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シリーズ型プラグインハイブリッド車のGM VoltとOpel Amperaにハイブリッド型式変更の噂 追記:やはり噂は本当だった

Voltnyc最近(2010年6月~7月)、欧米の自動車メディアの一部で、プラグインハイブリッド車のGM Volt(写真左上、出所GM-Volt.com)とその姉妹車のOpel Ampera(写真左下、出所GM-Volt.com)が、シリーズ・ハイブリッドから、シリーズ/パラレル・ハイブリッドに設計変更されるとの噂が流れています。イギリスのテレグラフ紙の記事が発端のようですが、Voltはこの期に及んでの設計変更は考え難く、勿論GM筋は否定しています。高速走行の多いヨーロッパ市場向けのOpelのAmperaでは、設計変更の可能性があるのかも知れません。

《GMのVoltについて、本サイトでは2007年1月2008年9月に解説を行っており、その後の関連情報も追記としてこれら各記事の後に記載しています。》

噂の内容は次のようなものです。すなわち、① Charge Depleting Range(CDレンジ、電池使用走行、プラグイン走行)は、シリーズ・ハイブリッドのAll Electric Range(AER、オール電力走行)のままで変更はありませんが、② Charge Sustaining Range(CSレンジ、充電維持走行、ハイブリッド走行)に移った時に、エンジンが発電機を駆動してその電力でモーターを回すシリーズ・ハイブリッド型のレンジ・エクステンダー走行から、発電機の駆動と並行してエンジンがプラネタリ・ギアを介してホイールを機械的に駆動するパラレル・ハイブリッド型の走行に変更する、と言うことです。これらPHEVの走行モードについては、別記事走行モード図を参照ください。

Ampera1_2この場合、クラッチが必要になり、構造的にプリウスと似てきますが、むしろ GM-Daimler-BMWのGlobal Hybrid Cooperationによる「2モードハイブリッド」に近い構造も考えられます。

ただ、議論の中では、駆動系にギアとクラッチを入れても必ずしもパラレル型になるとは限らず、Voltの発電機・モーター(53kW)と駆動用モーター(110kW)の間にギア・クラッチを入れるシリーズ型構造も考えられる、などの推測も出ています。

この変更の理由は、高速走行におけるパーフォンマンスと効率(燃費)で、とくにアパラチア山脈や西部にあるような長い上り坂への対処のようです。

これらのニュースや議論は、Telegraph紙の記事1および記事2、 GM-Voltサイトの記事、その他サイトの記事1記事2および記事3などに出ています。

このニュースに進展があれば、別サイトに掲載している「自動車電動化を巡る主な動き」(毎月更新)の中で、フォローしていきます。

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以上は、2010年7月時点の情報であるが、2010年10月にこの噂が本当であることが判った。この内容を追記2にまとめた。

追記1

GM Volt、Fisker Karmaクラスの比較的大きいシリーズ型プラグインハイブリッド車(レンジエクステンダー)については以前から、「シリーズか、パラレルか」の比較論議と絡んで、ハイブリッド走行に移行してからの効率や登攀時の電池化学問題などからその前途を心配するが出ていました。

100511a_2これに対して、軽自動車など小さいクラスのシリーズ型プラグインハイブリッド車は、軽量・構造簡単の特長を生かした電動化を行えば、有望だと考えています。

2010年5月、スズキ自動車は「スイフト」のシリーズ型プラグインハイブリッド車(写真左)の型式指定を取得し、60 台を製作して全国で実証実験を開始することを発表しました。これは、2009年の東京モーターショーでそのコンセプトを発表したもので、2.66kWh のサンヨー製Li-ion 電池を搭載し、外部充電電力で15km走行し、660cc レンジエクステンダーエンジン発電によるハイブリッド走行時の燃費は25.6km/Lとなっています。はたして、小型~軽自動車クラスのプラグインハイブリッド化を先導するか、注目したいと思います。

