のPHEVなどの燃費評価として示されている。

例えば、2011年型Chevrolet VoltのEPA City/Highway複合燃費の場合は、CDレンジの電力消費= 4.5[km/kWh]、CSレンジの燃費 = 16[km/L]、UF =0.64[-] なので、(5)からPHEVの代表的燃費 = 26[km/L] = 60[MPGe]と計算される。

この方法では電力とガソリンを熱量で等価換算しており、動力として使用する充電電力を熱として低く評価しているため、大きな電池を搭載してUFが大きい場合に、代表燃費値が大きく出る傾向がある。

注: EPAの燃費ラベルの最終デザインでは、上記のように複合燃費をユーティリティファクターで合成したPHEVの「合成燃料消費率(合成燃費)」はラベル上に数値的に明示されないように決まったが、ラベルに記載されている年間燃料費用と5年間節約金額は合成燃費を用いて計算されていると考えられる。また、このVoltの合成燃費(60MPGe)は、EPAが全車種について燃料経済リーダー車を決めるときに使用されている。(これについては、「GMのボルトのEPA燃費ラベル」)の「追記1:新デザインによる2012年式VoltのEPAラベル」を参照されたい。



③ ガソリン・電力のエネルギー変換率により換算して評価

これは、ガソリンと電力間のエネルギー変換率を用いて、電力を等価のガソリンに置き換えて代表的燃費を算出する方法である。数値的には、(4)式でガソリンから電力へのエネルギー変換率をη[-]として、AEモードの場合は (6)式を用いて計算することになる。Equation6

この考え方による燃費算出方法は、1980年代から米国で代替燃料による燃費の表示方法として検討されてきており、2000年にはDOEがCAFE(企業別平均燃費)基準に適用する電気自動車の燃費表示のためにこの考え方による「石油等価燃料経済計算」のルールを決めている. この計算指針では上記のエネルギー変換率ηの値として米国の化石燃料発電の発電効率の平均値0.328を用いている。

ただし、電力消費量をガソリン消費量に変換する式の中に、充電電力駆動への大きなインセンティブとしてFuel Content Factor(値は6.67)なる係数を入れており、最終的なガソリンと電力の換算係数は、19.5~21.7[kWh/L]と発熱量で等価の換算(②の8.89[kWh/L])の2倍以上となり、充電電力駆動に大幅に有利な燃費を算出するようになっている。


エネルギー変換率によるPHEVの代表的燃費表示

CDレンジがAEモードの場合のエネルギー等価・UF合成による代表的燃費の一般的計算式は(7)式で表される。Equation7

ここで、ガソリンから電力へのエネルギー変換率(η)をどのようにとるかによって、PHEVの代表的燃費の値が変わる。

前節の「PHEVの代表的燃費算出の考え方と例」で示した3種類の評価方法を一般的な(7)式に当てはめた場合、ηの値は次のようになる。

① 電力消費を無視してガソリン消費のみで評価: η=∞
② 電力消費を発熱量で等価のガソリン消費に換算して評価: η=1.0
③ ガソリン・電力のエネルギー変換率により換算して評価 η=0~1の値


Gaselecconversion熱力学的に意味のあるガソリンから電力へのエネルギー変換率として、同じ化石燃料を用い発電の主流である火力発電の熱効率を参考にするのが妥当と考える。現在、日本の火力発電の平均熱効率は42%程度であり、新設のプラントはコンバインドサイク48%(石炭IGCC)~60%(天然ガスGTCC)程度となっており、平均熱効率は今後も向上していくものと考えられる。以上から、PHEV代表燃費に使用するガソリンから電力へのエネルギー変換率ηの値としては、0.5程度が適当と考える。

