Synthesistの自動車に関するツイッターから(2011年10月~2012年4月)

電気自動車・プラグインハイブリッド車などの自動車電動化を巡る最近の主な動き全般については、下記を参照下さい。
 ●自動車電動化を巡る主な動き (2012年分、適宜アップデート中)
 ●自動車電動化を巡る主な動き (2011年分)

ACプロパルション社CEOのTom Gageが辞職(2011.10.09)

ACプロパルション社CEOのTom Gageが辞職した。(ニュースソース) テスラやEVミニのドライブトレーン技術はこの会社から。ACプロパルション社発表「彼はEVコミュニティに留まるだろう」、「辞職は取締役会との合同決定」、「中国でのEV市場拡大などがよりスムースに」など。

Tom Gage辞職に関連して、ACプロパルション社の技術で電気ミニバンLuxgenを製造している台湾のYulon社の話も出ている。ACプロパルション社のインバーターは系統との大電力の充放電が可能なので、V2Gなど自動車・グリッド間のエネルギー統合運用で重要な技術。

プリウスPHVとボルトの燃費(2011.11.05)

11月5日の朝日新聞に来年1月発売のプリウスPHVの燃費は現行プリウスの2倍のリッター61キロと出たので、プラグインハイブリッド車の燃費について解説をしている私のブログ記事へのアクセスは普段の10倍に増えた。PHVへの関心は高い。

プリウスPHVに関連して、シボレー・ボルトの日本での「燃費」を100km/L以上と推算しているブログ記事にもアクセスが多い。日本のPHEV「複合燃料消費率」の定義は、ガソリン消費のみを考慮しているので、電池の大きさがモノを言ってしまう。

自動車-グリッド・インタラクション(2011.11.24)

2011年9月に次世代エネルギー産業会議で講演した「自動車-グリッド・インタラクション」の資料を掲載しました。内容は、プラグイン自動車による電力系統のシステムおよび配電レベルへの影響、電力系統への各種サービス、電力系統との統合システムの方向、など。

東京モーターショーの印象(2011.12.10)

東京モーターショーに行ってきた。場所が東京ビッグサイトになったせいか大変な人だった。トヨタの小型ハイブリッドの「アクア」はコンパクトで良くできていると思った。ただ、今乗っているプリウスが私のカーライフにぴったりなので、アクアに乗り換える気にはならなかった。

トヨタ・スバル共同開発のスポーツカー「86(ハチロク)/ BRZ」の人気は凄く、写真を撮る列には40分と書いてあった。全般に、電気自動車やプラグインハイブリッド車などのエコカーよりもスポーツタイプの方が人だかりが多かった。この辺はメデイァの報道から受ける印象と違った。

「自動車―電力系統のインタラクション」、OHM誌に掲載(2011.12.13)

今、書店に出ている技術総合誌「OHM」12月号の特集「スマートモビリティ: 自動車はこれからどうなる?」に、「自動車―電力系統のインタラクション」と題する5ページの記事を掲載しました。11年9月に次世代エネルギー産業会議で講演したもの。概要はここ

GEの充電器、アマゾンで通販(2011.12.15)

米国のアマゾンで、壁掛け式のGE製電気自動車用充電器「WattStation」を売っている。208-240V40Aの仕様で$1,099。日本円にすると約8万6千円と安い。日本で同種の壁掛け式は、半分の容量(200V20A)で約15万円。

ガソリン燃料の低温SOFC(2011.12.31)

ガソリンを燃料とし、出力密度が高く、これまでよりも低い温度で作動する燃料電池(LT-SOFC)の開発が進んでいる。これが実用化したら自動車はどう変わるか? 現状と考察をメモにした。「低温ガソリンSOFCで自動車が変わる?」

今後の水素エネルギー利用に関する見解(2012.01.05)

「今後の水素エネルギー利用」について見解をまとめた。水素利用を大別して考察。①配送水素単体利用(水素単体を配送して利用) ②改質水素直接利用(化石燃料などを配送して、改質・水素生成し、その場で燃料電池などに供給して利用)

見解の要約: 生成する水素を直接その場で燃料電池で利用するような「改質水素直接利用」のケースは増加するが、「水素単体がエネルギーキャリアーとしてパイプラインやタンクローリーなどの整備されたインフラを通じて大規模に流通・利用される」ような「配送水素単体利用」のケースは限定的。

米国でリーフ改良、レベル2充電は6.6kWへ(2012.03.22)

米グリーンカーレポートによると「2013年型の日産リーフ: ヒーター改良、レザーオプション、6.6kW充電」。リーフのユーザーは「シートのオプションやヒーターでは買い換えないが、6.6kW充電では買い換えるかも」とのコメントがあった。

私は前から「200V普通充電は30Aに」と言ってきたが、日本の普通充電設備は依然として大部分が3kW用。米国の大手の充電設備メーカーの機器は、初めから220V-30A=6.6kWに対応済みだ。日本向けの車は3kW充電の儘なのかな?

米国で今年発売される2013年式リーフから220V充電が2倍の6.6kWになる件、2011/12年式も6.6kWにアップグレード可能な話があったが、米国であったオンラインのリーフファンとのミーティングで、この方法はないことが確認された。(2012.04.12)

電気自動車などのWell-to-WheelのCO2排出量(2012.03.30)

電気自動車、ハイブリッド車、PHEV、エンジン車のWell-to-WheelのCO2排出量のブログをアップデートした。これまでは発電所の上流のCO2排出を入れてなかったが、JHFCの総合効率部会報告書の数値を入れて図にまとめた。 ページの最下部の追記4。

自動車のエネルギーにガソリンのほか電気も加わったので、Well-To-WheelのWell(油井)の表現がふさわしくなくなり、一次エネルギー源の意味で「Source」を使った「Source-To-Wheel」の表現を用いるようになってきた。

PHEV燃費表示の解説をアップデート(2012.04.17)

トヨタ・プリウスPHVが1月末から一般に発売され、その燃費が「リッター61km」ということでPHEVの燃費について調べる人が多くなった。私が解説しているサイトへのアクセスも多くなったので、内容を整理してアップデートした。

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エネルギー・環境対応型自動車の総合CO2排出量

Stwco2emissionepa2電気自動車・ハイブリッド車・プラグインハイブリッド車などの「エネルギー・環境対応型自動車」の「エネルギー源から車輪まで」の総合CO2排出量を、最近のJHFCのWell-To-Wheel評価のデータを入れて計算してみました。詳細は「電気自動車を火力発電で動かすより、ハイブリッド車の方がCO2排出は少ない?」のサイトの最後の方の「注記4」および「注記5」にまとめてあります。

自動車が使用するエネルギーがガソリンのほか電気も加わってきたので、Well-To-Wheelの「Well」(油井)やTank-To-Wheelの「Tank」(ガソリンタンク)の表現がふさわしくなくなり、一次エネルギーの源の意味で「Source」、自動車のエネルギー貯蔵(タンクや電池)の意味で「Vehicle」を使用した「Source-To-Wheel」や「Vehicle-To-Wheel」の表現を用いています。

上記サイトにも書いてありますが、新しい燃費計測基準の「JC08」モードによる燃費は、従来からの「10・15」モードの値よりもユーザーの実走行時の燃費に近いと言われていますが、一般ユーザーの普通の走行条件では「JC08」モードの値を出すことは先ず困難であり、実燃費とは未だ相当乖離しています。

Stwco2emissionjc08これに対して、米国の環境保護庁(EPA)が制定している燃費は、都市部走行(City)、高速道路走行(Highway)とそれらの複合(Combined)の3データが示されており、これらの値は日本の「JC08」モード燃費よりも低く、日本での実走行燃費にかなり近いと考えられますので、上記サイトの注記4ではEPA複合燃費で評価した「Source-To-Wheel」のCO2排出量の結果を示しました。(上の図)

ただ、「JC08」モード燃費は実用燃費と乖離しているとは言え、公式には各所で使われていますので、注記5では各車種について「JC08」モードによって評価した「Source-To-Wheel」のCO2排出量の結果を示しました。(下の図)

これらの図から判るように、電気自動車やプラグインハイブリッド車のCO2排出量は自動車を充電する系統電力のCO2排出原単位によって変わり、この発電のCO2排出原単位は電力会社の電源構成によって変わるので自動車を使用する地域によって変わり、また年度によって電源構成などが変われば変動します。なお、日本全体では、発電のCO2排出原単位の平均値に相当する自動車のCO2排出量を見ることになります。

詳しくは、上記サイトの注記4と注記5の項をご覧下さい。

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低温ガソリンSOFCで自動車が変わる?

Fuelcellsもし、このガソリンを燃料とする低温の燃料電池(SOFC)が本当に実用化したら;
 car エネルギー効率が2倍になるので、ガソリンスタンドは生き残ってもガソリンエンジン車は減っていく?
 car そして、既存のガソリンインフラが利用できるので、大規模な水素インフラ整備が必要な水素の燃料電池車は影が薄くなる?
 car さらに、コンパクトで「航続距離不安」のないSOFCレンジエクステンダーとの住み分けで、電気自動車は急速充電インフラを必要としない近距離コミューターに変わっていく?
 carcarcar まさに自動車が変わることになりそうである。

Wachsman280x120米国メリーランド大学エネルギー研究センター長のEric Wachsman教授が開発したガソリン燃料の固体酸化物型燃料電池(SOFC)は、大学のプレス発表によると、エネルギー密度が約2ワット/平方cmと大きく、作動温度が650℃以下と低い、画期的なものである。これまで他のグループも2ワット/平方cm程度のエネルギー密度を実証してきているが、何れも約800℃の作動温度でボタンサイズのYSZによるもので、スケールアップに際しては問題に遭っている。

Wachsman教授等は別の材料を各種試み、アノードに薄膜GDC/ESBの2層電解質、カソードにBR07―ESB複合材料の組合せで、このエネルギー密度・作動温度のブレークスルーを達成した。この電解質は、従来のジルコニアのものに比べて電気伝導度が同じ温度で約100倍と優れている。(電極の組成は注1参照)

「2ワット/平方cm」というエネルギー密度だが、カリフォルニアでCoca-Cola、Fedex、Googleなどの各社のビルに自家発電用SOFCを納入して有名になったBloomエネルギー社のユニットがこの10分の1程度のエネルギー密度でしかも作動温度は900℃であることから、画期的な値であることが判る。

上の写真で手に持っているセルが10x10センチで200ワット発電、下の図(E.D. Wachsman, K.T. Lee; Science.)のように、これを5セル合わせたものが1センチ厚、50セル合わせたスタックが10x10x10センチの立方体で10kW発電、これを10スタック束ねた1モデュールが100kW発電となる。この図には、SOFCの出力とその適用機器の対比が示されている。このスタックは材料1kgあたり3kWの発電が可能で、内燃機関の1/3のサイズでそれ以上のパワーが出ることになる。Sofcl

Wachsman教授によると、現在の作動温度650℃は電解質と電極の改良により350℃まで下げることが出来るとのこと。この温度まで下がると、自動車の動力源としての利用可能性は大きく拡がる。SOFCの自動車搭載時の問題は、始動時における作動温度までの予熱時間で、作動温度が350℃まで下がると電池電力でスタートして走行中に燃料電池電力に切り替えるまでの電池容量が少なくて済むので、乗用車を含む各種の自動車に適用可能になる。ガソリン燃料の場合は、扱い慣れている液体燃料を、ガソリンスタンドなどの既存のインフラを通して供給できる利点がある。

このガソリン燃料電池は、電動パワートレインを持つハイブリッド車との相性が良さそうである。燃料電池をハイブリッド車のエンジンの代わりにする場合、もともと搭載している短距離走行可能の電池を使用して予熱時走行ができる。プラグインハイブリッド車の動力源として使うのは、電池容量に余裕がある上、電力系統との双方向電力流通(V2G)の特長も生かせて、最高の組合せと考えられる。

この低温ガソリンSOFCは、はたして目論見通り本当に開発・実用化できるのか? しかし、もしこのガソリン燃料電池のような液体燃料による低温SOFCが実用化されたら、自動車やその他の移動用動力源を革新する破壊的(disruptive)技術となるので、要注目である。そして、効率の良い燃料電池によりガソリン使用量は減るが石油依存には変わりはないので、長期的には脱炭素のためにも、燃料をバイオマス起源の合成燃料などに切り替えていく研究開発が必要である。

主な参考資料・図出所:
"Gasoline Fuel Cell Would Boost Electric Car Range"
MIT Technology Review, December 2, 2011

"Gasoline SOFC under Development for Automotive Applications"
Fuel Cell Today, December 5, 2011

"With low-temp SOFC gains like this . . . why stop now?"
Ceramic Tech Today, November 18, 2011

Eric D. Wachsman and Kang Taek Lee
"Lowering the Temperature of Solid Oxide Fuel Cells"
Science 18 November 2011:Vol. 334 no. 6058 pp. 935-939

Eric D. Wachsman, Craig A. Marlowe and Kang Taek Lee
"Role of solid oxide fuel cells in a balanced energy strategy."
Energy and Environmental Science, 2012, First published on the web 07 Nov 2011

注1:
 電極の略称と組成は次の通り。
  YSZ = yttria-stabilized zirconia
  GDC = gadolinium cerium oxide
  ESB = erbia-stablized bismuth oxide
  BRO7 = nano-sized pyrochlore bismuth ruthenate
 なお、2層電解質とは、GDC(~10μm)/ESB(~4μm) の2層

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自動車―電力系統のインタラクション – 自動車が系統に接続される割合は?

Ohmcover1112_2次世代エネルギー産業会議・第19回会議(2011年9月28日東京工業大学)で自動車-グリッド・インタラクションに関する講演をしました。講演は約1時間で、プラグイン自動車(PEV)と電力系統(グリッド)の相互関係(インタラクション)について、重要な幾つかの課題・可能性を取り上げて解説しました。技術総合誌「OHM」の2011年12月号にその内容が紹介されています。

Horiarticlep1a「OHM」誌では、特集「スマートモビリティ―自動車はこれからどうなる?」の中で「自動車―電力系統のインタラクション―プラグイン自動車で実現する系統との双方向電力流通」と題する5ページの記事にまとめてくれました。編集部が講演の中から選んだテーマは次のとおりです。

 ● PEVによる電力系統のシステムレベル・配電レベルへの影響
 ● PEVによる電力系統への各種サービス
 ● PEVの充電設備の海外の動向
 ● 自動車・電力系統を統合したシステム

このようなプラグイン自動車と電力系統を統合したシステムの各種の可能性を考える時、動きまわる車が平均的にどの程度の割合で電力系統に接続できるか、その利用可能割合(数値的には対象とする車のうち系統に接続している割合、「Availability」「系統接続率」)を知る必要があります。

このためには、自動車がどのような使われ方をしているかの統計的な調査データが必要です。米国には、NHTS(National Household Travel Survey)など綿密に計画された調査とその結果をいろいろな目的に利用可能なように整理されたデータがあります。これらのデータから、米国の平均として1日24時間の任意の時刻における自宅に駐車している割合、あるいは自宅または勤務先に駐車している割合などが計算できます。

Availability左の図は、NHTSの調査データから自動車の系統接続率の時刻による変化を推算したものです。自動車と系統を接続する充電ポイント(双方向電力流通を考える時は「プラグインポイント」と呼んだ方が良い)が、家にしかない場合は車が外へでている昼間の接続率は65%程度まで低下しますが、もし勤務先にもプラグインポイントがあれば、昼間の最低でも85%程度の接続率になります。深夜は車は殆ど家で系統に繋がっているので100%の接続率になります。

このような自動車の系統接続率から、プラグイン自動車はその大きなパワー(kW)をかなりの割合で系統へ融通(V2G)できる素地を持っており、将来の電力システムにおいて重要なプレーヤーになり得ると言えます。これに、燃料電池やガスエンジンなどの分散型のコジェネレーション機器のパワーが加わることになれば、これまでとは違った画期的なエネルギーシステムが構築できると考えられます。

なお、講演で使用したパワーポイントは、ここからダウンロードできます。

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@Synthesist1932の自動車に関するTwitterから(2011年1月~9月)

トヨタ燃料電池車2014年発売(11.01.04)

Toyota02「トヨタ、燃料電池車14年発売へ、コスト減で1年前倒し」(中日新聞の2011年1月4日)のグッドニュースへの感想6項目 ①FCVのコストダウンの決断ができた。もともとPEFCに各社があんなに高い値段を言っていたこと自体がおかしかったのか?

続「トヨタ、燃料電池車14年発売へ・・・」への感想 ②国際的に、FCV推進への動きはEVブームの中でも却って根強い。③国際・国内・社内のFCV開発ファミリへの配慮として良さそう。④FCVでスパートを見せることで、次世代車開発レースのペースを握れる?

続2「トヨタ、燃料電池車14年発売へ・・・」への感想 ⑤全国的な水素インフラ整備は無理だが、限られた地域で助成によるインフラ整備により政策的導入はあり得る。⑥燃料電池は、コストダウンされても乗用車での実用的導入は難しいと思われるが、自動車以外での燃料電池の用途は広く有望だと思う。

200V普通充電は30Aに(11.01.30)

最近米国で新しく発表になった電気自動車は220V-30Aの6.6kW充電が多い。Ford Focus EVも6.6kWだ。24kWh電池の充電がLEAFの3.3kW約7時間に対して6.6kWでは3時間半で済む。米国のリーフ購入予定者から車載充電器 のパワーアップの要望が出ている。

米国のディーラーは「LEAFの次のモデルは、SAEレベル2(low) 220V-15A=3.3kW 充電時間=約8時間とレベル2(high) 220V-30A=6.6kW 充電時間=約4時間、急速充電は・・・」と説明しているとか?

普通充電は今後6.6kWになっていくだろう。米国の大手の充電設備(EVSE)メーカーのCoulomb、AeroVironment、ECOtalityなどの機器は、初めから220V-30A=6.6kWに対応済みのようだ。日本の公共用充電インフラは200V-30A=6kWに対応しているか?

BEVのコマーシャル(11.05.28)

電気自動車の洒落たコマーシャル、同系列の2つ。ルノー日産、この45秒辺りにレンジエクステンダーのボルトが出てくる。

急速/普通充電用コンボコネクター(11.08.11)

Combocoupler米国の自動車技術会(SAE)と電気学会(IEEE)が、遂に電気自動車・PHEV用の「コンボコネクター」の標準化を発表。J1772規格の交流と直流のレベル1とレベル2を カバーするので、交流は110V-15Aか240V-80A(19.2kW)まで、直流は最大90kWまでを、一つのコネクターで通電可能。

SAEとIEEEの両学会は、今年の4月にスマートグリッド関連の自動車技術に関して戦略的パートナーシップを結んでいた。半年足らずで今回の発表、来年 第1四半期には基準化する予定。自動車とグリッドとのV2Gのための通信はPLCで、現構造にピンの追加は不要とのこと。

このSAEとIEEEのコンボコネクターの出典。 メデイア報道SAE発表SAE・IEEEのパートナーシップ(4月)

このプラグイン自動車用の「コンボコネクター」は、SAEが来年第1四半期に規格化すると発表しただけで、未だ確定していない。SAEと米国メーカーは、急速充電でCHAdeMOが先行しているので、かなり焦っているのでは? 

現に、ワシントン州などハイウエイ沿いに急速充電設置のDOE予算がついており、今年中に執行しなければならず、現状ではCHAdeMOを採用するしかない。・・・

[注記] コンボコネクター(カップラー)など「プラグイン自動車充電設備の海外の動向」については、「次世代エネルギー産業会議・第19回会議」(2011.9.28)で行った講演「自動車-グリッド・インタラクションなど自動車電動化を巡る最近の動き」の中で触れており、その時のパワーポイントがここに置いてあります。興味のある方はこの資料のp.36-p.51あたりをご参照ください。(12.03.29)

近距離BEVコミューター(11.09.30)

電気自動車が役立つシチュエーションの代表的なものは、①市内移動 ②通勤。これには1人乗り以上・1輪以上の超軽量車で充分な場合が多い。最近はこの目的の電動車コンセプトが発表されている。この中ではVWのコンセプトモデル「NILS」に注目している。

Nilsvwe1315964280005_4VWが公開したコンセプトモデル「NILS」は究極のBEVコミューターか? 1シーター、全長3m、ボディ幅0.86m、高さ1.2m、17インチアルミホイール、重量460kg、航続距離65km、最高速130km/h、充電は230V・2時間。 

電動2輪スポーツDVD(11.09.30)

電動2輪はモータースポーツ・ファンが熱心。"Zero Emission/Maximum Speed"の副題がついた「Charge」というDVDが発売されている。

大型車の電動化コンバージョン(11.09.30)

大きな自動車の電動化は石油依存からの脱却に大きな効果がある。この効果を出来るだけ早く出させるには今走っている大型車のコンバージョン(改造)が重要。これは、プリウスのPHEVコンバージョンのパイオニア CalCarsなどが今熱心に取り組んでいるテーマ

Lutzsolsticesunglasses630この電動車への改造に関して、あのChevy Voltの生みの親 Bob Lutz が、改造ベンチャーの「VIAモーター」に入ったということが話題になっている。彼は、フォードやクライスラーで副社長などを歴任した後、GMの副会長になった人。(Bob Lutzの写真は記事のAutoblogのサイトから転載)

VIAモーターのレンジエクステンダー機構「E-REV」はトラックなどの大型車の改造に向いているようで、この種のシリーズハイブリッド型パワートレーンがこれからの改造車の主流になるか?

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シボレー・ボルトの日本での燃費は?