Acp_tzero_dsc00467ところで、シリーズ・プラグインハイブリッド(レンジエクステンダー)タイプの車は以前よりあり、例えば右の写真はAC Propulsion社の電気自動車「tZero」に、Kawasakiの500ccエンジン発電機を積んだトレイラーをつけて、遠出の時はプラグインハイブリッド車にしている様子です。

現在は、電池・モーター技術も、エンジン技術も、電子制御技術も、格段に進んでいるので、シリーズ型プラグインハイブリッド車の新しい進展を期待したいと思います。
(2010.07.13)

追記2:

やはり噂は本当だった。

Green Car Advisorサイトは2010年10月11日「ボルトの衝撃 –GMの航続距離延長型EVは常にオール・エレクトリックではない」の見出しで、Voltのガソリンエンジンは発電のほかに、時速70マイル以上では駆動軸に直結して車輪を動かしている、と報じた。

そして同系列のInside Lineサイトは「率直に言えば、我々は嘘をつかれた。6月にVoltが土壇場での設計変更としてエンジンと駆動軸を直結したという噂が出た時、GMのスポークスマンはVolt(とその欧州での姉妹車Ampera)は電動駆動のみと否定していた」と述べている。

GMは、これまで一貫して、Voltは航続距離延長型電気自動車で、搭載しているガソリンエンジンは系統電力で充電した電池のレベルが低下した時に発電し、その電力で電気モーターが車を駆動する、と言い続けてきた。GMは、Voltのパワートレインの特許を出願中だったので、エンジンと車輪が機械的に連結されるというような詳細は発表できなかったと弁明している。なお、この特許は2010年9月21日に確定した。

Volttrain0このニュースは、2010年10月13日~14日にWall Street JournalNewsweekで報道され、10月25日に共同通信はNewsweekの記事を引用して「GM新型電気自動車に批判続出“エンジン搭載なのに”」と紹介している。

その間10月12日にVolt応援サイトのGM-Volt.comは、少人数のジャーナリストとともにGMから説明を受けた内容を基に「Voltの電動推進システムが公開された」の見出しでクールに説明している。ただし、これには330件以上のコメントがつき、同サイトは10月15日に「説明:ガソリンエンジンが時速30マイルからVoltの駆動を補助」のタイトルで再説明をしている。

GMの広報サイトには、2010年10月10日付けの「Volt電動駆動ユニット運転モード」というファイルが置いてあり、これにVolt駆動システムの各モードの説明が出ている。(図参照) エンジン+2機のモーター+3個のクラッチの組み合わせで、4つのモードで動力がプラネタリーギアを介して駆動軸に伝達される。具体的には、
 系統充電電力による走行のCDレンジでは
   Low Speed(1-Motor)モード
   High Speed(2-Motor)モード
 エンジン動力による走行のCSレンジでは
   Low Speed(1-Motor Series)モード
   High Speed(2-Motor Combined)モード

CSレンジのHigh Speed(2-Motor Combined)モードにおいて、エンジンと駆動軸は機械的に連結される。CSレンジでは、時速30マイル以下ではLow Speed(1-Motor Series)モードに、時速70マイル以上ではHigh Speed(2-Motor Combined)モードになり、時速30マイルと70マイルの間ではこの二つのモードから最も効率的な方が自動的に選択される。

ただし、この速度によりモードが選択されると言うのは、広報サイドが判りやすく丸めた話のようで(?)、技術サイドでは、「速度よりもトルクと出力が重要」であり、どの条件でエンジンが結合されるかはプラグラムされている「効率マップ」(Efficiency map)によって決められ、最も効率的なモードが選ばれるようになっていると述べている。

この機構の理解には、YouTubeに置いてあるCGシミュレーションを用いた説明のビデオ(英語、6分)が参考になる。その他YouTubeの動画を使用した説明は、「Chevy Volt Powertrain Deep Dive」Part 1(英語、9分)、Part 2(英語、8分)、Part 3 (英語、6分半)、「2011 Chevrolet Volt, Powertrain」(英語、36分)、など。
(2010.10.26)
Volttrain1_2Volttrain2_2

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コメント

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投稿: kapacuk | 2010.07.31 02:31

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