ガソリンから電力へのエネルギー変換率ηの参考になる値として、「JHFC 総合効率特別検討委員会」2010年報告書の一次エネルギー源から車両(燃料タンク・電池)までのWell-to-Tank効率から、ガソリンと電力の一次エネルギー量の比を計算してみる。単位車載エネルギーあたりの一次エネルギー量は、ガソリンでは1.2 [MJ/MJ]、電力(日本の2009年度電源構成、車載電力は電池における値、水力・原子力の一次エネルギーはゼロと仮定)では2.5 [MJ/MJ]となっているので、充電効率0.86の補正をしてガソリン・電力の一次エネルギーの比として1.2/2.5/0.86= 0.56が得られる。

ここで、ガソリンから電力へのエネルギー変換率ηの値をパラメーターとして、JC08モードの燃費・電費の試験値からPHEVの代表的燃費を計算した例を下表に示す。この表のパラメーターηの値としては、上記①電力消費を無視してガソリン消費のみで評価η=∞、②電力消費を発熱量で等価のガソリン消費に換算して評価η=1.0、および③ガソリン→電力のエネルギー変換の熱力学的考察から火力発電の熱効率を参考にη=0.5、をとった。


Phevfuelconsumptioncompare4
(7)式による代表的燃費の算出は、UFが0から1までの範囲、すなわちハイブリッド車(HEV、UF=0)からPHEVを経て電気自動車(BEV、UF=1)に至るまでシームレスに適用可能なので、表にはHEVとBEVの計算例も含めた。なお、表中のGMのVoltについてはJC08モードでの試験結果はないので、[JC08モード燃費 = EPA複合燃費 x 1.5 ] と仮定して得られる燃費とUFを用いた。

表で、エネルギー変換率ηが0.5の燃費値は熱力学的にも意味があるとともに、一般ユーザーにとっても実用の際の燃費との乖離などの違和感がない値となっている。(ただし、PHEVの代表的燃費算出の元になっているモード燃費の実用燃費との乖離の問題は別)

エネルギー・環境対応型自動車の導入促進のために、企業別平均燃費規制方式のように充電電力駆動の車の燃費値を高く設定して政策的インセンティブとすることも考えられるが、一般ユーザーを対象としたPHEVの表示燃費には科学的に意味のある定義・算出方法が必要と考える。

ガソリンから電力へのエネルギー変換率ηの値として、火力発電の現在から近い将来における効率値などを参考にすると、η=0.5程度を用いたPHEV代表的燃費の定義が最も合理的なものと考える。

まとめ

● 電力とガソリンの2種のエネルギーにより駆動されるPHEVのエネルギー消費率を単一の代表的燃費値で表示する方法について考察した。
● CDレンジとCSレンジのエネルギー消費の合成に必要なユーティリティファクターの値は、代表的な統計調査データから適切な統計処理方法で算出されるべきと考える。
● ガソリン→電力のエネルギー変換率ηが0.4~0.6の範囲の燃費値は熱力学的にも意味があるとともに、ユーザーにとって違和感がない値と考えられる。
● エネルギー・環境対応型自動車の導入促進のために、充電電力駆動の車の代表的燃費値を高く設定して政策的インセンティブとすることも考えられるが、一般ユーザーを対象とした表示燃費には科学的に意味のある定義・算出方法が必要と考える。
● PHEVの代表的燃費の定義には、ガソリンから電力へのエネルギー変換率としてη=0.5程度を用いるのが最も合理的と考える。

注記1: 燃料消費率(燃費)における「複合」の意味

米国環境保護庁(EPA)が認定(Certify)する燃料消費率(燃費)には、都市部(City)走行燃費と高速道路(Highway)走行燃費と、この二つの燃費が下の式により結合された(Combined)燃費の3つがあります。(「mpg」はMiles per Gallonの略)
  Combined mpg = 1 / [(0.55/city mpg) + (0.45/highway mpg)]
このEPAのCityとHighwayの「Combined」燃費を日本では「複合燃費」と呼んでいます。

一方、本稿ではPHEVの代表的燃費表示としてユーテリティファクターによりCDレンジとCSレンジの二つの燃費・電費から合成された(Composite)燃費を合成燃料消費率(合成燃費)としていますが、国土交通省ではPHEVの代表燃費は「複合燃料消費率(プラグインハイブリッド燃料消費率)」と呼んでいます。

