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シボレー・ボルトの日本での燃費は?

Chevyvoltjsae レスポンスの記事、『シボレーボルトを日本初公開、市販は未定』『GMジャパン石井社長、ボルトの実証走行「できるだけ早く始めたい」』などにあるように、シボレー・ボルトがいよいよ日本で公開された。記事によると、GMジャパンは日本での販売については未定だが、「技術的なところと営業的なところをにらんでのデモを日本でこれから進めていきたい」と述べている。

 そこで、もしボルト(Chevrolet Volt)が日本で販売された場合の燃費がどのくらいになるか、国土交通省が決めたプラグインハイブリッド車の燃費算定方法によって推定してみた。この算定方法は「プラグインハイブリッド自動車の燃費算定等に関する実施要領」(2009年7月、国土交通省通達)に示されており、本サイトでも2010年7月の項で解説している。

Priusphv2012 この要領により算定された2012年式プリウスPHVのグレードS(型式DLA-ZVW35-BHXEB)の「プラグインハイブリッド燃料消費率」などカタログなどに表示する各種燃費関連値を右表にしめす。なお、このプリウスPHVのユーティリティファクター(UF)は0.483で、この値は日本の平均的ユーザーならば全走行距離の48.3%の距離を系統から充電した電力で走行することを意味している。

Chevyvolt2 シボレー・ボルトについて、日本でこれと同じJC08モードによる燃費測定を行ったとして、上記要領で規定されている「プラグインハイブリッド燃料消費率」などカタログなどに表示する各種燃費関連値を推定してみたのが左表である。この結果を見ると、シボレー・ボルトのプラグインハイブリッド燃料消費率は、実に126 km/l(MPG表示で296 miles/gallon)という高い値になった。これは、プリウスPHVの同燃料消費率61 km/lの2倍以上の値である。

 何故このような高い燃費になったか? この理由は

 ○ ボルトは12.9kWh(交流側測定)の充電電力を使用して
 ○ 米・環境保護庁(EPA)複合燃費モードでは35マイル(56km)の距離を電力で走るのに対し
 ○ JC08モードでは電費がEPA複合の約1.5倍と想定されるので同じ充電電力で84kmの距離を電力で走ることになり
 ○ これから求まるユーティリティファクター(全走行距離の中で充電電力で走る割合)が81%となり、全走行距離の19%しかガソリンで走行しないために
 ○ ガソリン消費量のみを評価する「プラグインハイブリッド燃料消費率」が126 km/lと非常に大きくなる。

 要するに、ガソリン消費量のみを考慮している「プラグインハイブリッド燃料消費率」の定義では、電池の大きさが「モノを言う」のである。

 以上の推算は、電気自動車リーフとハイブリッド車プリウスのEPA複合モードの燃費データと日本のJC08モードの燃費データの比較に基づいて、適切な駆動系のセッティングとアクセル・ブレーキ操作で試験すると仮定して、下の付録に示すような方法で行ったものである。

 簡単な推算なので、プラスマイナス2割程度の誤差があるかも知れないが、それでも「プラグインハイブリッド燃料消費率」の定義では100 km/lを超えそうである。

 (プラグインハイブリッド車の燃費として米国と日本では異なった表示方法を用いている。カタログなどに表示する燃費関連データとしてどのような値が良いか、もう少し検討をしてまとめたいと思っている。)

【付録】

1.EPA複合モードとJC08モードの比

 電費
   リーフ EPA 4.73 km/kWh JC08 8.06 km/kWh

 燃費
   プリウス EPA 21.3 km/l JC08 32.6km/l

 JC08電費/EPA電費=1.70
 JC08燃費/EPA燃費=1.53

以下の計算では、(JC08電費および燃費)/(EPA電費および燃費)=1.5と想定して、下記のボルトのEPA燃費データからJC08の燃費データを推算した。

2.ボルトのEPA燃費データ

 充電電力走行範囲(CDレンジ)
   充電電力による航続距離: 35 miles(56 km)
   100 mile走行の使用電力: 36 kWh
   電力走行に使用する充電量: 12.9 kWh

 ハイブリッド走行範囲(CSレンジ)
   ガソリン走行時の燃費: 37 MPG(16 km/l)

Utilityfactorbymlit33.ボルトのJC08燃費データ

  充電電力走行時の電費=6.5 km/kWh
  レンジエクステンダー走行時の燃費=24 km/l
  充電電力走行時の距離=84km
  ユーティリティファクター=0.81

 ここで、日本のユーティリティファクター(UF)は国土交通省の関係式(右図)から求めた。

 「プラグインハイブリッド燃料消費率」は下の式から求めた。

 FC(P) = 1 / { UF/ FC(E) + ( 1 - UF ) / FC(H) }

   FC(P) : プラグインハイブリッド燃料消費率 [km/l]
   FC(E) : 充電電力使用時燃料消費率 [km/l]
   FC(H) : ハイブリッド燃料消費率 [km/l]
   UF : ユーティリティファクター [-]

 ボルトは充電電力使用時(電池SOCで約30%以上)は充電電力のみで走行してエンジンの作動がないので、燃料消費はゼロのため充電電力使用時燃料消費率(km/l)は∞となる。

 上の式からボルトのプラグインハイブリッド燃料消費率 [km/l]は、
   FC(P)=126 km/l
となる。

追記: 2012年式のプリウスPHVの諸元が発表されたのでプリウスPHVの燃費の表を更新した。前に掲載してあった2009年12月に市場導入された約600台のプリウスPHVの燃費については、「走行パターンとプラグインハイブリッド車の燃費特性 その1.国土交通省によるPHEV燃費測定・表示の要領」の記事の中の「プラグインハイブリッド車の型式指定データ」のを参照されたい。(2011.12.05)

追記2: 2013年式Chevy VoltのEPAデータが発表されたので、それに基づき上記付録2項の「ボルトのEPA燃費データ」のJC08条件における値を再評価した。

ボルト2013年式のEPA燃費データに基づくJC08燃費データの推定

EPA発表のボルト2013年式の燃費データ
 充電電力走行範囲(CDレンジ)
   充電電力による航続距離: 38 miles(56 km)
   100 mile走行の使用電力: 35 kWh
   電力走行に使用する充電量: 13.3 kWh
 ハイブリッド走行範囲(CSレンジ)
   ガソリン走行時の燃費: 37 MPG(16 km/l)

EPAデータに基づくJC08燃費データの推定
 (JC08電費および燃費)/(EPA電費および燃費)=1.5として
  充電電力走行時の電費=6.9 km/kWh
  レンジエクステンダー走行時の燃費=24 km/l
  充電電力走行時の距離=92km
  ユーティリティファクター=0.83(国土交通省による係数より算出)

 「プラグインハイブリッド燃料消費率」FC(P)は下の式から

 FC(P) = FC(H) /( 1 - UF )
   FC(P) : プラグインハイブリッド燃料消費率 [km/l]
   FC(H) : ハイブリッド燃料消費率 [km/l]
   UF : ユーティリティファクター [-]

   FC(P)=141 km/l  となる。
(2013.06.22)

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