Chevyvoltjsae レスポンスの記事、『シボレーボルトを日本初公開、市販は未定』『GMジャパン石井社長、ボルトの実証走行「できるだけ早く始めたい」』などにあるように、シボレー・ボルトがいよいよ日本で公開された。記事によると、GMジャパンは日本での販売については未定だが、「技術的なところと営業的なところをにらんでのデモを日本でこれから進めていきたい」と述べている。

 そこで、もしボルト(Chevrolet Volt)が日本で販売された場合の燃費がどのくらいになるか、国土交通省が決めたプラグインハイブリッド車の燃費算定方法によって推定してみた。この算定方法は「プラグインハイブリッド自動車の燃費算定等に関する実施要領」(2009年7月、国土交通省通達)に示されており、本サイトでも2010年7月の項で解説している。

Priusphv2012 この要領により算定された2012年式プリウスPHVのグレードS(型式DLA-ZVW35-BHXEB)の「プラグインハイブリッド燃料消費率」などカタログなどに表示する各種燃費関連値を右表にしめす。なお、このプリウスPHVのユーティリティファクター(UF)は0.483で、この値は日本の平均的ユーザーならば全走行距離の48.3%の距離を系統から充電した電力で走行することを意味している。

Chevyvolt2 シボレー・ボルトについて、日本でこれと同じJC08モードによる燃費測定を行ったとして、上記要領で規定されている「プラグインハイブリッド燃料消費率」などカタログなどに表示する各種燃費関連値を推定してみたのが左表である。この結果を見ると、シボレー・ボルトのプラグインハイブリッド燃料消費率は、実に126 km/l(MPG表示で296 miles/gallon)という高い値になった。これは、プリウスPHVの同燃料消費率61 km/lの2倍以上の値である。

 何故このような高い燃費になったか? この理由は

 ○ ボルトは12.9kWh(交流側測定)の充電電力を使用して
 ○ 米・環境保護庁(EPA)複合燃費モードでは35マイル(56km)の距離を電力で走るのに対し
 ○ JC08モードでは電費がEPA複合の約1.5倍と想定されるので同じ充電電力で84kmの距離を電力で走ることになり
 ○ これから求まるユーティリティファクター(全走行距離の中で充電電力で走る割合)が81%となり、全走行距離の19%しかガソリンで走行しないために
 ○ ガソリン消費量のみを評価する「プラグインハイブリッド燃料消費率」が126 km/lと非常に大きくなる。

 要するに、ガソリン消費量のみを考慮している「プラグインハイブリッド燃料消費率」の定義では、電池の大きさが「モノを言う」のである。

 以上の推算は、電気自動車リーフとハイブリッド車プリウスのEPA複合モードの燃費データと日本のJC08モードの燃費データの比較に基づいて、適切な駆動系のセッティングとアクセル・ブレーキ操作で試験すると仮定して、下の付録に示すような方法で行ったものである。

 簡単な推算なので、プラスマイナス2割程度の誤差があるかも知れないが、それでも「プラグインハイブリッド燃料消費率」の定義では100 km/lを超えそうである。

 (プラグインハイブリッド車の燃費として米国と日本では異なった表示方法を用いている。カタログなどに表示する燃費関連データとしてどのような値が良いか、もう少し検討をしてまとめたいと思っている。)

【付録】

1.EPA複合モードとJC08モードの比

 電費
   リーフ EPA 4.73 km/kWh JC08 8.06 km/kWh

 燃費
   プリウス EPA 21.3 km/l JC08 32.6km/l

 JC08電費/EPA電費=1.70
 JC08燃費/EPA燃費=1.53

以下の計算では、(JC08電費および燃費)/(EPA電費および燃費)=1.5と想定して、下記のボルトのEPA燃費データからJC08の燃費データを推算した。

2.ボルトのEPA燃費データ

 充電電力走行範囲(CDレンジ)
   充電電力による航続距離: 35 miles(56 km)
   100 mile走行の使用電力: 36 kWh
   電力走行に使用する充電量: 12.9 kWh

 ハイブリッド走行範囲(CSレンジ)
   ガソリン走行時の燃費: 37 MPG(16 km/l)

Utilityfactorbymlit33.ボルトのJC08燃費データ

  充電電力走行時の電費=6.5 km/kWh
  レンジエクステンダー走行時の燃費=24 km/l
  充電電力走行時の距離=84km
  ユーティリティファクター=0.81

 ここで、日本のユーティリティファクター(UF)は国土交通省の関係式(右図)から求めた。

 「プラグインハイブリッド燃料消費率」は下の式から求めた。

 FC(P) = 1 / { UF/ FC(E) + ( 1 - UF ) / FC(H) }

   FC(P) : プラグインハイブリッド燃料消費率 [km/l]
   FC(E) : 充電電力使用時燃料消費率 [km/l]
   FC(H) : ハイブリッド燃料消費率 [km/l]
   UF : ユーティリティファクター [-]

 ボルトは充電電力使用時(電池SOCで約30%以上)は充電電力のみで走行してエンジンの作動がないので、燃料消費はゼロのため充電電力使用時燃料消費率(km/l)は∞となる。

 上の式からボルトのプラグインハイブリッド燃料消費率 [km/l]は、
   FC(P)=126 km/l
となる。

追記: 2012年式のプリウスPHVの諸元が発表されたのでプリウスPHVの燃費の表を更新した。前に掲載してあった2009年12月に市場導入された約600台のプリウスPHVの燃費については、「走行パターンとプラグインハイブリッド車の燃費特性 その1.国土交通省によるPHEV燃費測定・表示の要領」の記事の中の「プラグインハイブリッド車の型式指定データ」のを参照されたい。(2011.12.05)

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レンジエクステンダーならではの対策 -- ボルトの「シールドガスタンク」と「メンテナンスモード」

Volt_2010「レスポンス」のサイトに「ボルトのオーナー、燃費公表…98.2km/リットル」という面白い記事が出ていた。

このボルトのオーナーは3ヶ月前にボルトを購入し、主に通勤に使用して現在までの走行距離が2390km。この人の通勤距離42kmはボルトの電池航続距離(EPA複合燃費ベースで56 km)の範囲内で、帰宅後に毎日充電しているため、エンジンが始動することは殆どなかったとのこと。そのため購入以来一度も燃料補給をしておらず、車載モニターは平均燃費は231マイル/ガロン(約98.2km/リットル)を表示。

ボルトのようなシリーズ型プラグインハイブリッド車(GMは「航続距離延長型電気自動車、EREV」と呼んでいる)は、このような使い方では、まさに「電気自動車」そのもので、搭載しているエンジンを始動することもなく、タンクのガソリンを消費することなく、何時までも使うことができることになる。

Display_voltところが、このような状況はガソリンやエンジンにとって好ましくない。長時間タンク内にあるガソリンは蒸発や酸化で成分が変化していき、エンジンに悪影響を与える可能性もある。この問題を避けるために、GMはボルトに「シールドガスタンク」と「メンテナンスモード」と言う対策を講じている。(この情報の出所

「シールドガスタンク」とは、ガソリンの蒸発を防ぐ加圧密封のガソリンタンクのこと。タンクの材質は最近使用されているプラスティックではなく、錫・亜鉛メッキ(hot-dip)の1.4mm厚軽量鋼。タンクの圧力開放弁は3.5psi、真空開放弁は-2.3psiに設定してあり、万一の加減圧に対応している。

シールドガスタンクによって、ガソリン蒸気の漏出と水分の漏入を防げるが、それでもタンク内のガソリンは定期的に消費・補給する必要がある。このために、ボルトでは「メンテナンスモード」を設けている。

Volttank2メンテナンスモードとは、6週間エンジンの始動がない場合にドライバーにメンテナンスのためにエンジン始動の警告を出す。ドライバーが警告後24時間以内にエンジン始動をしない場合は、エンジン自体が一定時間動き、一定量のガソリンを消費し、エンジン潤滑も行うようにしている。さらに、ガソリン補給を1年間行わなかった場合も、メンテナンスモードによって古いガソリンを消尽するまでエンジンが動き、ドライバーに新燃料を補給させる。

メンテナンスモードは、ドライバーが満タン(9.3ガロン)にして1年間15,000マイルを電気で走行した場合に平均燃費が1,600MPG(682km/L)になる程度のガソリンを消費することになる。

(使用したボルトの写真の出所はWikiおよびGM-Volt.com

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電気自動車を火力発電で動かすより、ハイブリッド車の方がCO2排出は少ない?

1、電源構成で変わる電気自動車の炭酸ガス排出量

Electricityco2_3電気自動車の場合は、電源構成により発電のCO2排出原単位が変わると、車の1km当りの二酸化炭素(CO2)排出量の値も変わってくる。ここで、各種発電方法のCO2排出量を見てみよう。

左図(出所:電気事業連合会)は、各種電源別のCO2排出量を図示したもので、縦軸の1kWh当りのCO2排出量は、所謂「ライフサイクル評価」による値で、発電燃料の燃焼時のCO2排出量のほかに、原料の採掘から発電設備の建設・運用などに関わる全てのCO2排出量を合計したものである。

発電のCO2排出原単位として定義されているものは、この中の茶色の発電燃料燃焼分によるものである。太陽、風力、原子力などがCO2排出原単位がゼロなのに比べて、化石燃料による火力発電は1kWh当り400~900g程度のCO2排出になっている。なお、これらの値は発電プラントの熱効率によって変わる。

2、石炭火力発電の割合と電気自動車のCO2排出量

電源構成による電気自動車のCO2削減効果の変化は、以前から検討されている。石炭火力が多い中国では、電気自動車導入の環境的な意義を確認するために、中国・清華大学と米国・アルゴンヌ国立研究所が共同で研究を行っている。以下は、両者共著の「中国における電気自動車の環境的意味」と題する論文(2010年発表)における主な結果である。引用している図も上記論文からの転載である。

Futurechina右図は、2030年頃の将来を想定して、電源構成に占める石炭火力の割合(その他は、水力、原子力、太陽、風力などのCO2排出ゼロの発電と仮定)とその熱効率をパラメーターにして電気自動車のCO2排出量を評価し、ハイブリッド車およびエンジン自動車のCO2排出量と値が一致する点(ブレークイーブン・ポイント、図中の□印)を示したものである。ここで、2030年の平均電費・燃費は電気自動車5.00 km/kWh、ハイブリッド車25.6 km/L、エンジン自動車18.2 km/L、石炭火力発電の熱効率は40%を用いている。これらの算定根拠については原論文を参照されたい。

この図には、電気自動車のCO2排出量がエンジン自動車と同じになる石炭火力割合87%、同じくハイブリッド車と同じになる石炭火力割合60%の二つのブレークイーブン点が示されている。なお、2030年の中国の石炭火力割合については、EIA/IEA(80%前後)および中国の研究所(70%前後)の予想が示されている。これら石炭火力割合の全土平均では、2030年でもCO2排出量は [エンジン自動車>電気自動車>ハイブリッド車] となっているが、水力発電が多い北西部・中央部・南部の地域では、電気自動車の方がハイブリッド車よりもCO2排出量が少なくなると推定される。

Generationmixchina因みに、中国の現在の石炭火力の熱効率は32%~34%、石炭火力の割合は左図のように地域により65%~98%と大きく異なっている。

Currentchinaこれらを基にした現時点における評価では右図に示すように、中国6地域の内、南部以外では電気自動車よりハイブリッド車の方がCO2排出量が少なく、北部ではさらに電気自動車よりエンジン自動車の方がCO2排出量が少なくなっている。なお、現時点(2008年)の電費・燃費には、電気自動車4.17 km/kWh、ハイブリッド車17.9 km/L、エンジン自動車12.5 km/Lを用いている。

電気自動車導入の意義は、広く、脱・石油依存、エネルギー自給、環境保全、双方向電力流通(V2G)による自動車・電力系統のエネルギー統合、新しい交通システム・ライフスタイルの創出、産業振興などの効果にある。中でも、温暖化対策として喫緊の課題であるCO2排出削減の効果については、発電のCO2原単位が地域により大きな差があることから、電気自動車の導入に関わる方針決定・政策策定に際しては、この論文のような定量的な検討を行っておくことは重要と考える。

3.日本における電気自動車とハイブリッド車のCO2排出量比較

A. 電気自動車とハイブリッド車の燃費

ここでは、電気自動車とハイブリッド車のCO2排出量を、電気自動車は日産「リーフ」、ハイブリッド車はトヨタ「プリウス」を例にとって評価する。

リーフとプリウスのJC08モード燃費は次のとおり。

 ● リーフ(型式ZAA-ZE0) JC08モード電費=124 Wh/km=8.06 km/kWh
 ● プリウス(型式DAA-ZW30 Sグレード) JC08モード燃費=32.6 km/L

新しい燃費計測基準の「JC08」モードによる燃費は、従来からの「10・15」モードの値よりもユーザーの実走行時の燃費に近いと言われている。しかし、一般ユーザーの普通の走行条件では「JC08」モードの値を出すことは先ず困難であり、実燃費とは未だ相当乖離している。

これに対して、米国のEPA(環境保護庁)が制定しているEPA燃費は、都市部走行(City)と高速道路走行(Hwy)と、それらの複合(Combined)の3データが示されており、これらの値は日本の「JC08」モード燃費よりも低く、日本での実走行燃費にかなり近いと考えられる。

 ● リーフ(2011) EPA複合電費=34 kWh/100 miles (City 32 Hwy 37)=4.73 km/kWh
 ● プリウス(2011) EPA複合燃費=50 miles/gallon (City 51 Hwy48) = 21.3 km/L

以下、EPA燃費(複合燃費)を用いて評価する。

B. プラグインハイブリッド車とエンジン自動車の燃費

電気自動車とハイブリッド車に加えて、参考までに、プラグインハイブリッド車とエンジン自動車のCO2排出量も同時に比較する。

プラグインハイブリッド車としては、仮想的にリーフの電費とプリウスの燃費を持ち、ユーティリティファクター(全走行距離に占める充電電力走行距離割合の平均、略して「UF」)が0.5の車を想定し、CO2排出量を評価した。(因みに、2009年トヨタ・プリウスPHVはUF [JC08モード] = 0.462、2012年トヨタ・プリウスPHVはUF[JC08モード] = 0.483、シボレー・ボルトはUF [EPA 複合モード] = 0.64)

 ● プラグインハイブリッド車 電費=4.73 km/kWh 燃費=21.3 km/L  UF=0.5

エンジン自動車としては、日産「ヴァーサ」(Versa、日本名:ティーダ)について評価した。ヴァーサは、日産が 2009年から2010年にかけて全米11州の主要都市で「リーフ」の展示・試乗ツアーを行った時などに、試乗車として使用したリーフのプロトタイプ車* のベースとなった車である。(* ミュールmuleと言い、開発中のパワートレインのみを載せた初期プロトタイプ車のこと)

 ● ヴァーサ(2011 1.8L Automatic) EPA複合燃費=30 miles/gallon(City 28 Hwy 34)= 12.8 km/L

C. CO2排出量の計算方法

CO2排出原単位
 ○ 発電のCO2排出原単位: パラメーターとして0~1.0 [kg-CO2/kWh]の範囲、(記号CP)
 ○ ガソリンのCO2排出原単位: 2.80 [kg-CO2/L] (追記3に説明してあるが、2011年2月21日に掲載した最初の計算では、環境省によるガソリンのCO2排出原単位の2.32[kg-CO2/L] を使用していた。これはタンクまでの上流側のCO2排出を含まない値である。電気の計算では発電プロセスまで遡って評価しているので、ガソリンの上流側排出分として20%増の2.80[kg-CO2/L] を使用することに変更した。以下の文章および図にも、この変更による修正を加えた)

CO2排出量の計算式
 ・電気自動車のCO2排出量= CP/4.73 [kg-CO2/km]
 ・プラグインハイブリッド車のCO2排出量=0.5xCP/4.73 + (1-0.5) x 2.80/21.3 [kg-CO2/km]
 ・ハイブリッド車のCO2排出量=2.80/21.3 = 0.1315 [kg-CO2/km]
 ・エンジン自動車のCO2排出量=2.80/12.8 = 0.219 [kg-CO2/km]

D.  CO2排出量の計算結果

Co2emissionvehicle8with28r左図は、発電のCO2排出原単位(kg-CO2/kWh)を横軸に、電気自動車、プラグインハイブリッド車、ハイブリッド車、エンジン自動車のCO2排出量(g-CO2/km)を縦軸に示したもの。エンジン車とハイブリッド車は、発電と関係ないので当然一定となる。

この図から、発電のCO2排出原単位が約0.63 kg/kWhの値をブレークイーブン点として、それ以下の発電CO2排出原単位では自動車CO2排出量は電気自動車が最も少なく、次にプラグインハイブリッド車、ハイブリッド車の順になる。発電CO2排出原単位が約0.63 kg/kWhのブレークイーブン点以上では、自動車CO2排出量はハイブリッド車が最も少なく、次にプラグインハイブリッド車、電気自動車の順になる。電気自動車とエンジン車のブレークイーブン点は約1.04 kg/kWhなので、この図の範囲内ではCO2排出はエンジン車が最も大きい。

2009年度の電気事業の発電のCO2排出原単位は0.412 kg/kWhなので、自動車のCO2排出量の現時点・全国平均の値は、電気自動車が最も少なく、次にプラグインハイブリッド車、ハイブリッド車、そしてエンジン車の順になっており、この差は今後電源構成の脱化石燃料化が進めば大きくなっていく。

環境省の「電気事業者別のCO2排出係数」のサイトに、電力会社別のCO2排出原単位の2009年度の実績値が示されている。それによると、各電力会社のCO2排出原単位[kg-CO2/kWh](図中に↓で記入)は、北海道電力 0.433、東北電力 0.468、東京電力 0.384、中部電力 0.474、北陸電力 0.374、関西電力 0.294、中国電力 0.628、四国電力 0.407、九州電力 0.369、沖縄電力 0.931、となっている。 これから、電気自動車、プラグインハイブリッド車、ハイブリッド車のCO2排出量に関わる相対的優位性は、自動車を使用する地域によって変わることが判る。

発電のCO2排出は、原子力発電の導入などにより低下してきており、電気事業連合会では2012年度までの目標として0.34 kg-CO2/kWhを掲げている。(使用端、炭素クレジット調整前の値)

なお、この図のCO2排出量やブレークイーブン点などは、想定した車種の燃費・電費、ユーティリティファクターなどの設定で変わるので、大凡の傾向を示したものと考えて頂きたい。次世代自動車導入の環境・エネルギーへの効果やプラグインハイブリッド車のユーティリティファクターなどについては、別項の解説(12)を参照されたい。

追記1:

世界の主要国の2006年の発電のCO2排出原単位(下記)を、上の「発電のCO2排出原単位と自動車のCO2排出量」の関係図に追加した。

フランス 0.08763 kg-CO2/kWh
ブラジル 0.09840 kg-CO2/kWh
カナダ 0.22358 kg-CO2/kWh
EU27国 0.39295 kg-CO2/kWh
日本 0.44820 kg-CO2/kWh
ドイツ 0.45788 kg-CO2/kWh
英国 0.53715 kg-CO2/kWh
米国 0.6129 kg-CO2/kWh
中国 0.8356 kg-CO2/kWh
オーストラリア 0.95253 kg-CO2/kWh
インド 1.27053 kg-CO2/kWh

これらの国の中で、原子力発電約80%・水力発電約10%のフランスのCO2排出原単位は0.087 kg-CO2/kWh、水力発電約80%・原子力発電約3%のブラジルのCO2排出原単位は0.09840 kg-CO2/kWh、水力発電約60%・原子力発電約15%のカナダのCO2排出原単位は0.022 kg-CO2/kWhと格段に小さい値になっており、電気自動車のCO2排出量も非常に小さくなる。

なお、引用した各国のCO2排出原単位のデータは、英国の環境・食料・農村地域省(Department for Environment, Food and Rural Affairs, DEFRA)とエネルギー・気候変動省(Department of Energy and Climate Change, DECC)による”2010 Guidelines to DEFRA /DECC’s GHG Conversion Factors for Company Reporting (Annex 10 International Electricity Emission Factors)”による2006年の使用端における値である。(2011.07.25)

追記2:

2011年3月の東電・福島第1原子力発電所などの震災による事故、その後の中電・浜岡原子力発電所の政府要請による運転停止につづき、他の社の原子力発電所も定期検査後の再稼働が延期されており、各社は電力需要を賄うために火力発電の稼働率を高めて対応している。このため、発電のCO2排出量が増加しており、2012年度の電力会社のCO2排出原単位は、目標値0.34 kg-CO2/kWhに対して0.58 kg-CO2/kWh程度になりそうだと報じられれいる(EcoJapan 2011年7月19日)。この値は2009年度の実績値の0.412 kg/kWhより大幅な増加となる。

発電のCO2排出原単位が0.58 kg-CO2/kWhの場合、上の「発電のCO2排出原単位と自動車のCO2排出量」の関係図から判るように、電気自動車のCO2排出量が最も少ないのは変わらないが、その値はプラグインハイブリッド車、ハイブリッド車と接近する。(2011.07.26)

追記3:

2011年2月21日に掲載した最初の評価では、電気は発電ロス・送電ロスなどの上流側の排出を含んでいるのに対して、ガソリンは環境省の排出原単位を値を使用していたので、タンクに充填された状態をベースにしており、その上流側の石油掘削・精製・輸送などのCO2排出は含まれていなかった。そこで、上流側の排出を約20%としたガソリンのCO2排出原単位2.80 kg-CO2/Lを使用して、再計算と考察を行った。