すなわち、日本では「複合」という言葉が、EPAのCityとHighwayの「Combined」と、CDレンジとCSレンジの「Composite」の、両方の意味に使用されているので注意が必要です。
(2013.1.11)

注記2: 「複合」、「等価」、「合成」の使い方

本稿では、「複合」、「等価」、「合成」について、別に定義されている以外では、次のような使い方をしています。
 ◎ 複合(燃費)=EPAによる都市部(City)走行燃費と高速道路(Highway)走行燃費を加重調和平均したCombined(複合)燃費
 ◎ 等価(燃費)=ガソリンと電力の消費量を何らかの考え方で同じ単位に換算して合算し走行距離を除したEquivalent(等価)燃費
 ◎ 合成(燃費)=ユーティリティファクターによって電力走行とガソリン走行を加重調和平均したComposite(合成)燃費

注記3: プラグインハイブリッド車の燃料消費率 -- ユーティリティファクタ,電力・ガソリン等価合成の考え方

プラグインハイブリッド車の燃料消費率、ユーティリティファクタ、電力・ガソリン等価合成の考え方や関連する話題については、自動車技術会の会誌「自動車技術」2014年7月号に掲載した表題の解説へのリンクがある。(2014.7.30)

(2013.1.12)

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コメント

どの記事も興味深い内容で、とても勉強になります。
一番上の表「プラグインハイブリッド車と走行モードと充電状態」の縦軸(電池の充電状態)のY軸と接する値が100%ではなく80%程度が今の現実的な実情のように思えるのですが、いかがでしょうか。

投稿: きつね | 2013.01.23 14:39

プリウスPHVのSOCの記載データを見つけたので、ご参考になれば
http://toyota.jp/priusphv/001_p_002/life/genejournalist/third/no1/part8.html
充電完了でSOC84.9%とのことです。

投稿: きつね | 2013.01.23 14:54

きつねさん、コメント2件有難うございます。
一番上の図の「Y軸と接する値」を現実的な値に修正しました。

投稿: Synthesist | 2013.01.23 22:35

こんにちは。

今のEVの充電分を使用時にガソリンと熱量等価で計算するEPAの計算値は妥当を欠くことは賛成します。

しかし、
”現在、日本の火力発電の平均熱効率は42%程度であり、、、、平均熱効率は今後も向上していくものと考えられる。以上から、PHEV代表燃費に使用するガソリンから電力へのエネルギー変換率ηの値としては、0.5程度が適当と考える。”

のη=0.5は現時点では過大だと思います。η=0.42が使えない理由がわかりません。もうひとつ、

”「JHFC 総合効率特別検討委員会」2010年報告書の一次エネルギー源から車両(燃料タンク・電池).....(日本の2009年度電源構成、車載電力は電池における値、水力・原子力の一次エネルギーはゼロと仮定),,,,,,1.2/2.5/0.86= 0.56が得られる。”

ですが、水力原子力の一次エネルギーがゼロという前提が乱暴と思います。従って0.56は過大だと考えます。JHFCで水力、原子力の一次エネルギーがゼロとの説明が必要かと思います。

以上から当面はベストでは無いが現時点ではη=0.42を採用すべきだと思います。


投稿: fushikiz | 2013.05.15 09:38

fushikizさん、ご意見有難うございます。何れも重要な指摘で、当方もこの検討をする際にどうすべきか考えた問題です。

(1)現時点の火力発電の平均熱効率が42%なのでη=0.5ではなくη=0.42を採用すべきとのご意見

日本の国土交通省の算出方式(電力消費を無視してガソリン消費のみで評価する方式)の場合はη=∞であり、米国EPAの算出方式(電力消費を発熱量で等価のガソリン消費に換算して評価する方式)の場合はη=1.0です。それに対して私が示しているη=0.4~0.6は熱力学的にも意味があるとともにユーザーにとって違和感がない値と考えています。実際に使用する値としてはη=0.42でも良いですが、0.4とか0.5のようなラウンドナンバーの方が熱効率変化に対してより頑丈なので良いように思います。

