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技術のロックイン

QWERTY vs. Dvorak

私は英文タイプライターを使用していた1960年頃から、「ドボラック」というキー配列を使用してきた。この配列は米国のDvorak氏が1932年に考案したものである。当時のタイプライターも今のパソコンのキーボードも、左手の上段のキー配列から「QWERTY」配列と呼ばれているものを大部分の人は使用しているが、この配列は使用頻度の多いキーの多くがホームポジションから離れていて、インプットの効率化を考えて作られたものではない。

dvo-key1
ドボラック配列では、左手のホームポジションにAOEUIと母音があり、右手のホームポジションには使用頻度の多い子音が配置されている。英語を打つ時の比較では、ドボラック配列では、タイプミスは半分、速度は2倍、運指距離は20分の1になると言われている。日本語は子音の後に母音を伴うため、ドボラックの左右交互打鍵の特長が発揮され、日本語のローマ字入力においても効率的に楽にタイプができる。

ウインドウズやマックでは、今はソフトで切り替えるだけでキーボードを変えなくても両方式を使用できるが、ドボラックの利用者は米国でも日本でも非常に少ない。このキー配列方式は、ビデオレコーダーのVHS対ベータとともに、「技術のロックイン」の例としてよく引き合いに出される。すなわち、一旦ある技術が広く利用されると、ネットワーク外部性が強い場合は、より良い新技術があるにもかかわらず旧技術からの移行が起きない。

最近はパソコンのパーソナル化と可搬化が進んで、キーボードに関しては各人が自分のお好みの方式を使用できる環境が整ってきた。

さて、エネルギー技術の場合はどうなのか? ロックインした技術から新しい技術へ移行させるには、慣習や規格や制度に打ち克つ技術の卓越さは勿論だが、開発者や評価者がそのベネフィットを社会へ粘り強くアピールしていくことが重要であろう。

堀 雅夫 「エネルギーレビュー」 2003年3月号 随筆

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