参考までに、上流側のCO2排出について、各国の評価例を以下に示す。

英国の例
本評価と同様の方法でBEVのCO2排出量をICEVと比較したEcometrica社の"Your electric vehicle emits 75 gCO2/km... at the power station"と題するレポートでは、上流側のCO2排出として、BEVの場合は75g/kmから85g/kmに増加するので約13%、ディーゼルICEVの場合は159 g/kmから187 g/kmへ増加するので約18%、ガソリンICEVでは99 g/kmから118 g/kmへ増加するので約19%の値を示している。

米国の例
米国のEPA(環境保護庁)の簡易計算計算方式では、発電のCO2排出は、「eGRID2010」(Version 1.0)という発電のCO2排出を計算するソフトを用いて郵便(zip)コードにより送配電ロスを勘案した地域の値を出す。これに石炭掘出から発電所までの輸送のロスの米国平均の1.06を掛ける。ガソリンのCO2排出原単位は、8887g/gallon(2.348kg/L)を使用し、ガソリンの生産、すなわち掘削・精製・輸送など、に関わるCO2排出増として、米国平均の1.25を掛ける。

中国の例
上記清華大学・ANLペーパーのハイブリッド車CO2排出量から逆算すると、ガソリンの排出原単位として2.80 kg-CO2/Lを使用していると推察され、このペーパーの主旨からこの値はタンクより上流の排出を含んだ値と考えられる。また、このペーパーでは、石炭火力による電気自動車への電力供給においてはCO2排出の99%は発電によるとしており、発電の上流側でのCO2排出は1%以下ということになる。

日本の例
日本のJHFCのWell-to-WheelのCO2排出評価では、電力は各電源ミックスについて上流側も入れて評価し、これに送電ロスなども含めて、BEV1km走行当り49gのCO2排出量を算出している。ガソリンのWell-to-Tankの値は、ICEVおよびHEVについてWell-to-Wheelの全CO2排出の内の18.6%となっているので、上流側排出のテールパイプ排出に対する増加分で表すと22.9%となる。

上記の各国の例から、テールパイプからのCO2排出量に対して、ガソリンの自動車タンク上流側のCO2排出は十数%から二十数%、電力については発電所の上流側のCO2排出は1%以下から十数%、という値になると言える。

今回改訂した上記計算の考え方では、ガソリンは油井からの全ての排出を含めているが、電力については発電所の上流側の値が含まれていない。その意味で、ガソリン自動車側にやや厳しい評価と言える。この辺は機会があったら、見直したいと思っている。

なお、燃料消費のみならず、プラント建設・材料・運転からリサイクル・廃棄までのライフサイクルについての評価も自動車メーカーなどで行われている。下記は、Ricardo社による次世代車を含む各種の車型について比較評価した最近のレポート。
Preparing for a Life Cycle CO2 Measure
(2011.9.10)

追記4: 電力とガソリンの両方を Source-To-Wheel (STW*) で評価した場合

* 一次エネルギーの採掘源から自動車の駆動輪までのエネルギー効率やCO2排出量の評価を行うことを一般に、「油井から車輪まで」の意味で「Well-To-Wheel(WTW)」と呼んでいる。自動車に使用するエネルギーがガソリン、軽油に加えて電気や水素を含むようになると、一次エネルギーも石油から、天然ガス、石炭、ウラン、再生可能エネルギーなどと多様化しており、一次エネルギーの採掘源を「Well(油井)」と限定するのは適当ではなくなっており、「エネルギー源」の意味で「Souce」を用い「Source-To-Wheel」、略して「STW」が使用されている。また、油井から自動車のガソリンタンクまでの意味でWell-To-Tank、タンクから車輪までの意味でTank-To-Wheelが使用されてきたが、Tankの代わりに電池が使用されることもあるので、Well-To-Vehicle(WTV)、Vehicle-To-Wheel(VTW)が使用されている。

上記「追記3」の日本の例の項で、「ガソリンは油井からの全ての排出を含めているが、電力については発電所の上流側の値が含まれていない。その意味で、ガソリン自動車側にやや厳しい評価と言える。この辺は機会があったら、見直したいと思っている」と書いた。今回、電力について発電所の上流側も含めた評価を行ったので、以下その結果を記す。

参考にした資料は、「水素・燃料電池実証プロジェクト」(JHFC)の「総合効率検討作業部会」の「総合効率とGHG排出の分析」報告書(平成23年3月、日本自動車研究所発行)で、全文はここからダウンロードはできる。

追記3では、同じJHFCが平成15~17年度に実施したWell-to-Wheelの総合効率のまとめの資料を参照したが、今回参考にした資料は前回の資料に対し「平成22年度に入手可能な範囲でのデータ更新」をして、「燃料電池自動車(FCV)を主とした、各種の高効率低公害車(代替燃料)乗用車の我が国(日本)固有の条件を考慮し、計算に用いる入力データは妥当性かつ透明性に配慮し,W t W (Well to Wheel)総合効率などのデータを検討し、外部研究者が検証可能な客観的な数値データとしてまとめる」ことがゴールと説明(総合効率検討作業部会・石谷久委員長資料)してある。

この「総合効率検討作業部会」は、JHFCプロジェクトとは独立した各界の有識者による評価委員会として関係分野の研究者・専門家に広く参加を依頼して組織しており、東大、東工大、横浜国大、筑波大、工学院大学、産総研、国環研、エネ研、RITE、トヨタ・日産・ホンダ・GM・ダイムラーなど7自動車メーカー、ガス会社、石油会社、その他関連企業、自動車工業会、電事連など合計35団体が参加している。(経産省、NEDOなどがオブザーバー、日本自動車研究所などが事務局)

この報告書によると、燃料の採掘・輸送から発電を経て需要端の電気自動車に至るまでのCO2排出原単位(2009年度)は0.471[kg/kWh]、一方2009年度の発電所以降のCO2排出原単位は0.412[kg/kWh]なので、発電所より上流側の排出は発電所以降の排出の0.471/0.412=1.143倍、すなわち約14%に相当する。(これら数値の出典の図や説明は下の付録を参照されたい)

Stwco2emissionepa2一方、ガソリンについては、この報告書にタンク搭載エネルギーに対する一次エネルギーの比が1.2と示されており、このことから追記3と同じく上流側の排出を20%としたガソリンCO2排出原単位2.80 kg-CO2/Lを使用する。

上記の数値を用いて、電力とガソリンについて、Source-To-Wheel(エネルギー源から車輪まで)の自動車のCO2排出量を計算する。

今回のCO2排出量の計算式は;
 ・電気自動車のCO2排出量= CPx1.143/4.73 [kg-CO2/km]
 ・プラグインハイブリッド車のCO2排出量=0.5x1.143xCP/4.73 + (1-0.5) x 2.80/21.3 [kg-CO2/km]
 ・ハイブリッド車のCO2排出量=2.80/21.3 = 0.1315 [kg-CO2/km]
 ・エンジン自動車のCO2排出量=2.80/12.8 = 0.219 [kg-CO2/km]

この計算結果を、前の図と同じく、横軸に「発電のCO2排出原単位」縦軸に「自動車のCO2排出量」により示す。なお、横軸の「発電のCO2排出原単位」は、電力会社のデータにより電事連や環境省などが発表する需要端1kWh当たりの発電所以降の発電のCO2排出原単位である。

発電所の上流の採掘・輸送などによるCO2排出は、国により異なるのでこの図は日本の場合を示すものであり、日本国内でも厳密に言えば各電力会社で電源構成や地理的状況が2009年度電源構成平均とは異なっているため多少異なってくると思われる。

P60figs付録:出典の図および数値導出の説明

1,上記「総合効率とGHG排出の分析」報告書で上流側CO2排出の参考にした図はp.60の図3-14。(右図はその関係部分の抜粋)
2,この図の一番上がガソリンで、「単位車載エネルギーあたり一次エネルギー投入量[MJ/MJ]」の値の「1.2」を使用した。
3,この図の上から5番目が電力で、「日本MIX充電」の「単位車載エネルギーあたりCO2排出量[g‐CO2/MJ]」であらわした値の「152」を使用した。この値は、電池に入った後のエネルギー[MJ]なので充電効率86%を入れて交流側(電力需要端)のkWhに変換すると152x3.6x0.86 = 471 [gCO2/kWh]になる。
 一方2009年度の発電所以降のCO2排出原単位は412[g/kWh]なので、発電所より上流側の排出は発電所下流の排出の471/412=1.143倍、すなわち約14%に相当する。
 なお、この報告書では2009年度の「電源構成比」(p.21の表3-11)と電中研による「発電起源別のCO2 排出」のデータ(p.50の表3-30)も示されており、この報告書の条件で求めた2009年度の需要端における発電のCO2排出原単位は406[g/kWh]と計算されるが、前記電事連の412[g/kWh]との差は小さく、ここでは電事連の値を用いた。
(2012.03.29)

追記5: JC08モードによるSource-To-Wheel(STW)の総合CO2排出量

追記4までは、実際的なCO2排出をみるために、実用燃費に近い燃費としてEPAの複合燃費にもとづいて電気自動車、ハイブリッド車、プラグインハイブリッド車、エンジン車の各車種について、Source-To-Wheel(エネルギー源から車輪まで)の総合CO2排出量を評価してきた。

Stwco2emissionjc08本項では、上記4車種についてJC08モードによる国土交通省審査値をもとに、Source-To-Wheelの総合CO2排出量 [gCO2/km]を計算した。この結果を前と同様のスケールで図に示す。横軸は電力会社のデータにより電事連や環境省などが発表する需要端1kWh当たりの発電所以降の発電のCO2排出原単位、縦軸は各車種の1km走行当たりのSTWのCO2排出量である。

本項でも、電力の発電所より上流のCO2排出は発電所下流の14.3%、ガソリンの車載タンクより上流のCO2排出は車のテールパイプから排出する量の20%の値を使用した。これらの値は追記4に記載の「総合効率とGHG排出の分析」報告書(平成23年3月、日本自動車研究所発行)から引用しており、その詳細は追記4を参照されたい。

今回の各車種を代表させた車とそのJC08モード燃費は次のとおり。

 ・電気自動車:日産・リーフ(ZAA-ZE0)電費 8.06 km/kWh
 ・ハイブリッド車:トヨタ・プリウス(DAA-ZVW30 グレードS)燃費 30.4 km/L
 ・プラグインハイブリッド車:トヨタ・プリウスPHV(DLA-ZVW35 グレードS) CDレンジ電費 8.74 km/kWh、CSレンジ燃費 31.6 km/L、ユーティリティファクター 0.483
 ・エンジン車:日産・ティーダ(DBA-C11、1.5L、CVT)燃費 18.0 km/L
(注: プラグインハイブリッド車は2012年式プリウスPHVの国土交通省審査値が出たので使用、ティーダ(米国名・ヴァーサ)は同審査値のある1.5L・CVTの値を使用)

なお、Source-To-Wheelの総合CO2排出量は次の式により計算しているので、それぞれの車種に任意の電費、燃費、ユーティリティファクターを入力すれば、同様の計算が可能である。

 ・電気自動車のCO2排出量= CP/NE [kg/km]
 ・ハイブリッド車のCO2排出量=CG/NG [kg/km]
 ・プラグインハイブリッド車のCO2排出量=UF x CP/NE + (1-UF) x CG/NG [kg/km]
 ・エンジン自動車のCO2排出量=CG/NG [kg/km]

ここで
 CP:発電のCO2原単位 [kg/kWh](一次エネルギー源から自動車(交流側)までの需要端1kWh当たりのCO2排出量。本計算では、電力会社のデータにより電事連や環境省などが発表する需要端1kWh当たりの発電所以降の発電のCO2排出原単位を1.143倍したもの)
 CG:ガソリンのCO2排出原単位 [kg/L](環境省によるガソリンのCO2排出原単位の2.32[kg/L]にタンク上流の CO2排出分20%を加えたもの、本計算では. 2.80 [kg/L]を用いた。
 NE:電費 [km/kWh]
 NG:ガソリン燃費 [km/L]
 UF:ユーティリティファクター [-](全走行距離に対する電力で走った距離の割合)

なお、上記のプラグインハイブリッド車の計算は、CDレンジを全部電力走行した場合、すなわちAE(All Electric)モードの場合で、CDレンジにおいて一部エンジン走行が入るBlendedモードの場合は別の式になる。
(2012.3.31)

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GMのボルトのEPA燃費ラベル

Voltlabelv6_slide6GMのプラグインハイブリッド車Chevrolet Volt(ボルト)の米国環境保護庁(EPA)の燃料経済ラベル(Monroney Label、EPA燃費ラベル)が公表された。(これに関するプレスリリーズはここ

ボルトの燃費については、一時GMが燃費「230MPG」(98km/L)と発表して話題(ここの追記2参照)になったが、これでEPAの正式の値が決定した。

ボルトのEPA燃費ラベル(左)の内容は下記。

充電電力走行範囲(CDレンジ)
 充電電力による航続距離: 35 miles(56 km)
 充電電力走行時のガソリン等価燃費: 93 MPGe(39 km/L)
 100 mile走行の使用電力: 36 kWh
 年15000 mile電力走行の電力費用; $ 601

ハイブリッド走行範囲(CSレンジ)
 ガソリンエによる航続距離: 344 miles(553 km)
 ガソリン走行時の燃費: 37 MPG(16 km/L)
 100 mile走行の使用ガソリン: 2.7 gallons(10.2 L)
 年15000 mileガソリン走行のガソリン費用: $ 1302

充電電力とハイブリッド走行の全走行(CDレンジ+CSレンジ)
 全走行のガソリン等価燃費: 60 MPGe(26 km/L)
 全航続距離: 379 miles(610 km)

注: 
 ① ボルトではCDレンジは全部電力で走行(純EV走行)。表記の燃費はEPA Cityモード とEPA Highwayモードの各燃費を「City 55% Highway 45%」で複合したもの。
 ② 電力のガソリン等価燃費MPGeは電力使用量を33.7 kWh = 1 gallonでガソリンに換算したもの。
 ③ 全走行のガソリン等価燃費はユーティリティ・ファクターを使用して充電電力走行燃費とハイブリッド走行燃費を合成したもの。
 ④ ガソリン価格は$3.20/gallon、電力価格は11cents/kWhを使用(何れもEPA燃費ラベルの提示案の段階から変更されている)
 ⑤ 用語、PHEV燃費、ユーティリティ・ファクターなどの解説は、本サイト内の、などを参照されたい。

(注: 以下はEPAテスト結果の詳細を入手してないので推測、今後アップデートする可能性あり)

考察:

① ボルトの電費は、ラベルの「36 kWh/100 miles」からCityとHighwayのCombined(複合)で2.8 miles/kWh、4.5 km/kWhと計算される。これは、リーフのEPA複合電費の4.7 km/kWhと近い。

② ラベルには、ボルトの充電電力走行距離(CDレンジ)35 milesの使用電力は12.9 kWhと記載されている。ボルトの電池は、定格電池容量16 kWhで実質使用範囲は当初は8 kWhであったが、最近の報道では実質使用範囲10.4 kWhで、電池SOC(充電状態)にして20%乃至25%から85%乃至90%の間の65%をCDレンジの走行に使用するとしている。交流使用電力12.9 kWhで電池側使用電力10.4 kWhとすると、充電効率は10.4/12.9=81%となる。

③ 全走行のガソリン等価燃費は、下記の式によりユーティリティ・ファクター(UF)を使用して充電電力走行燃費とハイブリッド走行燃費を合成し、さらにCityとHighwayの値を複合して、"combined composite"の燃費を算出したものと考えられる。

 MPGe(Composite) = 1 / { UF/ MPGe(CD) + ( 1 - UF ) / MPG(CS) }

  MPGe(Composite):全走行合成のガソリン等価燃費
  MPGe(CD) : CDレンジ(電力走行)のガソリン等価燃費
  MPG(CS): CSレンジ(ハイブリッド走行)のガソリン燃費
  UF : ユーティリティファクター

Utilityfactorus2使用したユーティリティファクターは、米国自動車技術会作成の「自動車運行調査データを使用したプラグインハイブリッド車のユーティリティファクターの定義」SAEJ2841(2010年9月発行、有料)に準拠したもの。

実際の計算では、EPAのCity、Highwayなどの各テストサイクルごとに特有のユーティリティファクター(Cycle Specific Utility Factor)を定義して使用する。詳しくは、上記SAE資料およびEPA/NHTSA資料(例えばFederal Register[PDF、約18MB])を参照されたい。なお、ボルトのCDレンジにおける電費などの電気的特性はCityとHighwayで類似しており、両ケースのユーティリティファクターとして大凡0.64が用いられたようである。すなわち、米国の平均的ユーザーがボルトを使用すると全走行距離の64%を純EV走行することになる。

右図はNRELの資料からの抜粋で、図中の”From 2001 NHTS”の線はSAEJ2841と同じく2001年調査の全米自動車走行パターンに基づくユーティリティファクターを示している。横軸の”Driving Distance”はCDレンジ距離、すなわち充電電力により純EV走行の航続距離。因みに、図中の”From AVTA Fleet”の線は米国DOEの先進自動車試験活動の一環としてPHEVフリート車両の走行データを纏めたもので、フリートでは全米自動車平均より走行距離が長い傾向がある。(注: この図の「2001 NHTS」の線から、ボルトの充電電力による航続距離35 miles(56 km)では、ユーティリティ・ファクター(UF)は0.58となるが、前述のようにEPA審査結果ではUF=0.64が用いられている。今回のEPA審査では、2010年9月発行の新しいJ2841規格で定義されている「MDIUF」というユーティリティファクターを使用することになっており、これは図の「2001 NHTS」の値とは異なる。この辺の事情は後日解説する予定)

④ 国土交通省が2009年7月に決定したプラグインハイブリッド車(PHEV)の燃費性能の測定と表示の方法(資料および参考資料)では、PHEVの代表燃費値として「複合燃料消費率(プラグインハイブリッド燃料消費率)」が定義されており、下記の式で計算される。

FC(P) = 1 / { UF/ FC(E) + ( 1 - UF ) / FC(H) }

 FC(P) : プラグインハイブリッド燃料消費率 [km/l]
 FC(E) : 充電電力使用時燃料消費率 [km/l]
 FC(H) : ハイブリッド燃料消費率 [km/l]
 UF : ユーティリティファクター [-]

この「プラグインハイブリッド燃料消費率」の計算において、CDレンジの充電電力使用時燃料消費率には、EPAのような使用電力量を熱量的に等価のガソリン量に換算した値を用いず、CDレンジでエンジンがキックインしてガソリンを消費した場合のみ有限の値になり、エンジンのキックインがない場合はガソリン消費量がゼロなので無限大の値となり、右辺分母の第1項はゼロとなる。

ボルトのEPAテスト結果から、上の式で「プラグインハイブリッド燃料消費率」を求めると、CDレンジが純EV走行のために右辺の分母の第1項がゼロとなり88 MPG(37.5 km/L)という値になる。

この式によるプリウスPHVの「プラグインハイブリッド燃料消費率」審査値は57.0 km/Lとなっている。プリウスはCDレンジでもエンジンから動力を供給するブレンド走行が可能であるが、JC08モードのテスト条件ではエンジンのキックインは生じなかった。

仮にボルトを日本の方式でテストして「プラグインハイブリッド燃料消費率」を出すとすると、日本のJC08モードでは、ボルトのCDレンジ(純EV航続距離)が80 kmを超え、日本の走行パターン基準のユーティリティファクターが0.8以上になる可能性があり、ガソリン燃費の向上と合わせて、「プラグインハイブリッド燃料消費率」は100 km/Lを超えそうである。

もっとも、プリウスPHVも電池容量を今の5.2kWhから増やしていくと考えられる。もしプリウスPHVが今の倍の約10kWhの電池を搭載した場合、EV走行距離が50 kmを超え、ユーティリティファクターが0.7程度となり、「プラグインハイブリッド燃料消費率」が100 km/L程度になることが考えられる。

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日産リーフのEPA燃費ラベル

米国環境保護庁(EPA)は日産の電気自動車LEAFの燃料経済ラベル(Monroney Label、これについての解説は本サイト内のここ)を承認し、中型クラス(midsize vehicle class)で燃費と環境の両方で「ベスト」と格付けした。(日産USAのプレス発表から)

Nissan_leaf_fe_label_2新しいラベル(左図)には、City 106とHighway 92の燃費(単位は等価マイル/ガロン、MPGe)とそれを複合したCombinedの燃費として「99 MPGe」と航続距離の「73 mile」(117 km)が示されている。等価MPGeの考え方と算出方法は上記解説を参照されたい。

日産では、これまで日本および米国で電気自動車LEAFの航続距離について情報を提供し、速度、運転方法、交通事情、エアコンのOn/Off、積載重量、登り坂・下り坂、などの条件によってその航続距離が変わることを説明してきている。例えば、日産USAではホームページに各種ドライブ条件における航続距離を具体的に示し、右の表(筆者が日産のデータなどから編集作成)に示すように代表的条件においてLEAFの航続距離が62~138マイル(100~222 km)の間で変わることをPRしている。なお、ここに示されている航続距離は、新しい電池の場合で、計算機シミュレーションによる推定値と注釈がついている。
Leafmileagecomparison3

この表の下の3欄は今回発表されたEPAテストの値である。(テスト条件は簡略表示)

EPAテストの燃費を電力使用量あたりの走行距離(km/kWh)、いわゆる「電費」に換算すると、Cityモードが5.1km/kWh、Highwayモードが4.4km/kWh、Combined(複合)が4.7km/kWhとなる。