私が「η=0.5程度を用いるのが最も合理的」と書いたのは、新設の火力発電の熱効率は石炭IGCC48%~天然ガスGTCC60%程度で今後の技術革新により更に向上が期待されるので、平均熱効率は今後も上昇し10年以内に50%程度まで上昇すると推測したからです。燃費の定義を熱効率の上昇により変えるのは好ましくないと考え、10年程度変更しない一定値として「η=0.5程度」の使用を提案しました。また、熱量と電力の換算の場合に熱量の半分が電力になると大雑把に捉えても、燃費の定義のような約束事としては良いのではと思ったからです。

(2)JHFCで水力・原子力の一次エネルギーがゼロという前提が乱暴であり説明が必要とのご意見

非化石エネルギーの一次エネルギー量はどのように算定したら良いか、実はこれは難しい問題なのです。例えば、再生可能エネルギーの太陽光や風力や水力の一次エネルギー量は状況よって変わるなど定義が難しく、むしろ約束事として適当な算出方法が使われています。

日本のエネルギー統計では次の資料にあるような定義を使用しています。

総合エネルギー統計の解説/2010年度改訂版//戒能一成(C)(補論1)「電力の一次エネルギー供給の算定方法について」
http://www.rieti.go.jp/users/kainou-kazunari/download/pdf/2010EBXANX0100.pdf

この資料の中に、再生可能エネルギーについて「水力発電や太陽光・風力発電の場合、様々な発電所で時々刻々水量や風速が変動する度に水の位置エネルギーや風の運動エネルギーが変動するため、発電に投入されたエネルギー量を逐一計算することは事実上不可能である。地熱発電・地熱利用の場合、そもそも地下に地熱エネルギーがどの程度存在しそれがどの程度減少したのかを知る方法がない。」そこで日本の統計では、水力発電の効率を100%として発電電力量から一次エネルギーを出しています。

原子力も同様に、核エネルギーを出発点にするとガンマ線などの放射線エネルギーで熱に転換されないものや、崩壊熱のように残存するエネルギーをどう扱うかによって変わってきます。実際は原子力発電所の諸元表にあるように、熱出力と電気出力が算定可能なので、熱出力を一次エネルギーと定義することはできます。

化石エネルギーでも低位発熱量(LHV)と高位発熱量(HHV)の二つの発熱量が使用されており、燃料の水素含有量によってその差が変わり天然ガスでは10%ほど値が違うので注意が必要です。

それ故、統計や報告書などで一次エネルギー量が示されている時は、その定義や算出方法などの約束事に注意が必要です。

さて、JHFCの報告書では水力・原子力の一次エネルギーをゼロと仮定していますが、それに関する報告書の該当部分には次のように書いてあります。

-------------------------------------------
「総合効率とGHG 排出の分析」報告書(平成23年3月)総合効率検討作業部会および財団法人 日本自動車研究所、p.42
http://www.jari.or.jp/jhfc/data/report/2010/pdf/result.pdf

5) 太陽光(507)・風力(508)・原子力(509)・水力発電(510)
過年度調査と同様,エネルギー消費量は便宜上ゼロとした。ただし,CO2 排出につ
いては発電所における設備運用に伴う排出を考慮した。詳細は3-7-3 節を参照のこと。
-------------------------------------------

上で引用されている過年度調査の報告書の該当部分には次のように書いてあります。

-------------------------------------------
「JHFC総合効率検討結果」報告書(平成18年3月)JHFC 総合効率検討特別委員会および財団法人 日本自動車研究所、p.49
http://www.jari.or.jp/jhfc/data/report/2005/pdf/result_main.pdf

d) 原子力発電(509)
原子力発電については,核分裂における熱効率等の定義は可能であるが,他のプ
ロセス効率と同様に比較することができない。そこで,本分析ではエネルギー消費
量は便宜上ゼロと仮定することとした。ただし,CO2の排出に関しては,設備建設・
運用に伴う排出を考慮した。詳細は本節「(7)特別に考慮する事項」を参照のこと。
e) 水力発電(510)
エネルギー消費量は便宜上ゼロとした。ただし,CO2排出については,原子力発電
と同様に設備建設・運用に伴う排出を考慮した。詳細は本節「(7)特別に考慮する
事項」を参照のこと。
-------------------------------------------