注: 上の燃料経済ラベルに、年間電力費用「Annual Electric Cost $561」と記載がある。これは、EPAラベルの規定によって年15000マイル走行するとしてそのための充電電力の費用を示したものである。この費用は、記載されている「12 cents per kW-hr」を使用すると{15000マイルx 34 kWh/100マイル x 0.12ドル/kWh} = $612となり、上のラベルの値とは合わない。ラベル記載の12 cent/kWhは11 cents/kWhの間違いと思われる。(EPAがラベルデザイン案を公表した時点では12 cent/kWhとなっていたが、現時点では11 cent/kWhに変わっている様である)

追記1:
上の「日産リーフLEAFの各種ドライブ条件での航続距離」の表に、2010年6月に追浜の日産グランドライブで開催された海外メディアなどへのリーフ説明・試乗会の際に示さされた、リーフのNEDC(新欧州ドライビングサイクル)条件での航続距離予測の値を追加しました。このNEDCの特別郊外走行サイクル(EUDC)は最高120km/hの高速走行を含んでいます。(2011.03.04)

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エネルギー・環境対応型自動車の分類・呼称・略称

エネルギー・環境対応型自動車、一般に「エコカー」と呼ばれている自動車については、行政機関、学会、業界、自動車メーカーなどで、いろいろな分類・呼称・略称が使用されている。

例えば、行政機関では「次世代自動車」「クリーンエネルギー自動車」「環境対応車」「先進環境対応車(ポストエコカー)」などの分類があり、学界・業界では「電動自動車」「プラグイン自動車」などの分類が使用されている。

個々の車種の略称もいろいろ使用されているが、国際的には、ハイブリッド車は「HEV」(Hybrid Electric Vehicle)、プラグインハイブリッド車は「PHEV」(Plug-in Hybrid Electric Vehicle)、電気自動車 は「BEV」(Battery Electric Vehicle)、燃料電池自動車は「FCV」(Fuel Cell Vehicle)などが一般的である。

「電気自動車」や「EV」(Electric Vehicle)と一般的に言う場合、狭義に電気自動車「BEV」を指す場合、中義に電気自動車 「BEV」とプラグインハイブリッド車 「PHEV」、すなわち系統から充電する電力で走行するプラグイン自動車「PEV」(Plug-in Electric Vehicle)を指す場合、さらに広義に電動パワートレインを持つ自動車、すなわち電動自動車「EDV」(Electric Drive Vehicle)を指す場合がある。

これらの主なものを下表に整理した。

Ecocars2a
これらの中で、「電動自動車」(EDV)はエネルギー・環境的な効果から期待されており、とくに「プラグイン自動車」(PEV)は系統電力とのエネルギー統合の効果もあって注目されている。

その他の分類・表記としては、例えばカリフォルニア州大気資源局のゼロ排出車(ZEV)の将来展望の際に使用したもの(下表)がある。

Vehicleacronym3_2この表の中で、「FCAPUV」は、燃料電池を補助電力として使用する型の車。燃料電池として、水素燃料のPEFC型のほか、炭化水素燃料のSOFC型も検討された。

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GMボルトがハイブリッド形式を変更

GMは、これまで一貫して、Voltは航続距離延長型電気自動車で、搭載しているガソリンエンジンは系統電力で充電した電池のレベルが低下した時に発電し、その電力で電気モーターが車を駆動する、と言ってました。ところが、Voltのエンジンは発電のほかに、高速走行では駆動軸に機械的に連結して車輪を動かしていることが判りました。

GM Voltの電動パワートレインの変更経緯と機構解説は、ここの「シリーズ型プラグインハイブリッド車のGM VoltとOpel Amperaにハイブリッド型式変更の噂 追記:やはり噂は本当だった」記事の「追記2」をご覧下さい。

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新車に貼るステッカーの案をEPAが発表、プラグインハイブリッド車用も。広く意見を募集中

2010年8月30日、米国の環境保護庁(EPA)と運輸省・道路交通安全局(NHTSA)は、米国内で2012年以降販売される全ての新車(乗用車および小型トラック)に貼ることが義務付けられるウインドウ・ステッカー*の新デザイン案を公表した。このステッカーには、消費者への情報として、燃料消費量、燃料コスト、環境影響の数値が示される。今回は、プラグインハイブリッド車や電気自動車などの先進技術車のステッカー案が初めて追加された。

(* このウインドウ・ステッカーは、一般に"Monroney sticker (label)"と呼ばれている。これは、新車に情報公開を義務付けた「自動車情報公開法」(1958年制定)をオクラホマ選出のMike Monroney上院議員が発案したことに由来)

EPA・NHTSAは、今回の措置は1975年制定・2007年改定のエネルギー政策保全法(EPCA)および2007年制定のエネルギー自立安全保障法(EISA)に準拠し、また2012年ー2016年車対象の温室効果ガス排出(GHG)規則と企業平均燃費(CAFE)基準とも整合したものとして、提案している。

公表したステッカーの案は、従来からあるガソリン/ディーゼルエンジン車、天然ガス自動車(CNG)、代替燃料車(FFV)に、プラグインハイブリッド車2車種、電気自動車を加えて、計6車種について、第1案(ラベル1)、第2案(ラベル2)、代替案(ラベル3)の合計18種類のデザインで、これから2ヶ月間一般や業界などの関係者から意見を募ることにしている。

 ● ラベル1はこれまでのラベルとは異なり、燃料消費と環境影響を総合したA+からDまで11段階の記号と、平均車両に比べて5年間に節約できる(あるいは余分に掛かる)燃料費用の金額を大きく示すデザインになっている。燃費と環境影響の定量的値および他の車との相対的比較を示すスライドバーは下方に配置されている。
 ● ラベル2はこれまでのラベルに似たデザインで、燃費(MPG単位)と1年間に掛かる燃料費を大きく示すデザインになっている。燃費と環境影響の定量的値および他の車との相対的比較を示すスライドバーは下方に配置されている。
 ● ラベル3は、他の案と大体同じ情報を示しているが、燃費と環境影響は結合して1~10のスケールで表しスライドバー上に他の車との相対的位置で示している。
 ● 燃費などの数値の算出には、当面、年間走行距離15,000マイル、ガソリン価格$2.8/ガロン、電気料金$0.12/kWhを使用しており、これらの数値は定期的にアップデートされる。

これらの内容は、EPAサイトに置いてある発表文デザイン案などで概要を掴むことができるが、詳しく知るには「自動車燃料経済性ラベルの改定と追加;提案中の規定」と題するFederal Registerの公告が参考になる。この資料は、ラベル改定・追加の背景・検討経緯とその内容について、それこそ「綿々」と124ページに亘って記述したもので、ラベルのデザインやそれに盛り込む表示内容のみならず、将来EPAウエブサイトに置く予定のさらに詳しい提供情報の内容についても、広く意見を募っている。

この資料を読むと、消費者へ提供すべき、燃料消費、燃料コスト、環境影響などの情報をどのようにして一般に判りやすくするか、米国の行政当局のルール作成の経緯と苦労が判って面白い。

プラグインハイブリッド車のラベルについて

プラグインハイブリッド車のように、ガソリンと電力を使用し、電池が一定の充電状態(SOC)まで放電するまではグリッドから充電した電力で走行し、それ以降はガソリンエンジンによってハイブリッド走行する車では、使用するガソリンと電力の消費量をどのように表示するかが課題である。プラグインハイブリッド車の場合は、さらに、GMのVoltのようなシリーズ型とトヨタのプリウスのようなパラレル型がある。
Epaphevlabel1
Epaphevlabel23シリーズ型は、グリッドから充電した電力で走行する所謂CDレンジは純EV走行をし、ハイブリッド走行に入った後の所謂CSレンジでは航続距離延長のためのガソリンエンジンが始動する型で、この型をGMでは「航続距離延長型電気自動車」の意味で「EREV」と呼んでおり、この資料では「Extended Range(またはEREV)-PHEV」と呼んでいる。パラレル型は、CDレンジでも負荷に応じてガソリンエンジンからの動力をブレンドして走行する型(注1)で、この資料では「Blended PHEV」と呼んでいる。結局、プラグインハイブリッド車のラベルは、この二つを別のデザインにし、3案作成したので、全部で6枚のラベル案(左図、EPAの資料から抜粋)が出されている。(CDレンジ、CSレンジなどについては、本サイトの別項を参照されたい)

この資料には、一般の人は「キロワット時」などの電気の単位が判りにくいことや、ガソリン消費率と電力消費率の両方併記では混乱することなどへの心配から、米国人が長年馴染んでいて判りやすい燃費の単位MPG(Miles Per Gallon、1ガロンのガソリンで走行するマイル数、日本で言う「リッター何キロ」に相当。1 MPG = 0.425 km/L )を、プラグインハイブリッド車や電気自動車にも使用することにした検討の経緯が説明してある。検討の結果は、ガソリン消費率と充電電力消費率を合成した「MPGe」(「e」はEquivalentの略、「等価MPG」)の単位(Metrics)を採用することにしている。

このMPGe単位は米国では、以前から一部で用いられており、また準拠した法律でも示唆されていることもあり、とくに目新しいものではない(注2)。ステッカーでのMPGe単位は、これまで天然ガス自動車で使用されてきたが、今回はプラグインハイブリッド車と電気自動車で電気消費をガソリン換算した燃費として使用することを提案している。この電気をガソリンへ換算したMPGe単位は自動車の燃費性能の情報提示として適切なものかどうか、今後論議を呼びそうである。

以下、プラグインハイブリッド車(PHEV)のステッカー案について、主な点を記す。

① ガソリン・電力の燃費の計算は、自動車への供給量をベースにする。環境影響のCO2排出量も自動車のテールパイプからの排出量で示す。これらをライフサイクルベースで、上流でのエネルギー効率や上流での排出を考慮するという考えもあるが、結局上のように決まった。(注2参照)

② PHEVのMPGeの計算
MPGe = (走行した距離・マイル)/(ガソリン消費量・ガロン+電力消費量のガソリン量換算・ガロン)
ただし、33.7 kWh 電力 = 1 gallon ガソリン*。
燃費のテストは、米国自動車技術会作成の「プラグインハイブリッド車を含むハイブリッド車の排出ガス・燃料経済測定の推奨実施要領」SAEJ1711(2010年6月発行)に準拠。

③ PHEVの走行経費の計算
Label 1およびLabel 2の年走行経費は、CDレンジおよびCSレンジで、それぞれ年15000マイル走行*した場合の年間経費を算出表示。Label 3の年走行経費は、ユーティリティファクター**を使用して米国平均ユーザーの経費を算出表示。5年間の走行経費節約は、ユーティリティファクターを使用して米国平均ユーザーの節約額を算出表示。
ただし、ガソリン価格 = $2.8/ガロン*、電力料金 = $0.12/kWh*。

* これらの値は当面の設定値で、今後定期的にアップデートされる。(前出)
** ユーティリティファクターの値は、米国自動車技術会作成の「自動車運行調査データを使用したプラグインハイブリッド車のユーティリティファクターの定義」SAEJ2841(2010年9月発行)に準拠

注1: トヨタプリウスPHVの日本でのJC08モードによる国土交通省審査の条件では、別項記載のようにグリッド充電電力で走行するCDレンジでエンジン使用がなかったので、パラレル型ではあるがシリーズ型と同じようにCDレンジ全部を純EV走行をする所謂「AER」(All Electic Range)の走行状態になっていた。米国の試験条件("City" testおよび"highway" test)では、負荷条件がJC08の条件と違うので、PHEV制御の設定次第だがCDレンジにおいてもエンジンを使用する所謂"Blend"走行の状態が加わる可能性がある。

注2: 等価MPG燃費「MPGe」の算出には、大別して、次の二つの方法がある。

[1] 自動車の上流側プロセスにおける物質・エネルギー的損失を無視して算出する方法

ガソリンは原油から精製され給油所まで配送されるが、これらの自動車の上流側のプロセスにおける物質・エネルギー損失を無視して、ステーションで給油されるガソリン量をベースにし、電力は各種一次エネルギー(石炭、天然ガス、原子力、水力、石油など)から発電され、送電線を経由して送配電されるが、これらの自動車の上流側における発電の熱効率や送配電のエネルギーロスを無視して壁コンセントから充電のために供給される電力量をベースにし、ガソリンの量をガロンで表し、電力量(kWh)をそのまま熱量として等価の熱量のガソリン量(ガロン)に換算し、このガソリン+電力の合計ガロン量で走行したマイル数を割ってMPGeの値とする。

本EPAのルールでは、この方法で算出することとしており、具体的な数値としては、33.7 kWh 電力 = 1 gallon ガソリンを用いている。ほかに、Automotive X賞(2010年9月に審査決定)でも、この方式で32.8 kWh = 1 gallonにより等価MPG燃費を算出している。これら換算数値が微妙に異なっているのは、ガソリンの発熱量の値が異なっているためで、MJ/Lの単位で示すと、EPAは32.0、Automotive X賞は32.8。因みに日本で普通使用されているガソリン発熱量は32.9(LHV)、34.6(HHV)である。(小数点2桁以下は4捨5入)

[2] 一次エネルギーから自動車までの物質・エネルギー的損失も含めてライフサイクルで算出する方法

ガソリンを原油から精製し、輸送して、自動車に給油されるまでの全プロセスにおける損失を含め、電力は同じく各種一次エネルギーから発電されて自動車まで送配電される全プロセスの損失を含める、所謂「ライフサイクル」解析によって、使用した一次エネルギー量まで遡って評価し、kWhとガロンの換算係数をきめる。

一般に、ガソリンおよび電力が自動車に到達するプロセスにおいては、平均して、ガソリンは一次エネルギーの1割~2割程度のエネルギーを失い、電力は一次エネルギーの6割~7割程度のエネルギーを失う。自動車に供給した以降の、両エネルギーを駆動力に転換してタイヤが地面を蹴るまでのプロセスでは、エネルギーの質が高い電力の方がガソリンより遥かに効率が良い。このようにエネルギーの質の異なる2種のエネルギーの使用量を熱量ベースで換算・加算して燃費評価のベースにすることは、便宜的な方法ではあるが、あまり意味のある方法とは言えない。

一方のライフサイクル解析による方法は、一次エネルギーまで遡って評価して、エネルギー使用量を換算・加算して燃費評価のベースにしているので、エネルギー経済上は意味のある方法と言える。しかし、一次エネルギーの種類で発電効率は大きく異なり、また地域によって、時間帯によって電源構成も異なるので、運用上の難しさがある。

DOEが電気自動車向けに提示しているライフサイクルベースの算出方式は、DOE 10CFR474.3に記載されているが、数値のみを示すと、石油動力アクセサリー(石油加熱のヒーターなど)がない電気自動車の場合は82.049 kWh電力 = 1 gallon ガソリン、石油動力アクセサリーがある電気自動車の場合は 73.844 kWh = 1 gallon としている。

このDOEの等価燃費算出方法は、ライフサイクルベースで合理的に見えるが、元の計算式を見ると、"fuel content" factor = 1/0.15 という係数を使用しており、電力のガソリン等量を小さくして電気自動車の等価燃費(MPGe)が大きくなるようにしている。これは電気自動車導入へのIncentive(報奨・誘導)目的の政策的な値と考えられる。

上記1および2の何れの方法でも、ガソリンは石油ベース、電力は石炭、天然ガス、原子力、水力などがベースであり、元々種類や質の異なるエネルギーの使用量を換算・加算して、燃費として単一の単位(Metrics)で表示するのは、エネルギー評価・経済上の意味合いよりも便宜的、政策的なものと考えた方が良さそうである。

注3: 2013年型車から適用する新しいラベルのデザインを発表

2011年5月25日、EPA(米国環境保護局)とNHTSA(米国運輸省道路交通安全局)は、米国で2013年から販売される乗用車とライトトラック(SUV、ミニバン、ピックアップトラック)全車の窓ガラスに、貼り付けられる新しいステッカーのデザインを公表した。これは、上記のProposed Ruleに対するコメントなどを入れて改訂したもので、この詳しい内容については、EPA/NHTSA "Revisions and Additions to Motor Vehicle Fuel Economy Label; Final Rule"(Wednesday, July 6, 2011)と題するFederal Register, Vol. 76, No. 129を参照されたい。なお、プラグインハイブリッド車(シリーズ型およびブレンド型)のラベルやユーティリティファクターについては後日解説をする予定。

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AFS Trinity社の電池・ウルトラキャパシター併用システムの特許確定

Xhcutaway_2AFS Trinity社が2006年に申請した電池・ウルトラキャパシター併用のプラグイン自動車用電源システムの特許が2010年6月に確定した。

Xhdrivetrainschematic_2特許申請したAFS Trinityのプラグインハイブリッド車用ドライブトレイン(Extreme Hybrid)のコンセプトは左図。システム(右図)を構成する主なものは、①夜間など駐車中に充電されるリチウムイオン電池、②加速やブレーキ時など電力の速い出し入れを行うウルトラキャパシター、③インバーターなどのパワーエレクトロニクス機器とその制御ソフトウエア、④内燃エンジン、⑤車両駆動用モーター・発電機。

なお、このシステム採用のプラグイン自動車では電池容量/走行距離の比を小さくできることから、同社のCEOのEdward W. Furia氏は、プラグイン自動車(PEV、プラグインハイブリッド車と電気自動車の総称)購入時の税額減免制度について、電池容量ベースではなく、電池走行距離ベースに合理化すべきと主張して、国会議員に働きかけている。(New York Times報道ほか

Howxh150gets同社がこのシステムを採用して試作した、GMのSaturn Vueベースのパラレル型PHEV、「XH-150S Extreme Hybrid」(左図)は8kWh容量の電池で40マイル走行するのに対して、GMのVoltは16kWh容量の電池で同じ距離しか走らない。税額減免は、Voltは7500ドルの満額を受けるのに対して、8kWhでは4200ドル足らずの額しか受けられない。

Furia氏は、制度を合理化することにより、効率の良い技術へのインセンティブが働き、イノベーションが促進されると述べている。

なお、このような電池とキャパシターを組み合わせた検討・研究・開発・採用の試みは、このAFS Trinity社のもの以外にも、多く報道されている。例えば、2007年7月の北海道の「十勝24時間レース」で優勝したトヨタ・スープラのハイブリッド車に採用されたシステム、F1レースのレギュレーションで2009年に一時採用されたでKERS(運動エネルギー回生システム)のためのもの、Voltの開発に絡んでGMでの可能性検討、米国アルゴンヌ国立研究所とMaxwell Technology社、Gold Peak Battery社の共同研究、伊ピニンファリナ社と仏ボラーレ社の電気自動車Bluecar、など。

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「Range Anxiety」(航続距離不安)

500x_range_anxiety_gm2010年7月にGMが「Range Anxiety」(航続距離不安)というフレーズを商標申請していたことが8月末に報道されています。左表はその商標申請の内容です。GMは「電気自動車の能力(Capability)について一般の認識の促進」が目的としています。

「Range Anxiety」(航続距離不安)なる言葉は、New York TimesのSchott Vocabでは、次のように定義されています。

"The fear of being stranded in an electric car because of insufficient battery performance – said to be a barrier to sales of electric vehicles"(電池性能が不充分なために電気自動車が立ち往生する恐怖--電気自動車販売の障害と言われている) また、Range Anxietyについては、MSNBCの記事()もあります。

GMのVoltは航続距離延長のための充電用ガソリンエンジン付きなので、純粋の電気自動車を運転する際に感じる「航続距離不安」がVoltではないということを、販売に際して自分たちも認識しておくことが必要だと、GMの米国販売部門のヘッドが話しています。

これに対して、USA Todayは、Googleで「Range Anxiety」を検索すると28,700ページも出てくる一般的に使用されている語句が商標登録できるものかと疑問を呈しています。

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走行パターンとプラグインハイブリッド車の燃費特性 その1.国土交通省によるPHEV燃費測定・表示の要領

国土交通省がプラグインハイブリッド車(PHEV)の燃費性能の測定と表示の方法を2009年7月に決定した。これは、「プラグインハイブリッド車排出ガス・燃費測定方法策定検討会」(2008年2月~12月、4回開催)における検討をもとに実施要領を取りまとめ、2009年2月に公開してパブリックコメントを募集していたもので、これらの結果を踏まえて、国土交通省は、排出ガスと燃費測定方法について2009年7月末に「道路運送車両の保安基準の細目を定める告示」等の一部改正を行い(改正概要)、また「プラグインハイブリッド自動車の燃費算定等に関する実施要領」と「プラグインハイブリッド自動車の燃費性能に関する情報提供等の要領について」を日本自動車工業会と日本自動車輸入組合に通達した。

Miltphev1また、PHEVの燃費算定と情報提供の概要は、国土交通省のウエブサイトの資料「プラグインハイブリッド自動車の排出ガス・燃費測定方法について」と参考資料に示されている。これらによると、全走行距離の中の一定の割合を外部電源から充電した電力で走行するPHEVの走行の特徴(左図、出所は上記参考資料)を踏まえて、PHEVの燃費性能を次のように測定・表示することとしている。

① 主として外部充電電力で走行する「プラグイン走行」の距離「プラグインレンジ(充電電力使用時走行距離)」[km]、「プラグイン走行」時の「電力消費率」[km/kWh]および「充電電力使用時燃料消費率」[km/l]を測定する。

② 「プラグイン走行」により充電電力を消費した後の、ガソリンなどの燃料を使用して走行する「ハイブリッド走行」時の、「ハイブリッド燃料消費率」[km/l]を測定する。

③ 上記の測定値から、日本の平均的なユーザーの走行パターンから求めた、全走行距離に対する電力走行の割合「ユーティリティファクター(Utility Factor、貢献割合)」を使用して、PHEVの代表的燃費値としての「複合燃料消費率(プラグインハイブリッド燃料消費率)[km/l]」を計算する。

Utilityfactorbymlit3国土交通省は、上記通達「プラグインハイブリッド自動車の燃費性能・算定等の要領」の中で、「複合燃料消費率(プラグインハイブリッド燃料消費率)」を計算する際に必要な「ユーティリティファクター」の値として、「JCAPデータ自動車使用実態調査による」定義曲線を提示している。この定義曲線はアナログの図と近似式の両方で示されており、右図はその要領に示されている近似式から筆者が作成したものである。なお、この要領には「JCAPデータ自動車使用実態調査」の詳細は示されておらず、使用した自動車走行統計のデータ数・処理方法、対象車種などは不明である。

因みに、筆者が日本の自家用乗用車(登録車および軽自動車)の実働一日当り平均走行距離分布(国土交通省・自動車輸送統計報告書の自家用乗用車・距離帯別輸送人員の統計データ)から推定したユーティリティファクター(電力走行距離割合)については、ここに解説を載せてある。この元の論文はここで閲覧できる。

「プラグインハイブリッド燃料消費率」の計算方法

ここでは、「プラグインハイブリッド燃料消費率」を、国土交通省によるPHEV燃費測定・表示の要領に沿って解説する。

一般に、プラグインハイブリッド車のガソリンなどの燃料の消費率は、測定した充電電力使用時燃料消費率およびハイブリッド燃料消費率とユーティリティファクターから、次式により計算できる。(電力消費も含めたエネルギー消費率については後日掲載予定の「その2」で解説する予定)

FC(P) = 1 / { UF/ FC(E) + ( 1 - UF ) / FC(H) }

FC(P) : プラグインハイブリッド燃料消費率 [km/l]
FC(E) : 充電電力使用時燃料消費率 [km/l]
FC(H) : ハイブリッド燃料消費率 [km/l]
UF : ユーティリティファクター [-]

Miltphev2なお、パラレル型ハイブリッド車では、プラグインレンジにおいて負荷の大きさによってエンジンがキックインして外部充電電力とガソリンの両方によるブレンド走行になるので、分母の第1項はその燃料消費を計算したものである。シリーズ型ハイブリッド車では、プラグインレンジは全部電力走行になるので、分母の第1項はゼロとなる。パラレル型ハイブリッド車でも、後述するプリウスPHVのJC08モードの試験では、プラグインレンジでエンジンのキックインがなかったために、シリーズ型ハイブリッド車と同様に分母の第1項はゼロとなる。

それ故、この場合の国土交通省が決めたプラグインハイブリッド車の複合燃料消費率(プラグインハイブリッド燃料消費率)の値は下式から計算することができる。

FC(P) = FC(H) / ( 1 - UF )

例えば、2009年11月発表のプリウスPHVでは、ハイブリッド燃料消費率 FC(H) = 30.6 [km/l]、ユーティリティファクター UF = 0.462として、複合燃料消費率(プラグインハイブリッド燃料消費率)は、FC(H) = 57.0 [km/l]が得られる。

国土交通省資料に関して気の付いた点

上記の国土交通省資料に関して気の付いた点を以下に示す。①と②は例示している燃費などの数値の間の整合性、③と④は使用している用語の定義・適切性、についてである。

① 上記国土交通省の参考資料では、「カタログ等への燃費表示の例」として左表を掲載している。この例について、「プラグインハイブリッド燃料消費率」の値を各燃料消費率とユーティリティファクター(EV走行換算距離12.6kmではUF=約0.3)から上記の式で計算すると FC(P)=約32 km/lとなり、表に示されている「40.5 km/l」とは合わない。

② このカタログ等への燃料表示の例に示されている「EV走行換算距離」は、国土交通省資料では「等価EVレンジ」とも表現されており、「プラグインレンジのうち、バッテリーに蓄電した外部電力により行った仕事量に相当する部分(仮に外部電力のみをエネルギー源とした場合にこれにより走行可能な距離)」のことである。表では、充電電力使用時走行距離(プラグインレンジ)が13.0kmなのに対してEV走行換算距離が12.6kmとなっており、これから推算される充電電力使用時燃料消費率の値は表に示されている54.0kmより大きくなり、合わない。

③ 「電力消費率」(プラグイン走行時の電力消費率)の定義は、「EV走行換算距離」を「一充電消費電力量」(一回の充電において消費する電力量、ただし電力量は外部から充電された電力量をコンセント側すなわち交流側で測った値)で除した値とする方が合理的と考える。上の「カタログ等への燃費表示の例」の「電力消費率」の数値は、「EV走行換算距離」ではなく「プラグインレンジ(充電電力使用時走行距離)」を「一充電消費電力量」で除した値になっている。この定義だと、プラグインレンジにおいてガソリンエンジン動力のブレンド割合が多いほどこの距離が長くなり電力消費率[km/kWh]の数値が大きくなり、エンジンブレンド割合の多いパラレルハイブリッド型がシリーズハイブリッド型より見掛け上良い電力消費率を示すことになる。
Miltjc08_2
④ 国土交通省の要領にあるユーティリティファクターの定義曲線図では、横軸は「プラグインレンジ/1日あたりの走行距離(km)」とあるが、これはユーティティファクターの意味から上の筆者作成の「電力走行距離割合=ユーティリティファクター」図のように、横軸の外部充電電力による走行距離は「EV走行換算距離」(=「等価EVレンジ」)とする方が良いと思う。なお、これまでに型式指定をとったプラグインハイブリッド車では、プラグインレンジ(充電電力使用時走行距離)でエンジンのキックインがない性能/型式のものなので、充電電力使用時走行距離はEV走行換算距離と等しくなるので問題は出ていない。

プラグインハイブリッド車の燃費測定表示の実例

この燃費評価方法を使用して、「トヨタ・プリウスPHV」(2009年11月)と「スズキ・スイフト・プラグインハイブリッド」(2010年5月)が、JC08モードによる国土交通省の型式指定を取得している。両社のプレス発表資料から、PHEV燃費性能(国土交通省審査値)関係の値を抜粋して右表に示す。

2012年1月から一般販売を開始した2012年式プリウスPHVのグレードS(型式DLA-ZVW35-BHXEB)の「複合燃料消費率(プラグインハイブリッド燃料消費率)」を、上記国土交通省の「カタログ等への燃費表示の例」にならって表記すると左表のようになる。Priusphv2012

この計算式は、ハイブリッド燃料消費率 FC(H) = 31.6 [km/l]、ユーティリティファクター UF = 0.48 として、
FC(P) = FC(H) / ( 1 - UF ) = 31.6 / (1 - 0.48) = 61[km/l]

プラグインハイブリッド車の燃費表示の課題

プラグインハイブリッド車は、2種類のエネルギー(普通は、ガソリンと電気)を使用しており、また人により走行のパターンが異なるためこれらエネルギーの使用割合も変わるので、これを一つの「燃費」で代表的に表示するには課題がある。

上記「複合燃料消費率(プラグインハイブリッド燃料消費率)」の定義は、充電電力消費量は評価せずにガソリン消費量のみを用いて評価しており、表示が「リッター何キロ」という使い慣れた単位になっている点は直感的で判りやすい。もし、ユーザーが平均的な走行パターンの人ならば、JC08燃費の実用燃費との乖離の問題は別として、ガソリン消費量を示す指標として簡単でアクセプタブルなものと考えられる。

ただ、搭載する電池が大きくなってユーティリティファクター(全走行距離の中で充電電力で走る割合)の値が大きくなると、全走行距離に対するガソリン走行距離が減ってガソリン消費量が少なくなるために、全走行距離をガソリン消費量で除した値に相当する「複合燃料消費率(プラグインハイブリッド燃料消費率)」の値[km/l]は大きくなる。

実際に半分以上の距離を電力で走行するような場合(ユーティリティファクター>0.5)には、ガソリン消費量のみの評価によるこの燃費表示は過大と感じられるようになり、エンジン車やハイブリッド車などとの比較で違和感を生じることもある。この燃費表示を、容量の大きい電池を搭載しているGMのボルト(Chevrolet Volt)に適用した場合の考察を別項に示したが、100km/l以上の燃費が出てくることも想定される。

このようなプラグインハイブリッド車の燃費表示の課題への対応については、後日掲載予定の「その2」で解説する予定。
(2012.4.16 加筆・編集)

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シリーズ型プラグインハイブリッド車のGM VoltとOpel Amperaにハイブリッド型式変更の噂 追記:やはり噂は本当だった

Voltnyc最近(2010年6月~7月)、欧米の自動車メディアの一部で、プラグインハイブリッド車のGM Volt(写真左上、出所GM-Volt.com)とその姉妹車のOpel Ampera(写真左下、出所GM-Volt.com)が、シリーズ・ハイブリッドから、シリーズ/パラレル・ハイブリッドに設計変更されるとの噂が流れています。イギリスのテレグラフ紙の記事が発端のようですが、Voltはこの期に及んでの設計変更は考え難く、勿論GM筋は否定しています。高速走行の多いヨーロッパ市場向けのOpelのAmperaでは、設計変更の可能性があるのかも知れません。

《GMのVoltについて、本サイトでは2007年1月2008年9月に解説を行っており、その後の関連情報も追記としてこれら各記事の後に記載しています。》

噂の内容は次のようなものです。すなわち、① Charge Depleting Range(CDレンジ、電池使用走行、プラグイン走行)は、シリーズ・ハイブリッドのAll Electric Range(AER、オール電力走行)のままで変更はありませんが、② Charge Sustaining Range(CSレンジ、充電維持走行、ハイブリッド走行)に移った時に、エンジンが発電機を駆動してその電力でモーターを回すシリーズ・ハイブリッド型のレンジ・エクステンダー走行から、発電機の駆動と並行してエンジンがプラネタリ・ギアを介してホイールを機械的に駆動するパラレル・ハイブリッド型の走行に変更する、と言うことです。これらPHEVの走行モードについては、別記事走行モード図を参照ください。

Ampera1_2この場合、クラッチが必要になり、構造的にプリウスと似てきますが、むしろ GM-Daimler-BMWのGlobal Hybrid Cooperationによる「2モードハイブリッド」に近い構造も考えられます。

ただ、議論の中では、駆動系にギアとクラッチを入れても必ずしもパラレル型になるとは限らず、Voltの発電機・モーター(53kW)と駆動用モーター(110kW)の間にギア・クラッチを入れるシリーズ型構造も考えられる、などの推測も出ています。

この変更の理由は、高速走行におけるパーフォンマンスと効率(燃費)で、とくにアパラチア山脈や西部にあるような長い上り坂への対処のようです。

これらのニュースや議論は、Telegraph紙の記事1および記事2、 GM-Voltサイトの記事、その他サイトの記事1記事2および記事3などに出ています。

このニュースに進展があれば、別サイトに掲載している「自動車電動化を巡る主な動き」(毎月更新)の中で、フォローしていきます。

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以上は、2010年7月時点の情報であるが、2010年10月にこの噂が本当であることが判った。この内容を追記2にまとめた。

追記1

GM Volt、Fisker Karmaクラスの比較的大きいシリーズ型プラグインハイブリッド車(レンジエクステンダー)については以前から、「シリーズか、パラレルか」の比較論議と絡んで、ハイブリッド走行に移行してからの効率や登攀時の電池化学問題などからその前途を心配するが出ていました。

100511a_2これに対して、軽自動車など小さいクラスのシリーズ型プラグインハイブリッド車は、軽量・構造簡単の特長を生かした電動化を行えば、有望だと考えています。

2010年5月、スズキ自動車は「スイフト」のシリーズ型プラグインハイブリッド車(写真左)の型式指定を取得し、60 台を製作して全国で実証実験を開始することを発表しました。これは、2009年の東京モーターショーでそのコンセプトを発表したもので、2.66kWh のサンヨー製Li-ion 電池を搭載し、外部充電電力で15km走行し、660cc レンジエクステンダーエンジン発電によるハイブリッド走行時の燃費は25.6km/Lとなっています。はたして、小型~軽自動車クラスのプラグインハイブリッド化を先導するか、注目したいと思います。

Acp_tzero_dsc00467ところで、シリーズ・プラグインハイブリッド(レンジエクステンダー)タイプの車は以前よりあり、例えば右の写真はAC Propulsion社の電気自動車「tZero」に、Kawasakiの500ccエンジン発電機を積んだトレイラーをつけて、遠出の時はプラグインハイブリッド車にしている様子です。

現在は、電池・モーター技術も、エンジン技術も、電子制御技術も、格段に進んでいるので、シリーズ型プラグインハイブリッド車の新しい進展を期待したいと思います。
(2010.07.13)

追記2:

やはり噂は本当だった。

Green Car Advisorサイトは2010年10月11日「ボルトの衝撃 –GMの航続距離延長型EVは常にオール・エレクトリックではない」の見出しで、Voltのガソリンエンジンは発電のほかに、時速70マイル以上では駆動軸に直結して車輪を動かしている、と報じた。

そして同系列のInside Lineサイトは「率直に言えば、我々は嘘をつかれた。6月にVoltが土壇場での設計変更としてエンジンと駆動軸を直結したという噂が出た時、GMのスポークスマンはVolt(とその欧州での姉妹車Ampera)は電動駆動のみと否定していた」と述べている。

GMは、これまで一貫して、Voltは航続距離延長型電気自動車で、搭載しているガソリンエンジンは系統電力で充電した電池のレベルが低下した時に発電し、その電力で電気モーターが車を駆動する、と言い続けてきた。GMは、Voltのパワートレインの特許を出願中だったので、エンジンと車輪が機械的に連結されるというような詳細は発表できなかったと弁明している。なお、この特許は2010年9月21日に確定した。

Volttrain0このニュースは、2010年10月13日~14日にWall Street JournalNewsweekで報道され、10月25日に共同通信はNewsweekの記事を引用して「GM新型電気自動車に批判続出“エンジン搭載なのに”」と紹介している。

その間10月12日にVolt応援サイトのGM-Volt.comは、少人数のジャーナリストとともにGMから説明を受けた内容を基に「Voltの電動推進システムが公開された」の見出しでクールに説明している。ただし、これには330件以上のコメントがつき、同サイトは10月15日に「説明:ガソリンエンジンが時速30マイルからVoltの駆動を補助」のタイトルで再説明をしている。

GMの広報サイトには、2010年10月10日付けの「Volt電動駆動ユニット運転モード」というファイルが置いてあり、これにVolt駆動システムの各モードの説明が出ている。(図参照) エンジン+2機のモーター+3個のクラッチの組み合わせで、4つのモードで動力がプラネタリーギアを介して駆動軸に伝達される。具体的には、
 系統充電電力による走行のCDレンジでは
   Low Speed(1-Motor)モード
   High Speed(2-Motor)モード
 エンジン動力による走行のCSレンジでは
   Low Speed(1-Motor Series)モード
   High Speed(2-Motor Combined)モード

CSレンジのHigh Speed(2-Motor Combined)モードにおいて、エンジンと駆動軸は機械的に連結される。CSレンジでは、時速30マイル以下ではLow Speed(1-Motor Series)モードに、時速70マイル以上ではHigh Speed(2-Motor Combined)モードになり、時速30マイルと70マイルの間ではこの二つのモードから最も効率的な方が自動的に選択される。

ただし、この速度によりモードが選択されると言うのは、広報サイドが判りやすく丸めた話のようで(?)、技術サイドでは、「速度よりもトルクと出力が重要」であり、どの条件でエンジンが結合されるかはプラグラムされている「効率マップ」(Efficiency map)によって決められ、最も効率的なモードが選ばれるようになっていると述べている。

この機構の理解には、YouTubeに置いてあるCGシミュレーションを用いた説明のビデオ(英語、6分)が参考になる。その他YouTubeの動画を使用した説明は、「Chevy Volt Powertrain Deep Dive」Part 1(英語、9分)、Part 2(英語、8分)、Part 3 (英語、6分半)、「2011 Chevrolet Volt, Powertrain」(英語、36分)、など。
(2010.10.26)
Volttrain1_2Volttrain2_2

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月刊誌OHMに「自動車から電力系統への電力融通(V2G)」の解説を執筆

Ohm1003covers_22010年3月号の月刊誌「OHM」に

自動車と電力系統のエネルギー統合
「プラグイン」と「V2G」によるスマートグリッド

という記事を書きました。

雑誌OHM(オーム)は、前は電気技術者向けの雑誌でしたが、数年前から「次世代技術を先取りする経営者・マネージャー・技術者の技術総合誌」(月刊誌1冊1600円)になっています。

この解説記事の内容は;

●車はスマートグリッドの重要プレイヤー
●自動車パワーが電力系統へサービス
●米国で進むV2Gの研究・開発・実証
●自動車・電力系統間の双方向電力流通システム
●自動車・電力系統エネルギー統合の効果
 ○太陽光発電の変動調整および余剰電力均衡に対する効果
 ○自動車の電力融通サービスの価値

(このテーマ・内容に関心のある方は御一報ください。原稿段階のファイルをお送りします。)

(図はV2Gのキャッシュバックがある場合のiPHEVの10年間保有費用をICEV、HEV、PHEVと比較したもの)

Ohmp1half_4Tco10year_5

また、次のような記事を別の刊行物に寄稿しました。

「プラグイン自動車でエネルギー利用に変革を」

系統に接続して充電した電力で走行する電気自動車やプラグインハイブリッド車などの自動車を、総称して「プラグイン自動車」(Plug-in Electric Vehicle = PEV)と言う。このプラグイン自動車が導入されると、エネルギー利用に関わる二つの変革、すなわち、①自動車の使用するエネルギー量の節減、炭酸ガス排出量の削減、一次エネルギー源の多様化、②自動車電力による系統のエネルギーマネージメントの合理化、が可能となる。

第1の変革: 自動車のエネルギー使用量節減・炭酸ガス排出削減・エネルギー源多様化

自動車が系統電力で走行すると、一次エネルギーの採掘からタイヤが地面を蹴るまでを総合したエネルギー効率(これを油井から車輪までの効率の意味でWell-to-Wheel効率と言う)が、ガソリンエンジンの場合の2.5倍程度に向上する。さらに、車が使用する一次エネルギー源が、石油から、電源を構成する原子力・石炭・天然ガス・水力など各種の一次エネルギーのミックスに多様化される。

このエネルギー利用効率向上と一次エネルギー多様化の効果によって、プラグイン自動車の炭酸ガス排出量は、現在の日本の電源構成ではガソリンエンジン走行の1/3程度に削減される。また、ユーザーが支払う車の燃料費用も、日本の場合、1/10程度まで低廉になる。

第2の変革: 自動車電力による系統のエネルギーマネージメントの合理化

プラグイン自動車は系統電力によって充電される。この充電の大部分は電力需要が少なく、料金の安い夜間に行うことになり、昼夜の電力負荷が平準化される。プラグイン自動車充電による夜間電力需要の増加は、全乗用車がプラグイン化された場合で20GW~30GW(100万kW発電所20~30基分)程度となる。この増分は現在の昼夜の需要の差より小さく、夜間停止の火力発電を運転することで賄えるが、エネルギー自給・炭酸ガス排出抑制のためには自動車のプラグイン化に伴って電源構成を化石燃料から原子力にシフトしていくことが望ましい。

さらに、この電池の電力を必要に応じて系統側に融通すれば、系統に対していろいろな効果が期待できる。その代表的なものが自動車電池を「アンシラリーサービス」(電力系統における時々刻々の需給変動に対応した周波数・電圧維持などの系統の安定運用サービス)に利用することで、このようなサービスは「自動車からグリッドへ」の意味で、Vehicle-to-Grid、略して「V2G」と呼ばれている。車が電力融通(双方向電力流通)する系統としては、家庭・事業所・地域などの小規模系統(いわゆるマイクログリッド)から、大規模商用系統まで考えられている。

今後、太陽光発電や風力発電などの再生可能エネルギー発電の導入が増えていくが、これら「天気任せ、風任せ」の変動電源を系統に大量に取り入れていくには、系統側の指令によって充放電が可能な応答性の良いプラグイン自動車の電池電力の利用が重要になってくる。

プラグイン自動車のV2Gによってピークロード用の石油火力発電の運用を減らすことができれば、その分の設備・燃料消費・炭酸ガス排出・費用を削減できる。自動車側がこのサービスに見合った対価を得れば、ユーザーの自動車保有費用の低減に繋がる。

米国ではプラグイン自動車をスマートグリッドの重要構成機器と考えて、プラグイン自動車と商用電力系統を連系した実証実験が実施されている。全乗用車がプラグイン化された場合その電池が融通できる電力(キロワット)は系統の平均電力の7倍以上と大きく、また自動車は90%以上の時間(米国の統計では自動車の1日の稼働時間は平均62分)駐車しているので、駐車中にパワーがあって遊んでいる電池を活用することは理に適っている。

プラグイン自動車が取り持つ原子力と太陽光
 
プラグイン自動車と電力系統を連系して統合的に運用すると、電力需給のエネルギーマネージメントに大きな変革をもたらす可能性が出てきた。ベースロード電源の原子力発電と変動電源の太陽光・風力発電が供給する電力を、需給の状態に応じて、ピークロード用の水力発電とプラグイン自動車の電池が調整するという、エネルギー自給・炭酸ガス排出ゼロの将来エネルギーシステムを夢見ている。