要するに、JHFCの検討においては原子力や水力発電では化石燃料の火力発電と同様にプロセス効率を比較できないので、原子力発電と水力発電の一次エネルギー量をゼロと仮定したという説明です。このような発電の一次エネルギー算出方法を用いた場合、結果として提示されている電力駆動のBEV・PHEVおよび電力から製造された水素を使用する場合のFCVのWell-to-Wheelの総合効率は、原子力発電と水力発電の一次エネルギー量にある値を想定した場合より高く算出されることに注意する必要があります。JHFCのWell-to-WheelのCO2排出量の算出においては原子力発電・水力発電の運転時のCO2排出はゼロですが設備建設・運用に伴うものを考慮しているようです。

なお、本稿においてJHFC報告書の発電効率値「0.56」を引用したのは、この報告書が大学・研究所・自動車メーカー・石油会社・その他関連企業・自動車工業会・電事連など35団体が参加した検討チーム(総合効率検討作業部会)によって数年にわたり実施された大掛かりな研究の成果であるので、参考にする価値のあるものと考えたからです。ただ、前に述べたように、化石燃料・原子力エネルギー・再生可能エネルギーを一括して一次エネルギーや発電効率を定義することは難しいので、個々の統計や研究で使用されているこれらの値は仮定・想定に基いた約束事であることを認識しておく必要があります。

投稿: Synthesist | 2013.05.30 22:40

通りすがりで、ここでの議論を読んでみました。

しかしJHFC報告書の発電効率値「0.56」

どうやったらこういう数字が出るのか疑問ですね。最新のガス発電所で何段階も熱量を吸収できるものでやっとこさ60%弱です。それから、発電所からの配電ロスが計算されていないですね。 これが5%~

ところで、私は博士の片割れですが、こういう言い方って科学じゃないですよね。

「。実際に使用する値としてはη=0.42でも良いですが、0.4とか0.5のようなラウンドナンバーの方が熱効率変化に対してより頑丈なので良いように思います。

0.4と0.5では25%も違います。科学で許容できる誤差というのは、一般に5%程度ですね。やはり現時点で現実的な数字を用いるべきです。10年後は10年後として予想値としてあげるべきです。

私が「η=0.5程度を用いるのが最も合理的」と書いたのは、新設の火力発電の熱効率は石炭IGCC48%~天然ガスGTCC60%程度で今後の技術革新により更に向上が期待されるので、平均熱効率は今後も上昇し10年以内に50%程度まで上昇すると推測したからです。燃費の定義を熱効率の上昇により変えるのは好ましくないと考え、10年程度変更しない一定値として「η=0.5程度」の使用を提案しました。」

送電ロスは入れないんですかね。またEVのチャージャーの損失も計算にいれないのですかね。まあ楽観的ですが、これを良いとしても、

「本稿においてJHFC報告書の発電効率値「0.56」を引用したのは、この報告書が大学・研究所・自動車メーカー・石油会社・その他関連企業・自動車工業会・電事連など35団体が参加した検討チーム(総合効率検討作業部会)によって数年にわたり実施された大掛かりな研究の成果であるので、参考にする価値のあるものと考えたからです。」

たとえ、多数の機関がη=0.56だといっても、現時点で用いる数字として妥当ですか?あり得るはずが無いではありませんか。0.5でも楽観的なのに。電力会社の平均t-CO2/kwhは2012年で0.00056、2013年も殆ど同じで、2011年の0.0003あたりから倍になっています。おっしゃるとおりには残念ながら火力の効率はおっしゃるほどアップしていないのです。


投稿: ドクトルT | 2016.05.06 15:39

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