日本は、原子力発電をはじめ、リチウムイオン電池、自動車、太陽光発電、風力発電などの個々のハードウエア技術で世界をリードしているので、自動車と電力系統のエネルギーを統合・活用するシステム技術でもリードできるように、関係分野での積極的な取り組みを期待したい。

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続・充電型電動自動車をよりエコロジカルに -- ユーザーの利用方法・メーカーの提供方法

目的地への距離に基づいてプラグインハイブリッド車の電池充電率を計画制御する

プラグインハイブリッド車のユーザーがカーナビに指定した目的地が充電可能な場所である場合、車が目的地に到着した時に自動車駆動用電池の充電率(State of Charge, SOC)が許容最低の値になるように、電池充放電計画を計算してSOC制御を行えば、プラグインハイブリッド車のエンジンによる駆動距離を小さくすることが出来、系統充電による電力走行距離を大きくすることが出来る。

この方法により、ガソリン使用量の減少とそれに相当する電力使用量の増加、CO2排出量の削減、エネルギー費用の節減などの効果が、期待される

この設定目的地への距離によりSOC制御を行う方法は、別項「充電型電動自動車をよりエコロジカルに-- B.行程の標高情報に基づいて電動自動車の電池充電率を計画制御する」記載の方法と同様に、カーナビやプラグインハイブリッド車制御系のソフトウエアの設定変更のみで可能なので、あまり費用が掛からず、ハイブリッド走行(充電維持モード)をする距離のトリップの都度、一定の効果が期待できる。

以下、この方法の概要と典型的なケースにおける効果の試算結果をしめす。

プラグインハイブリッド車の走行モードと充電

Phev2_3プラグインハイブリッド車の典型的な走行モードは図のようになる。

プラグインハイブリッド車の電池走行モード(Charge Depleting Mode)では、基本的に系統から電池に充電した電力エネルギーを消費しながらの電力走行になる。シリーズ型ハイブリッドではオール電力走行、パラレル型ハイブリッドでは電力+エンジンによるブレンド走行になる。

プラグインハイブリッド車の場合、電池走行モードの航続距離を超える距離の走行は、ガソリンエンジンによるハイブリッド走行になる。ハイブリッド走行では、通常、電池は充放電を繰り返し、電池のSOCは図に示すように低SOCのある幅の中に維持される充電維持モード(Charge Sustaining Mode)になる。このモードでは、走行のエネルギーは全てエンジン駆動の燃料(この場合はガソリン)によって賄われる。

充電維持モードで車が目的地に到着した後は、その目的地が自宅などの車の定置場所、あるいは充電可能な駐車場などならば、そこでプラグインして、充電を行うことになる。

目的地到着時の充電状態に着目

プラグインハイブリッド車を電池走行モードを終えて充電維持モードで使用している場合、充電可能な目的地に到着時の電池のSOCがその変動幅のどの位置かによって、そのトリップ(一連の走行)におけるガソリン消費量と電力消費量が変わる。

それ故、カーナビに充電可能目的地を設定し、この目的地に到着した時に電池SOCが許容最低の値になるように、電池充放電計画を計算してSOC制御を行えば、プラグインハイブリッド車のエンジンによる駆動距離を小さくすることが出来、系統充電による電力走行距離を大きくすることが出来る。すなわち、電力走行割合(全走行距離に対する系統充電の電池電力で走行する距離の割合)を大きくすることが出来る。

どの程度の燃料・費用の節減になるか?

この方法によって、どの程度の電力走行割合の改善、ガソリン使用量減少、電力使用量増加、CO2排出削減、エネルギー費用節減になるか、典型的なケースを想定して試算する。

使用プラグインハイブリッド車は、登録車(小型)クラスの次の設計・性能・条件のものを想定する。

• 電力走行電費:6km/kWh、ハイブリッド走行燃費:24km/L、電池走行モードSOC範囲:100%~25%、充電維持モード(ハイブリッド走行)SOC範囲:15%~35%。
• 電池容量:5kWh~10kWh、電池モード走行距離:5kWh~10kWh x 0.75 x 6km/kWh = 22.5km~45.0km
• 試算では、電池走行モードがシリーズハイブリッド型のオール電力走行+ハイブリッド走行の場合として評価したが、パラレルハイブリッド型のブレンド走行+ハイブリッド走行の場合でも同様の傾向になると考える。
• SOC制御を行わない場合の目的地到着時点のSOCは15%~35%の平均の25%とし、SOC制御を行った場合の目的地到着時点のSOCは許容最低(ここでは15%)とする。すなわち、電池容量の10%(5kWh電池では0.5kWh、10kWh電池では1.0kWh)の電力走行距離分のガソリン消費を減らし、この分を駐車中に系統から充電する。

試算条件:

CO2排出原単位(ガソリン 2.32kg-CO2/L・環境省ガイドライン,電気 0.36kg-CO2/kWh・電気事業連合会・2006年)、ガソリン価格(125円/L)、電気料金(自宅充電は深夜料金の10円/kWh、勤務先充電は昼間料金の25円/kWh)、

試算結果:

(1) ユーザーは、電池容量5kWh(電力走行距離22.5km)のプラグインハイブリッド車を使用して、片道30km・往復60kmの距離を通勤する人、月20日出勤/1200km走行、勤務地にも充電設備がありそこで満充電にし、帰宅後は深夜電力により満充電にする場合

設定目的地への距離によりSOC制御を行うと、SOC制御を行わない場合と比較して、

電力走行割合は、75%から85%に10ポイント増加
ガソリン使用量は、12.5Lから7.5Lに5L、40%減少
電力使用量は、150kWhから170kWhに20kW、13%増加
CO2排出量は、83.0kgから78.6kgに4.4kg、5.3%削減
エネルギー費用は、4187円から3912円に275円、6.6%節減

(2)  ユーザーは、電池容量10kWh(電力走行距離45.0km)のプラグインハイブリッド車を使用して、片道30km・往復60kmの距離を通勤する人、月20日出勤/1200km走行、勤務地には充電設備はなく、1日1回帰宅後に深夜電力により満充電にする場合

設定目的地への距離によりSOC制御を行うと、SOC制御を行わない場合と比較して、

電力走行割合は、75%から85%に10ポイント増加
ガソリン使用量は、12.5Lから7.5Lに5L、40%減少
電力使用量は、150kWhから170kWhに20kW、13%増加
CO2排出量は、83.0kgから78.6kgに4.4kg、5.3%削減( ここまでは(1)の場合と同じ値)
エネルギー費用は、3062円から2637円に450円、14.7%節減

費用が掛からず、一定の効果あり

以上のように、設定目的地への距離によりSOC制御を行うと、ガソリン使用量の減少とそれに相当する電力使用量の増加、CO2排出量の削減、エネルギー費用の節減などの効果がある。

この方法は、本ブログ別項「充電型電動自動車をよりエコロジカルに -- ユーザーの利用方法・メーカーの提供方法 -- B.行程の標高情報に基づいて電動自動車の電池充電率を計画制御する」記載の方法と同様に、カーナビやプラグインハイブリッド車制御系のソフトウエアの設定変更のみで可能となる。

すなわち、設定目的地への距離によりSOC制御を行う方法はあまり費用が掛からず、ハイブリッド走行(充電維持モード)をする距離のトリップの都度、一定の効果が期待できるので、この方法をメーカーが提供しユーザー設定で使用可能にすることにより、ガソリン使用量減少・CO2排出削減・ユーザー費用節減などの効果が期待できる。

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プリウス・プラグインハイブリッド車の市場導入始まる、今後の展開を期待

Priusphvnt09_087現行の第3代プリウスをベースにしたプラグインハイブリッド車(PHEV、トヨタではPHVと称している)は、09年11月に国土交通省の型式認定をとり、いよいよ市場導入が始まりました。

プリウスPHVは、5.2kWhのリチウムイオン電池を搭載して、JC08モードで23.4kmの電力走行、EV走行最高速度は約100km/hとなっています。トヨタ自動車は、この車を経済産業省モデル事業の「EV・PHVタウン」に選定された自治体などの特定利用者にリースする予定で、09年11月から商談を開始し12月中旬から納車する予定にしています。

注目の価格も報道されています。MSNニュースは「プリウスPHV 価格は525万円、高価すぎてショック」の見出しで報道し、この内容が自動車関係のサイトやブログに引用されて、その高値が話題になっています。

このMSNニュースによると、「クリーンエネルギー自動車導入補助金」は「ベース車両との差額として算出された基準額の半額が交付される」とのこと。ベース車両のプリウスの本体価格が236万円、プラグイン化費用が264万円で、プリウスPHVの車両価格は500万円になるとしています。クリーンエネルギー自動車導入補助金として、プラグイン化費用264万円の半額の132万円を貰えることになります。それ故、消費税込みの車両価格は525万円、これから補助金分を差し引いた額が購入費用になります。

「クリーンエネルギー自動車導入補助金」制度があって、「クリーンエネルギー自動車」を欲しがる自治体などがいる限り、トヨタ関係者が「リース販売の価格なので気にしない」と言っている「高値すぎてショック」な「プリウスPHV525万円」のような価格が付くことになります。

この価格は上のような事情のもとで決まったのであって、電気自動車の何分の一の容量の5kWhほどの小さな電池を搭載するPHVに、一般販売ではこのような価格が付けられるとは思えません。

読売新聞の報道によると、トヨタはこの第3代プリウスベースのPHVを2011年末から一般発売するようです。米国で年15,000台の先行販売をし、同時期に日本でも販売し価格は300万円台としています。

朝日新聞の報道によると、第3代プリウスベースのPHVは2011年末から一般向けに月1,000台程度の限定販売をし、2014年ころに次の第4世代プリウスのハイブリッド車(HEV)とプラグインハイブリッド車を同時に発売し、HEVの価格は第3世代プリウスHEVとほぼ同じ200万円台前半としています。これから推定すると、10kWh程度の電池を積んだ本格PHVは300万円以下の価格になると考えられます。

トヨタのプリウス・プラグインハイブリッド市場導入の取材会では、「2年後に市販を目指す」、「数万台規模」、「お客様の手の届く価格」と説明しています。

これらのニュースを総合してプリウスのPHV化ロードマップを推定すると;

2007年7月 第2世代プリウスペースのPHVの公道試験を開始
 日本8台のほか、米、欧でも試験

2009年末 第3世代プリウスベースのPHVをフリートユーザーにリース販売開始
 日本230台、米150台、欧200台、合計約600台
 価格は、500万円(日本では補助金を差し引くと368万円)

2011年末 第3世代プリウスベースのPHVを一般ユーザーに販売開始
 年数万台規模の生産、米国で年15,000台程度、日本で月1,000台程度を販売
 価格は、5kWh~電池搭載で200万円台後半

2014年ころ 第4世代プリウスベースのPHVを販売開始、PHV、HEV選択可能に。
 価格は、HEVが200万円台前半、PHVが~10kWh電池搭載で200万円台後半

私はこれからの自動車電動化の本命機種はPHEVと考えているので、PHEVを推進する自動車メーカーは次の方向で開発導入をしていくべきと考えています。

1、本格的なPHEVは、現在プリウスPHVが搭載している5.2kWhからその2倍の10kWhくらいの電池を搭載すべきで、これによりEV走行距離は50km以上、登録車平均のEV走行距離割合は65%以上になり、ガソリン節減による環境・経済効果をはっきりと出すことが出来ます。現行の5.2kWh・23.4kmEV走行のPHEVでは、登録車平均のEV走行距離割合45%程度で未だガソリンによるHEV走行距離が50%以上を占めています。そして、搭載電池の容量はユーザーの走行パターンに合わせてオプションで変更できるようにしたら、エネルギー・資源の節減、CO2排出量の削減、ユーザー費用の低減に大きな効果が出てきます。(下記の追記1を参照)

2、PHEVは搭載する電池容量が電気自動車(BEV)に比べて小さく経済的である特長を有するので、それを印象付けるような戦略的な価格設定をするべきと考えています。すなわち、早い時期から、BEVより格段に安い価格を提示していく。今回の500万円という価格は、上のような事情の中で決まったとしても、2011年末の一般販売の5kWh~電池搭載PHV、さらに2014年ころの第4世代プリウスベースの~10kWh電池搭載PHVを200万円台後半の価格で提供すれば、ハイブリッド車に匹敵する大量需要が出てくると考えます。

3、将来のPHEVは電力系統構成機器の一つとして搭載する電池の活用が考えられており、PHEVと小規模エネルギーマネージメントシステム(HEMS、BEMSなど)、ローカルグリッド、さらに大規模電力系統との統合利用(V2G, Vehicle-to-Grid)を見据えて、それらへの展開を考慮したパワーエレクトロニクス、通信設備、ソフトウエアなどの開発・設計をしておくことが重要と考えています。

追記1:

上に「搭載電池の容量はユーザーの走行パターンに合わせてオプションで変更できるようにしたら、エネルギー・資源の節減、CO2排出量の削減、ユーザー費用の低減に大きな効果が出てきます」と書きましたが、10年2月、トヨタ自動車が電気自動車やプラグインハイブリッド車のバッテリー容量に選択制の導入を検討しているというニュースが出ています。この電池容量の選択制の検討は、大変良い動きだと思っています。

さらに、もう一段、現在ユーザーが乗っている自動車に走行記録(毎日の走行距離)を自動記録する装置を付ければ、将来プラグインハイブリッド車を購入する時に、自分のドライブパターンに合った最適電池容量を定量的に推定できるようになります。自動車メーカーが、既存の車やこれから売り出す車に、この「日毎走行距離自動記録」ができる装置あるいは設定をすれば、これはユーザーにとって有難いサービスであるとともに、メーカーにとっても顧客の囲い込みに有利になると考えられます。

最適電池容量の推定方法などの詳細は別項「充電型電動自動車をよりエコロジカルに -- ユーザーの利用方法・メーカーの提供方法」と、その末尾の追記2をご覧ください。(10年2月9日、2月12日)

追記2:

産経ニュース(2010.7.19)は、「エコカー戦線激化 トヨタのPHV、300万円以下で発売へ 安価設定で他社EVに対抗」の見出しで、次のように報じている。

「トヨタ自動車が、平成23年末に発売予定の家庭用電源で充電できるプラグインハイブリッド車(PHV)の価格を、300万円以下とする方向で検討していることが18日、分かった。ハイブリッド車(HV)で得た原価低減などのノウハウを生かすとともに、車載用リチウムイオン電池の量産化で製造コストを下げられると判断した。ライバルメーカーの電気自動車(EV)よりも価格を70万~100万円安く設定することにより、PHVでエコカー分野のデファクトスタンダード(業界標準)を狙う。(以下略)」

上記の「プリウスのPHV化ロードマップ」の私の推定と一致しましたね。
(2010.8.13)

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電気自動車導入による電力需要増加

電気自動車導入による充電電力需要増加の最大として、自家用乗用車が全部電気自動車になった場合を想定すると、必要電力量は年約840億KWhになります。これは、現在の全電力需要の年約 10000億KWhの8.4%に相当します。

この自動車への充電を夜間8時間に行うとした場合の必要発電容量は29GW(100万KW発電所29基)になります。29GW は現在の昼夜の電力需要の差より小さく、夜間停止の火力発電を運転することで賄えるので容量的には新たな設備は必要としません。しかし、エネルギー自給・地球環境保全の観点からは、自動車の電動推進化に伴って電源構成を化石燃料から原子力や再生可能にシフトしていくことが望まれます。

Pevpowerdemand実際は、プラグインハイブリッド車と電気自動車の両方(これらの車種を総称して系統電力充電型電動自動車、プラグイン自動車、米国ではPlug-in Electric Vehicle = PEVなどと呼んでいます)が導入されると考えられるので、その割合を想定した必要電力量は年600億KWh、夜間8時間充電の場合の必要容量は20GW(100万KW発電所20基)になります。

自動車がエンジン自動車から電動自動車に転換するには時間がかかります。向こう20年間で半数の車が電動化すると想定したロジスティック曲線による導入シナリオでは、電動自動車による電力需要増加は2020年以降顕著になります。

これらの自動車の電動化による電力需要増加については、概要をここにまとめています。また、計算条件・計算根拠・計算方法・計算結果などについては、自動車技術会論文集 Vol.40, No.4, July 2009に掲載した資料「HEV,PHEV導入によるエネルギー需給変化とCO2削減の効果」をご参照ください。

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充電型電動自動車をよりエコロジカルに -- ユーザーの利用方法・メーカーの提供方法

プラグインハイブリッド車や電気自動車などの充電型電動自動車を、よりエコロジカルに利用する方法について、アイディアを述べる。これを実現するには、自動車メーカーがそのようなサービスやオプションを提供することが必要になる。

A. ドライブパターンから充電型電動自動車の最適電池容量を設定する

既存の自動車に毎日の走行距離を自動記録する装置を付ければ、ユーザーが将来プラグインハイブリッド車などの充電型自動車を購入する際に最適の電池容量を推定できる。さらに、車両購入に際してユーザーがオプションとして電池容量を選択できれば、ユーザーの購入・維持費用の節減に繋がる。

すなわち、自動車メーカーがこれらのサービス・オプションを提供すれば、ユーザーは余分の電池を搭載する必要がなく車両重量を低減できるので、ユーザー保有費用節減のみならず、国の資源・エネルギー節減に繋がる。

1.一日当りの走行距離分布と電力走行割合の関係

Mhfig1筆者は、このブログの別項記載の自動車技術会論文において、日本の自家用乗用車(登録車および軽自動車)の実働一日当り平均走行距離の分布を国土交通省・自動車輸送統計報告書の自家用乗用車・距離帯別輸送人員の統計データから推定した。

ユーザーが自動車を使用する「実働日」1日の走行距離の頻度分布データを「ドライブパターン」と言う。日本の自家用乗用車の「1日走行距離vs累積頻度のドライブパターン」は、図1の左上図のようになる。

ドライブパターンが判ると、充電型自動車が搭載する電池容量(この場合は航続距離で表す)と電力走行割合(全走行距離に対する電力走行の距離の割合、米国ではユーティリティファクター(Utility Factor、UF)と称している)を、図1左下記載の式によって図1右下図のように計算で求めることができる。

日本の自家用乗用車の平均的なドライブパターンでは、電力走行の距離割合を約70%にするには、登録自動車には60km航続の電池を、軽自動車には35km航続の電池を搭載すれば良いことが判る。

因みに、米国における同様の計算(1995年NPTSデータを用いたEPRIのMWP法)では、70%の電力走行割合には航続距離が約55mile(88Km)の電池が必要となっている。米国の自家用車は実働1日当りの平均走行距離が日本より長いため,同じ割合の電力走行をさせるにはより長い航続距離の電池が必要になる。

上の評価は、自家用乗用車の平均に対する値であるが、個々の自動車ユーザーのドライブパターンが判れば、同様の関係を求めることができ、そのユーザーに最適な電池容量を推定することができる。その実例を次に示す。

2.実際のユーザーの走行パターンデータから最適電池容量推定の実例

Mhfig2実際の自動車ユーザーの走行記録を分析して、プラグインハイブリッド車搭載の電池容量・電力走行割合の関係を推定した実例を以下示す。(このブログの別項の自動車技術会資料の付録に記載)

(1) 記録されたデータは、地方都市在住の登録車ユーザーM.H.氏の457日間28,231km走行の毎日の走行距離で、年走行距離24,890km、実働日414日、実働率91%、実働日の平均走行距離は68kmなど、日本の平均的登録者ユーザー(実働率67%、実働日平均走行距離41km)よりヘビーユーザーである。(図2 M.H.氏の走行データ)

Mhfig3(2) 主な用途が往復約30kmの通勤なので、30km~70km走行の日が多いが、一方、100~199km走行21日、200~299km走行25日、483km走行1日、675km走行1日と長距離走行もある。これらのデータは、1日の走行距離に対する頻度分布の形に整理できる。(図3 M.H.氏のドライブパターン)

Mhfig4(3) ドライブパターンが図3のように定量的に判ると、図1記載の方法によって電池容量・電力走行割合の関係を得ることができる。(図4 電池容量と電力走行割合の関係)

(4) M.H.氏の場合は、電力走行距離48km~60km(電力走行割合0.60~0.66)程度の容量の電池を搭載するのが経済的と推察される。正確には、筆者論文記載の方法により電池価格などに具体的な数値を入れれば、最適電池容量を推定できる。

(5) 既存の自動車に走行記録(毎日の走行距離)を自動記録する装置を付ければ、ユーザーが将来プラグインハイブリッド車などを購入する時に自分のドライブパターンに合った最適電池容量を推定できる。そして、車両購入に際して電池容量を選択できれば、ユーザー保有費用と資源・エネルギーの節減に繋がる。(下記の追記2を参照)

B. 行程の標高情報に基づいて電動自動車の電池充電率を計画制御する

Hilly17電動自動車ユーザーがカーナビに指定した行程から、カーナビがその行程における高度(標高)の情報を把握し、その行程における最適の電池充放電計画を計算し、それに基いて自動車駆動用電池の充電率(State of Charge, SOC)を計画的に制御すれば、無駄のない位置エネルギーの回収が可能になり、燃費の向上が図れる。

1.電池SOC計画制御の方法

(1) ハイブリッド車およびプラグインハイブリッド車のハイブリッド走行時

Downhill23これら電動自動車は、ブレーキ時および降坂時に回生ブレーキ機構によりエネルギー回収がなされる。しかし、電池容量が有限なために降坂時の回収エネルギーを全量電池に戻せず、エネルギーの無駄が生じる場合がある。

そこで、ユーザーがカーナビに指定した行程の情報から、カーナビがその行程における標高の情報を把握し、先に下り坂があるなどエネルギー回収が見込まれる場合はハイブリッド走行の電池SOCを下げるなどの制御を行うことにより、位置エネルギーの効率の良い回収・利用を行う。

(2) プラグインハイブリッド車および電気自動車の駐車充電時

プラグインハイブリッド車と電気自動車では、駐車中に系統電力からの充電を行うが、満充電にした場合は、その先の行程の標高によっては、回収エネルギーを全量電池に戻せず、エネルギーの無駄が生じる場合がある。

そこで、ユーザーがカーナビに指定した行程の情報から、カーナビがその行程における標高の情報を把握し、先に下り坂があるなどエネルギー回収が見込まれる場合は、駐車充電の最終SOC値をその後の行程の標高情報に基づき最適に制御することによって、位置エネルギーの効率の良い回収・利用を行う。

2.この方法の効果

Uphill22(1) ハイブリッド車およびプラグインハイブリッド車のハイブリッド走行時の設定SOCを、その先の行程の標高から計算して適切な値にすれば、電池が満杯で回収できない場合を避けることが出来、行程中の位置エネルギーを効率良く回収して利用することができる。

(2) プラグインハイブリッド車および電気自動車の駐車充電時に、充電の設定SOCをその後の行程の標高情報から計算して適切な値にすれば、位置エネルギーを効率良く回収して利用でき、余分な充電を避けることができる。

通常、道路には何らかの標高差があるので、通勤利用やその他走行するルートをカーナビに設定し、最適計画制御を行うことによって、位置エネルギーを効率良く回収・利用して、燃費向上を図ることができる。

3.回収位置エネルギーと水平走行可能距離の関係

重量(m)が1000Kgの自動車の標高差(h)による位置エネルギー(Ep)は、重力の加速度(g)9.8m/sec2から、

Ep/h = m・g = 1000 x 9.8 = 9800 [J/m] = 0.00272 [KWh/m]

電動自動車の動力効率を70%とすると、登坂に必要エネルギーは

Ep/h = 0.004 [KWh/m]

通常の燃費はエネルギー当りの移動距離であらわすので、KWh当りの高さ(垂直距離)は、上記の逆数となり、

垂直燃費 = 250 [m/KWh]

Hakoneodawaras一方、電動自動車のエネルギー当りの水平走行燃費は、重量1000Kg程度の車では、

水平燃費 = 8 [Km/KWh]

として、勾配5%の道を登坂する時は、

上り坂燃費 = 1 / (50/250 + 1/8) = 3.08 [Km/KWh]

すなわち、勾配5%程度の上り坂の燃費は水平走行の場合の4割以下に下がる。

位置のエネルギーを回生利用する場合は、動力効率70%、電池の充放電効率80%として、

実質位置エネルギー = 0.00272 x 0.7 x 0.8 = 0.0015 [KWh/m]

すなわち、標高差100mの位置エネルギーを回収すると、0.15KWhのエネルギーを利用でき、燃費8[Km/KWh]の車ならば1.2Kmの水平走行ができる。

関東近辺の標高差の例で示すと、

① 平野部と箱根の標高差500mの位置エネルギーを回収すると、0.75KWhで水平6Km走行分に相当
② 平野部と軽井沢の標高差1000mの位置エネルギーを回収すると1.5KWhでは水平12Km走行分に相当
(例示したルート図は、Alps Labの投稿ルートからの引用)

この方法は、ナビや電動自動車制御系のソフトウエアの設定変更のみで可能なのであまり費用が掛からず、標高差の大きい地域を走行するユーザーにとってはそれなりの効果が期待できるものなので、ユーザー設定で使用可能にするなどの利用が考えられる。

追記1:

上記の「行程の標高情報に基づいて電動自動車の電池充電率を計画制御する」と同様のシステムが、『ナビ協調システム』として株式会社デンソーから第41回東京モーターショー(09年10月24日~11月4日 幕張メッセ)に出展されたことを知りました。

10月22日に行われたデンソーの東京モーターショー関連のプレスブリーフィングにおいて、加藤宣明社長は「自動車産業の変革点におけるデンソーの取り組み」と題するスピーチの中で出展予定の同社の『ナビ協調システム』について次のように説明しています。

「これは、カーナビの情報を元に、エアコン、オルタネータなどと連携させ、エネルギーの効率的な利用を可能にするものです。例えば、カーナビ情報と連携することにより、上り坂の次にすぐ下り坂があることが分かれば、走るエネルギーが多く必要な上り坂では発電を抑え、逆に下り坂では発電するという制御を行い、エネルギーの節約に結びつけるものです。」

同じアイディアのようですね。(09年11月3日)

追記2:

上に、「車両購入に際して電池容量を選択できれば、ユーザー保有費用と資源・エネルギーの節減に繋がる」と書きましたが、これは筆者が08年10月の自動車技術会秋季大会で講演し、09年7月の自動車技術会論文集に掲載した資料の中に記載した内容です。

10年2月のGazoo.com/日刊自動車新聞の「トヨタ自動車、電気自動車やプラグインハイブリッド車のバッテリー容量に選択制の導入検討」の記事によると、トヨタ自動車がこの提案を実現してくれるようです。

「トヨタは、近距離走行が多いユーザー向けにバッテリー容量が少なめのタイプ、標準タイプ、走行距離が長いユーザー向けにバッテリー容量が多いタイプなど、1モデルごとに3タイプ程度の仕様をラインアップして、購入者が選べるようにする考え。この考え方はPHVだけでなく、EVでも採用していく。

PHVやEVに関する現在の技術では、バッテリーの容量が車両価格を大きく左右する。搭載するバッテリーの容量を少なくすることにより、車両価格を抑えることが可能になるため、「こうした取り組みがEVやPHVの普及拡大につながる」(トヨタ幹部)としている。」

電池容量が選択可能になると、とくにプラグインハイブリッド車の場合に好ましい効果が出てくると思います。何故ならば、プラグインハイブリッド車の場合は電池切れの心配がないために、大きめな容量ではなく、そのユーザーのドライブパターンに合った最も経済的なジャスト容量の電池を選択搭載することが可能だからです。

そのために、現在ユーザーが乗っている自動車に走行記録(毎日の走行距離)を自動記録する装置を付ければ、将来プラグインハイブリッド車を購入する時に、自分のドライブパターンに合った最適電池容量を上の図1に記載した式によって推定できます。このドライブパターンは、勿論、電気自動車購入の場合にも参考になります。

自動車メーカーが、既存の車やこれから売り出す車に、この「日毎走行距離自動記録」ができるような装置/設定をしてくれれば、車両購入に際して電池容量の最適の選択ができ、ユーザー保有費用と資源・エネルギーの節減に繋がります。私が今乗っているプリウスでは、既にカレンダー機能を持っていて毎朝音声で通知してくれます。これに一寸した細工をするだけで、「日毎走行距離自動記録」が可能な筈です。プラグインハイブリッド車購入に際してこの記録を読み出して、この記録から計算される電池容量に基づいて電池容量を決定すれば良い訳です。(ドライブパターンが変わる場合は、このデータを基に推定) これはユーザーにとって有難いサービスであるとともに、メーカーにとっても顧客の囲い込みに有利になると考えられます。

さらに、この「充電型電動自動車をよりエコロジカルに -- ユーザーの利用方法・メーカーの提供方法」とその続編で述べている方法を併用すれば、将にエコロジカルな自動車利用が可能になります。(10年2月9日・2月12日改1)

追記3:

図2のエクセルによる作図方法を修正し、表示を修正した図をアップロードしました。データおよびその後の計算には変更はありません。(10年11月17日)

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ハイブリッド車、プラグインハイブリッド車などの次世代自動車導入の環境・エネルギーへの効果

Jsaepapercover_22006年の夏頃から始めた「HEV、PHEV導入によるエネルギー需給変化とCO2削減の効果」の研究は、08年10月名古屋での自動車技術会2008年秋季大会で発表し、09年7月発行の自動車技術会論文集に掲載しました。この全文は自動車技術会の転載許可を得て、ユニバーサルエネルギー研究所のサイトに置いてあります。

この研究は、このブログの別項に記載の「プラグインハイブリッド車導入の環境・エネルギーへの効果」(この全文も上記サイトにあります)の続編とも言うべきものです。

その内容は、日本の乗用車市場に、従来からの内燃機関自動車(ICEV)に代わってハイブリッド車(HEV)・プラグインハイブリッド車(PHEV)・電気自動車(BEV)などの次世代自動車を導入することによる、長期的なエネルギー需給構造の変化とCO2排出削減の効果を次のように評価したものです。

Jsae0907fig2_3① 日本の平均的な登録車・軽自動車ユーザーの走行パターンを用いて、ICEVと次世代自動車のエネルギー・環境特性を比較した。

② 電池価格、電池容量などをパラメーターとしてICEV・HEV・PHEVの車両費用とエネルギー費用からなるユーザーの保有費用を比較し、HEV・PHEVが経済的に成立する条件を調べた。

③ HEV・PHEV・BEV導入のエネルギー効果を、「ロジスティック曲線」を用いた導入シナリオにより評価した。これら次世代自動車の導入により、消費するガソリン・電力とその一次エネルギーの種類・量を評価し、長期的なエネルギー需給構造の変化とCO2排出削減の効果を調べ、エネルギー消費効率改善と石油依存度低減の可能性を定量的に評価した。

結論は次の通りです。

1. 自動車のパワートレインがハイブリッド化・電動化することによるエネルギー節減、脱石油、CO2削減の効果は大きい。

2. 電池価格がkWhあたり2万円~3万円以下になると、ユーザーの10年保有費用でPHEV、BEVがICEV、HEVと競合可能あるいは有利になる。

3. 今後20年で50%の乗用車を次世代化するロジスティック曲線によるシナリオを想定すると、エネルギー需給構造の変化とCO2削減の効果が2020年代以降顕著になる。このシナリオでは、「新・国家エネルギー戦略」に示されている目標値の「エネルギー消費効率改善30%および石油依存度80%程度」を達成することができる。

この研究を行った2006年~2008年の状況では、「今後20年で(保有割合で)乗用車の半分を次世代化する」という想定は相当大胆なものでしたが、09年の現時点で検討されている地球環境対応中期計画の中の次世代自動車導入シナリオは、まさに本研究の想定に近いものになっています。

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画期的(?)電力貯蔵装置EESUの新しい特許

2008年12月16日、EEStor社のウルトラキャパシターEESU(電気エネルギー貯蔵ユニット)の新しい特許が公告されました。EESUについてはこのブログで最初の頃からフォローをしています。原理や経緯についてはここに纏めてあります。

EesubyeestorEESUの新しい特許は11ページに亘り、技術内容、構成図(右図)や性能などかなり詳しい説明が出ています。核となる部分は、アルミナ被覆のチタン酸バリウム粉末とプラスチック(ポリエステルの1種のポリエチレンテレフタラート、略称PET) のマトリックス。このユニットを3万1千個並列にして全容量30ファラッド、体積2.63立方フィート(28.3リッター)、重量は282ポンド(128Kg)、電力貯蔵容量52KWh、満充電の所要時間3~6分、とのこと。

プリウス級自動車の電費を6Km/KWh程度として、52KWhの電気容量は300Km以上の航続距離を持つことになり、実用的には充分。52KWhを3~6分で充電するとなると、1040KW~520KWという大きな電源を必要とし、これは家庭では難しく、ガソリンステーションならぬ「充電ステーション」の出番? 電源容量を減らすには、別のキャパシターに貯め置いた電気を移送するなどの方法も考えられ、対処方法はいろいろありそう。

以上の内容を見ると、これはまさにDisruptive Technology(破壊的技術)。GM-Volt.comgas2.orgなどもこのニュースを報じていますが、解説もコメントも、当然のことながら、この技術に懐疑的です。

電力貯蔵におけるブレークスルーは最も期待されているもので、二次電池、燃料電池、キャパシターで、いろいろな新技術の提案が出ています。EEStor社のEESUには多くの疑問がありますが、電力貯蔵の本物の「Disruptive Technology」が登場した時は、自動車業界のみならずエネルギー業界の地図を塗り替えるような大きな影響が想定され、当分は目が離せない分野。これについては「PHEVを巡る主な動き」の中でフォローしています。

Eestor_logoTests追記:
08年10月にEEStor社の商標(左)が登録されました。

この登録申請の書類には、EESUの仮仕様(右)が記載されています。これを見ると、24ボルトx26.7Ah=0.64KWhで、重量2.2Kg、容積10cm立方、価格が52~63ドル。1KWhにすると、価格82ドル~98ドルと1万円以下の安さです。(09.01.10)

追記2:
EEStor社のEESUについては、ニュース、論評、議論を行っている次のサイトが面白い。

EEStor社のウルトラキャパシター: 電気自動車とともに電池の革新は始まるか?」
EEStory.com:EEStor社に関するニュース、レビュー、議論」

とくに後者のForumでは、EESUを種にいろいろなテーマで活発な議論をしており、米国におけるこの種の技術的話題に関心を持って交流を楽しむ層の厚さを感じます。(09.01.10)

追記3:

Marketwireが伝えるところでは、EESUの4輪自動車への世界独占使用権を持つカナダのZENN自動車の株主総会(年次および特別)が09年3月に開催され、同社の電気自動車cityZENN、ドライブトレーンZENNergyへのEESUの適用を含むラインアップ拡大計画が報告された。この中には、既存のガソリンエンジン車を電気自動車へ改造するキットも含まれている。

EEStor社ではEESUの本格生産設備の建設を進めているとのことで、ZENN社はその進展を待っている状態とのこと。ZENN社のIan Clifford社長は、「株主の皆さんの心配も判るが、これはわが社のコントロール外のこと。EEStor社が開発している技術はわが社のみならず全世界の環境・社会に恩恵を与える革新的な技術であり、そう早く出来る訳にはいかないようだが、出来次第EEStor技術を適用した製品を出せるよう準備をしている」と述べている。(09.3.28)

追記4

09年4月、EEStor社はEESUに使用するチタン酸バリウム粉末の比誘電率が-20~65℃の範囲で目標の22,500を達成(第三者確認)したことを発表(1)した。

09年5月、ZENN自動車は、EEStor社が09年4月に発表したEESUの材料試験結果の精査・確認を完了した。ZENN自動車は今後EEStor社に$2M~$5Mの追加投資を行い、EEStor社株式のZENN自動車の持分を現在の3.5%から最大10.5%に上げる。ZENN自動車の株は、上記09年4月のEEStor社発表時に70%値上がりしている。(Reutersほか報道)(09年7月19日)

追記5

エネルギーと人類の将来について討論する米国のサイト「Oil Drum」に、「Who Killed the Electric Gas Tank?」と題する、EEStor社のEESUに関する6ページの優れた解説が出ている。この解説の後に、195件約50ページの討論が延々と続いている。この解説の中で、上記theeetory.comやbariumtitanate.blogspot.comでここ2,3ヶ月間に議論されている、EESUの実現性を示唆する専門家の見解にも言及しており、EESUの新展開に期待を持たせる内容になっている。(09年7月30日)

追記6

theeestory.comのサイトに、EEStor社の創始者でEESUを発明・開発しているDick Weir氏の38分間の電話インタビュー(録音テープがリーク?)の速記録が出ている。これまで、ステルス・カンパニーと言われて謎に包まれていたEEStor社とEESUについて、中心人物が率直に進展状況、将来計画などを語っている。

Image_100183827_lもし、この内容が本当ならば、エネルギー分野で大きな技術革新が起きることになる。例えば「EESUのコスト$100~$150/Kwh」は、リチウムイオン電池の将来目標コストの1/3~1/2で、これまでに出ているEESUの高エネルギー密度、短時間充電、超長寿命などの特長と合わせて、まさに電力貯蔵のGame Changerと言える仕様である。09年第4四半期にZENN自動車に最初のEESU製品を提供するとのことなので、その結果を待ちたい。

右図は、このインタービュー内容を要約して報じているAllCarElectric.comに掲載されていたEESU搭載電気自動車とエンジン車の比較である。(09年7月30日)

追記7

EEStor社のウルトラキャパシターEESUの4輪自動車への世界独占使用権を持つZENN自動車は、09年9月同社のビジネス戦略を次のように改定すると発表した。①開発中の高速走行可能の電気自動車「cityZENN」の開発・生産は取り止める、②EEStor社のEESUを使用したドライブトレイン「ZENNergy」の販路を拡大する。これにより、ZENN社のリソースを最大効率的に配分し、将来の収益の最大化を図る、としている。

「ZENNergy」ドライブトレインを数多くの電動自動車製造会社に供給することになれば、消費者は多様なEESU駆動電動自動車を利用できる、とZENN社は言っている。(09年10月3日)

追記8:

EEstor社は、09年(暦年)第4四半期中にZENN自動車にEESU製品を提供することになっていたが、10年1月の現在、そのようなニュースは伝わってこない。

EESUの仕様・性能をリチウムイオン電池などと比較した、EEStor社をソースと称する表(下)が、ZENN自動車のZENNenergyのサイトに掲載されている。EESUについては、キャパシター専門家が、メカニズムから言ってもあり得ないと否定的なのは勿論だが、多くの人も、この表に示されているような電力貯蔵性能のあまりの良さから、懐疑的な見方をしている。
Eesucomparisontable1
一方で、有名ベンチャーキャピタルのKleiner Perkins 社が出資をし、防衛産業のLockheed Martin 社がライセンス契約をし、中小メーカーだが電気自動車メーカーのZENN自動車が社運を賭けた投資をしていることもあり、また石油代替エネルギーや電力貯蔵のブレークスルーへの期待から、科学・技術ファンなどいろいろな人達が、野次馬も含めて、インターネットを通じてその可能性・実現性について様々な議論を楽しんでいる。

数年に亘って繰り広げられてきた、この「技術開発ドラマ」もそろそろ終局を迎えようとしているのか、「ウルトラキャパシター EEStor-EESU」を主題とするドキュメンタリー・フィルムを製作する話が持ち上がっている。映画・TVディレクターのMichael Bliedenが興味を示して、「EEStor社のニュース・レビュー・討論サイト」と称しているTheEEStory.com(追記2)と接触を始めている。
(10年1月10日)

追記9:

2011年2月、カナダのZENN自動車の創業者・CEOでEEStor社のEESU開発に多額の投資をしてきたIan Clifford氏がCEOを辞任し、副会長に就任した。ZENN自動車のEEStor社との関係は持続するとのこと。ZENN自動車は近距離用の「NEV」規格電気自動車製造からEESU駆動系供給業に転向したが、EESUの実現は依然として不明のまま。ソースはMarketwireGreen Car Congressなど。(2011年7月24日)

追記10:

EEStor社が設立された2000年頃からの進展を、Dipity Timelineを用いて時系列で整理したサイトがある。EESUのこれまでの経緯を一覧で見ることができ、各イベントには説明とさらにソースへのリンクがついている。(11年7月24日)

追記11:

EEStor社は”どっこい生きていた”。3年間の沈黙の後、2012年5月15日EEStor社はウルトラキャパシターEESUの開発進展を発表(プレスリリース)した。

その発表によると、EESUの20ミクロン層については製造プロセスの信頼性向上で進展があった、誘電率(Permittivity)では未だ商業生産に必要なレベルには達していない、誘電率の改良後に独立機関で試験をして認証を得る予定、その後に多層EESUを製造し技術の効果を実証する、製造システムについては自動化などを進めている、などと述べている。

EEStor社に資金を提供し、その見返りにEESU技術の自動車などへの適用の権利を得ていたカナダのZENN自動車社は最近25万ドルを起債し、さらに40万ドルの起債を予定しており、EEStor社と「新技術協定」を締結し権利を拡大することを発表(プレスリリース)した。新しい協定では、ZENNは50万ドルを投資し、世界中のあらゆる自動車にEESU技術を適用する独占権を持つことになる。(ただし、1輪、2輪、3輪の自動車および軍事用自動車は除く) 今後の進展のマイルストンで追加の資金提供をし、新技術協定による全支払額は3千50万ドル(前の協定による50万ドルを含む)になるとしている。上記のEEStor社の進展公表もこの協定に沿って行ったもの。

これらの最近のEEStor社とZENN社の動きについては、これらのサイト()にニュース・概要が、Clean Breakのサイトに最近の経緯などが出ている。また、EEStor-EESUを常時ウォッチしているThe EEStory.comのサイトにはこれまでの状況も含めて多くの記事が出ている。
(2012.5.18)

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米、プラグインハイブリッド車・電気自動車の税額減免決まる

Bailout米議会下院は08年10月3日、最大7千億ドルの不良資産買い取り制度などを柱にした”Emergence Economic Stabilization Act of 2008 (H.R. 1424)”(金融救済法案)を可決し、ブッシュ大統領は同日署名し成立させた。原案は3ページだったこの法案は最終的に451ページに膨れ上がり、この中に電動推進車両の税額減免に関する重要な項目や、燃料電池、充電インフラ、スマートメーター、電力網近代化などに関する投資助勢の項目が含まれた。

プラグインハイブリッド車・電気自動車の税額減免については、4KWh以上の電池を搭載する車は基本額$2500、4KWhを超える電池容量1KWh毎に$417追加し、重量10,000ポンドまでの車は最高$7500、重量10,000~14,000ポンドの車は最高$10,000、重量14,000~26,000ポンドの車は最高$15,000の減免額となっている。この措置は、米国内で発売される車少なくとも25万台に適用され、2009年開始、2014年末終了。

この措置で、GMのChevy Voltは16KWhの電池を搭載しているので、購入者は最高の$7500が減免される。一方、トヨタのPrius PHVは今の公道試験車は2.6KWh電池なので4KWh以下で資格なし、将来10KWhの電池を搭載するとして$4900の減免となる。今のVoltの電池は定格16KWhだが、電力走行にはSOC85%~35%の範囲を使用するとされているので、定格の半分の8KWhを電力走行に使用することになる。法案の趣旨からは、減免額を電池定格容量で決めるのではなく、電池実質容量あるいは電力走行距離で決める方が合理的と考えられる。

追記1:
09年2月13日に両院が可決した景気対策法(通称Stimulus Bill)で、上記の税額減免が一部変更になった。主な変更は、①税額減免の最高額は$7,500、重量は14,000ポンド以下に制限、②適用される自動車台数は1メーカーあたり20万台に増加、③プラグイン車へ改造するキットは費用$40,000以内の10%減免の新設。なお、これらの減免額は最低代替税(Alternative Minimum Tax)に適用される。
(09.02.14)

追記2:
追記1のStimulus Bill(正式名称はThe American Recovery and Reinvestment Act of 2009、2009年アメリカ復興・再投資法)に基づいた税額減免の中のPEV(Plug-in Electric Vehicle、電気自動車やプラグインハイブリッド車などの系統充電型電動自動車の総称)関係の詳細はIRS(米国歳入庁)エネルギー関係条項の解説に出ています。

その概要は;
1. 4輪PEV対象のクレジット (追記1の①②、2010年以降購入の車に適用)
2. 低速車両・2輪・3輪PEV対象のクレジット (車両価格の10%で最高$2500、2011年末まで購入の車に適用)
3. PEV改造キット対象のクレジット(追記1の③、2011年末まで購入のもの、ハイブリッド車購入クレジット適用車にも適用可能)
(10.01.08)

追記3:
AFS Trinity社のCEO・Edward W. Furia氏は、このプラグイン自動車(PEV、プラグインハイブリッド車と電気自動車の総称)購入時の税額減免制度について、電池容量ベースではなく、電池走行距離ベースにすべきと主張して、国会議員に働きかけている。詳しくは、このサイトの別記事を参照ください。
(10,09.01)

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GMがプラグインハイブリッド車Voltの市販バージョンを公開

Gmchevyvoltofficial001Gmchevyvoltofficial003GMのプラグインハイブリッド車Chevy Voltは、07年1月に開催された北米国際自動車ショーでそのコンセプトが発表され、以来、開発が続けられてきた。

そして、08年9月16日、GM創立100周年記念イベントの席上で、Voltの市販バージョン「2011 Chevrolet (Chevy) Volt」が遂に発表された。最初のコンセプトカーと比べて、外観も中身も相当に変わったという印象。

この型は、普通「シリーズ型プラグインハイブリッド車」と呼ばれているが、GMは"Extended-Range Electric Vehicle (E-REV)"「航続距離延長型電気自動車」と呼んでいる。GMでは、このパワートレインを「E-Flex」と名付けている。

GMの会長・CEOのRick Wagonerは、「Chevy Voltは、GMの次の100年を切り開くモデル。自動車業界はこれからのエネルギー・環境に対応して行く必要があり、Chevy Voltは将にそのための技術革新であり、GMの将来に対するコミットメントの象徴」と語っている。

Gmchevyvoltofficial008Gmchevyvoltofficial0112011年型Chevy Voltは、4人乗・前輪駆動・5ドアセダン。電気のみで40マイル(64km)を走行、それ以降はガソリン(またはE85燃料)を使用する4気筒1400CC自然吸気エンジン・発電機によりシリーズハイブリッド型のガソリン電力走行をする。

電池は16KWh容量のリチウムイオン型、電池走行モードの充電状態(SOC)は通常85~35%の範囲、満充電は120Vで8時間、240Vで3時間。走行距離が40マイル以下の場合はさらに短時間で充電可能となる。40マイル走行の電気料金は1KWh10セントとして約80セント、「コーヒー1杯の値段より安い」とGMは言っている。

電気モーターの最高出力は150馬力、最大トルクは370Nm。最高時速は100マイル(160km)。ボディサイズは全長4404×全幅1798×全高1430mm。タイヤは低走行抵抗型・17インチアルミホィール。

市販バージョンの組み立てはデトロイトのHamtramck工場。発売は2010年11月の予定。

GMは、Chevy Voltのリチウムイオン電池を外部のA123社などの電池会社から調達し、15万マイルの耐久性を目標として電池システムの開発・試験を進めている。有名な電池コンサルタントのAnderman氏は、Timeサイトで「GMはリチウムイオン電池システムの開発・試験に4-5年かかる筈」と述べており、販売価格4万ドル以下のコスト目標の達成と「リチウム化学」を克服する電池マネージメント技術の確立が、2011年式Volt成否の鍵となりそうである。

追記1:
米政府の新しい燃費基準(CAFE)によって、自動車メーカーは2020年までに燃費を40%改善して平均35MPG(マイル/ガロン)を達成しなければならない。Voltのような電気とガソリンの両方で走るPHEVの「EPA(環境保護庁)」燃費の計算方法は未だ決定されていないが、GMはVoltは100MPGに分類されると言っている。これによって平均燃費が改善されるので、GMが大きなトラックやSUVをペナルティなしに販売継続する助けになる。

なお、電気自動車については、電気消費量のガソリン消費量への換算が「DOE 10 CFR Part 474コード」によって規定されている。電気自動車Teslaは、EPAの規定に従って行った航続距離と燃費の試験結果から、ガソリン換算燃費として256MPG(108km/L)を発表している。GMは、Voltを電気自動車として認定するように主張しており、この問題についてCARB(カリフォルニア州大気資源委員会)、SAE(米国自動車技術会)、EPAなどが、それぞれ検討しており、一部見解が報道されている。
(08.10.04)

追記2:
09年8月に、GMが2011年式Voltの燃費(レーティング)は、230MPG(ガロン当たり走行マイル、換算すると97.8Km/L)と発表しました。この230MPGという値は、EPAの航続距離延長型電気自動車に対する新しい燃費評価方法(ドラフト)によるものか、GMは「230」キャンペーンを始めるようです。

トヨタの新型プリウスのEPA燃費レーティングは、MPG単位で、51 city/48 highway/50 combinedですので、230MPGと言う値は驚異的です。

EPAドラフトの評価式は未だ公表されていませんが、例えば、50マイル走行で見ると、40マイルは電気で走りガソリン0ガロン、残りの10マイルをエンジン発電走行で45マイル/ガロンとして、ガソリン0.2222ガロン消費、故に50マイル走行/0.2222ガロン=225マイル/ガロン、のような計算でしょうか?

"It /is/ a GM, after all…" (まさに、GMのやる事)と「感心」しているサイトもありました。

これに対して日産自動車は、早速Twitterで、電気自動車Leafについて「Nissan Leaf = 367MPG、テールパイプなし、ガソリン不要。そして価格も手頃」、「エネルギー省の評価方法で、日産Leafは367MPGと推定」と発言しました。(367MPG = 156Km/L)

これらの報道について、Responseの記事では、

「・・・ この「230MPG」のインパクトは強烈。他社に与えた影響も大きく、日産はソーシャルネットワークサービスの「Twitter」において、「新型EV『リーフ』の燃費は、EPAの新燃費基準に照らすと、367MPG(約156km/リットル)になる」との見通しを示し、ボルトをかなり意識している様子だ。」と書いていました。

しかし、「367MPG」の計算根拠は、日産はTwitterの中で「DOE」と言っているので、Responseの記事が言っている「EPA」ではなく上記「DOE 10 C.F.R. PART 474」コードの中の「電気自動車のガソリン相当燃費計算方法」だと思います。
(09.11.05)

EPAのプラグインハイブリッド車を含む乗用車の燃費表示の案が公開され、広く一般から意見を募集しています。この内容はここにまとめています。
(2010.9.23)

2011年式VoltのEPAによる正式の燃費ラベルが発表されました。これに関するニュース・解説はここにまとめてあります。
(2010.11.26)

追記3:
GM Voltの広報戦略「"Range Anxiety" (航続距離不安)」はここ
(2010.09.09)

追記4:
GM Voltのパワートレイン変更「シリーズ型プラグインハイブリッド車のGM VoltとOpel Amperaにハイブリッド型式変更の噂 追記:やはり噂は本当だった」はここ
(2010.10.26)

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コミューター電気自動車と自動車用電池について

トヨタ自動車は08年6月11日東京都内で「トヨタ環境フォーラム」を開催し、「研究開発」「モノづくり」「社会貢献活動」の3つの分野で、低炭素社会に貢献するためのアクションプランを発表しました。

このフォーラムでは、渡辺捷昭社長が「トップスピーチ」として、この3分野におけるトヨタの取り組み方針について、また瀧本正民副社長が「サステイナブル・モビリティ実現に向けたトヨタの取り組み」について講演を行いました。

私が関心を持っているハイブリッド車(HEV)とプラグインハイブリッド車(PHEV)については、①HEVはこれまでの実績を踏まえて設定車種を拡大するなど積極的に普及を促進すること、②PHEVは現在の日米欧での実証実験の継続実施と2010年までにリチウムイオン電池搭載の車をフリートユーザー向けに販売すること、をあらためて力強く述べていました。

この講演の中で、私がとくに注目したのは、次の二つの方針です。

(1) 近距離コミューターとしての適用が期待されている小型の電気自動車(BEV)の量産化を目指した開発の加速
(2) リチウムイオン電池の性能を遥かに超える次世代電池の開発を目指して、「電池研究部」の新設

これらについて、以下感想を記します。

(1) コミューター電気自動車の開発

Ecom電気自動車(BEV)は次世代自動車の中で一定の役割を果たすと考えており、とくに日本の場合、近距離用BEVは軽自動車クラスにおけるガソリン車代替として、PHEVに次いで期待できると考えています。(左の写真はトヨタのコミューターBEVのコンセプトカー「e-com」)

ところで、08年3月に修正された米国カリフォルニア州の2012年~2014年のゼロ排出車(ZEV)規制では、新に「ゴールド車」(FCV、BEV)と「シルバープラス車」(PHEV)を組み合わせたオプションが設けられました。このゴールド車には、FCV(燃料電池車)よりBEVで対応する方が現実的と考えられます。Rav4ev

また、旧ZEV規制によって、1997年頃GMは映画「誰が電気自動車を殺したか」で取り上げられたBEV「EV1」をリース販売しましたが、トヨタはBEV「RAV4 EV」(右の写真)を販売しました。RAV4 EVは今でも愛好者が多く、トヨタのBEV技術・経験は高い評価を得ています。

このような訳で、トヨタの小型BEVはPHEVとともに期待できそうです。

(2) 自動車用電池の研究

「電池はこれからの自動車の死命を制する」と考えています。電動推進車用のリチウムイオン電池の価格が現在は10万円/kWh~、軽自動車クラスの電力走行率を10km/kWhとすると、例えば一充電あたり150km航続の軽BEVには容量15kWh、価格150万円~の電池が必要になります。

PHEVはこれよりは大分楽で、日本の軽自動車の平均的ユーザーの走行パターンで70%の距離を電力で走らせるには、一充電あたり35km航続できる容量3.5kWh、価格35万円~の電池で済みます。

この電池の値段が3万円/kWh程度まで下がると、軽自動車クラス・小型車クラスとも、自家用乗用車の平均的ユーザーの10年保有費用において、PHEVの方がガソリンエンジン車より安くなります。

今、日本も米国も、3万円/kWh程度を目標にリチウムイオン電池の開発を進めており、これは2010年代前半に達成可能と見られています。この場合でも、PHEVやBEVなどの電動推進車のコストに占める電池の割合は相当に大きく、電池の出力・エネルギー密度などの性能、耐久性、安全性の重要度から見ても、電動推進車の電池は重要な構成部品と考えられます。

そのため、現在、世界中でリチウムイオン電池の性能・コスト・耐久性・安全性向上の研究開発が活発に進められており、従来からの電池会社のほかに、新興の会社、他の分野からの参入など、まさに戦国時代の様相を呈しています。(「PHEVを巡る主な動き」参照)

リチウムイオン電池の開発では、「ケミストリー」(電極材料などの化学)と「パッケージ」(生産技術)の両方が揃っている必要があります。革新的なケミストリーの研究・提案が出されても、パッケージと結びつかなければ市場に出せません。また、パッケージの技術があっても、ケミストリーで劣っていては、市場の競争で不利になります。さらに、リチウムイオン電池は大量生産によるコストダウンがニッケル水素電池よりも急なので、製品電池を大量に継続して購入する自動車会社の「継続需要」と結びつく必要があります。

トヨタは最近、松下グループと合弁の電池会社「パナソニックEVエナジー」(出資比率: トヨタ60%、松下グループ40%)で2010年より自動車用リチウムイオン電池の本格生産を開始すると発表しました。発表されている生産台数(ニッケル水素と併せて年100万台)は、これまでに発表されている他の電池製造会社・グループより約一桁大きい規模です。

電池は電動推進車の構成部品の中で最もクリティカルな部品の一つで、その性能・コストは電動推進車の死命を制すると考えられます。そのため、電池を内部で研究・開発し、内部で製造し、自社の自動車に供給する「電池の内製化」は、これまで最も重要であったエンジンを内製してきた自動車メーカーが自動車電動化に向かう当然のビジネスモデルだと思います。

リチウムイオン電池のケミストリーで自信のある型のものが出来、パッケージ段階に移行し、大量生産によるコストダウンが可能なところまで来たとしたら、この後はこの優位を守るために絶えざるケミストリーやパッケージの改良・革新などの研究・開発が必要になります。

これからのHEVの車種拡大・高度化、PHEVの製品化・車種拡大・高度化に必須のリチウムイオン電池は、正極・負極の電極材料などはバラエティが豊富で次々に新しい研究成果が発表されており、当分の間リチウムイオン電池の改良・革新・高度化では激しい競争が予想されます。Ooba

トヨタが新設する「電池研究部」は、リチウムイオン電池の先の次世代電池の開発を目指すとしていますが、当面のリチウムイオン電池の改良・革新・高度化のために、従来からある電池研究陣に加えて外部の研究や研究者の取り込みを含む多くのリソースの投入は最重要と思います。

囲碁に「大場より急場」という格言があります。次世代自動車の開発では、「大場」は水素自動車や本格電気自動車(電池航続距離400km以上)、「急場」は先ずハイブリッド車、そしてプラグインハイブリッド車、次に近距離型電気自動車と考えられます。これら急場の車のクリティカル部品であるリチウムイオン電池における優位確保は最優先業務として進められと見ています。(右の盤面は「大場より急場」の例題、黒番)

Toyota_ft_ev_14compprv追記:
08年1月11日からデトロイトで開催された北米国際自動車ショーで、トヨタは電気自動車(BEV)のコンセプトモデル「FT-EV」(4人乗り、航続距離80Km)を展示しました。今後、トヨタは近距離BEVコミューターを2012年までに米国市場に導入する予定としています。(09年1月11日)

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「エネルギーレビュー」誌の次世代自動車特集

Energyreviewcovers_2ERC出版発行の月刊「エネルギーレビュー」誌が、2008年3月号で「次世代自動車の開発展望」の特集をしています。「エネルギーレビュー」誌は、エネルギー全般の技術、政策、経済、社会、環境問題、科学技術に関する総合月刊誌で、大学、企業、研究機関、中央・地方官庁などで巾広く読まれているようです。

特集の構成は、

■次世代自動車をめぐる動向 -- 水素、電力「燃料」中心に開発進む
日本自動車研究所 渡辺 正五
 
■ハイブリッド車開発の現状と展望 -- 普及の鍵は小型軽量化とコスト低減
トヨタ自動車 朝倉 吉隆
 
■開発進む新世代電気自動車i-MiEV
三菱自動車工業 吉田 裕明
 
■FCV開発の現状と展望 -- 量販化の鍵はコストと水素インフラ
本田技術研究所 守谷 隆史
 
■次世代自動車の地域実証 -- 青森県の経済活性化も視野に
青森県庁 高坂 幹
 
■次世代自動車導入のエネルギー・環境効果 -- 省資源や脱炭素化が可能に
ユニバーサルエネルギー研究所 堀 雅夫

「運輸部門のエネルギーをどうするか」、これはエネルギー自給と地球環境の問題から、今注目されている課題です。運輸部門のエネルギー消費の90%を占める自動車は、電動パワートレインを採用した次世代自動車の開発・導入に向かって大きな転換の最中です。ゼネラルモーターズの重役が、「車が100年も石油で動いたのは長すぎた」と言っているように、世界的に喫緊の課題になっています。

この問題の解決には、1発の弾で敵を仕留めるような"Silver bullet"がないとすると、この特集で展望しているような各種の次世代自動車の競争・協働・展開によって、運輸用エネルギーの革新をしていくことになると思います。

Horipapertitles_2この特集の最後に、私が次世代自動車のエネルギー・環境効果について書きました。(この原稿はここに置いてあります) 要は、これらの自動車が使用するエネルギーキャリアーが、電動パワートレインによってガソリンから水素・電気に変わることによって、Well-to-Wheel効率上昇による一次エネルギー消費量の半減と、燃料製造・発電などエネルギー転換経路増加による一次エネルギーの多様化が可能になります。即ち、運輸用エネルギーを石油から原子力、天然ガス、再生可能エネルギーなどに転換することが出来、その使用量の節減と合わせて、エネルギー自給と地球環境保全に大きな効果が出てきます。

もう一点、注目すべきことは、自動車は電動推進化によって、大きな出力の電力供給能力を持つことです。主要国の全乗用車が持ち得る電力(KW)をその国の全発電電力(平均KW)と比較すると、自動車の方が7~11倍大きな電力を持つことになります。乗用車は平均して1日23時間駐車してますので、これらの車の一部が可能な範囲の電力融通をするだけでも、系統へ大きな効果が出てきます。

車が電力融通をする系統としては、先ず家庭・事業所・地域などの小規模系統で系統内の電力の効率的運用に、また太陽や風力などの変動電源の調整に効果が期待されます。さらに、大規模商用電力系統の短時間変動に対する調整電源や非常用電源としての可能性もあります。

将来多くの自動車が電動推進化すると、このように需要側・供給側のエネルギーマネージメントに大きな変革をもたらす可能性が考えられます。

次世代自動車のこのような効果は、まさしく「自動車がもたらすエネルギー革命」と言えると思います。

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電気新聞で対談 「プラグインハイブリッド車を展望」

Denkishimbuntaidant 電気新聞の企画で、東京大学の山地憲治教授と私が「胎動PHEV」と題して、プラグインハイブリッド車の展望について対談しました。この記事は、電気新聞に07年9月25日から3回に亘って連載されました。

 対談記事は、ここからダウンロードできます。以下は、見出しのピックアップ。

 プラグイン・ハイブリッド車を展望
  ・運輸の脱・石油に効果 山地
  ・短期導入、日本が有利 堀
 エネ自給、環境保全に貢献
  ・負荷平準化に期待 堀
  ・充電時間の制御必要 山地
 普及に向けて現状と課題は?
  ・米国は政府が開発主導 堀
  ・バッテリー価格がカギに 山地
 電力系統との連系
  ・負荷調整役として利用 山地
  ・米は”V2G構想”検討 堀

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運転が楽しいトヨタ・プリウス

Colb_02_207年6月、11年乗ってきたクラウン・ロイヤルツーリングをプリウスに乗り換えることにした。

このクラウンは、今まで乗ってきた車の中で一番良く出来た車で、故障は一つもなく、非常に信頼性の高い車だった。4回の車検は全部、自分で車検場に車を持ち込んで検査を受ける、ユーザー車検で取った。(2回目のユーザー車検の時のメモはここ

プリウスは大変評判が良く、注文した6月頃は納車まで2ヶ月待ちが普通だった。私は、人気車種を先行発注している大きいディーラーから購入したので、シルバーメタリックのプリウス特別仕様車(S"10thアニバーサリーエディション")を3週間で入手できた。

Int_color_01_21957年から今日まで10台以上の車を乗り継いできたが、プリウスを運転してみて最初に乗った1938年式ダットサン・ロードスター以来の感激を久しぶりに味わった。斬新なメカニズム、圧倒的な燃費、運転の楽しさ、・・・。センターディスプレイに時々刻々表示される、エンジンやモーターの作動状況、燃費・減速時回収電力などのエネルギー・モニターはとくに楽しい。

燃費は最初の2ヶ月間1,300km走行の平均で23.5km/l。これは、同クラスの普通のエンジン車の2倍弱、今まで乗っていたクラウンの2.5倍良い。なお、多くのユーザーからの給油情報をもとに車種別の実用燃費データを集計・発表しているサイト(e燃費)でのプリウスの平均燃費は20~21km/lになっている。

先日、トヨタ自動車の人にプリウスを買った話をしたら、私がプラグインハイブリッド車関係の研究をしているのを知っているので、「早速、プラグインに改造したのではないでしょうね」と冗談を言われた。

Vfsh0025a_4本当は、機会があったらプラグイン化したいと思っている。7月に公道試験を発表したトヨタプラグインHVは、現在のプリウスのニッケル水素電池をもう1個増設して2.6KWHの容量にして、13kmの充電電力による走行を可能にしている。これは、平均的走行パターンの人ならば、約30%の距離を電力走行できること(自動車技術会論文集Fig.3参照)になり、それだけガソリン消費を節減できる。短距離通勤の人ならば、もっとガソリン節減ができるので、このような車の早い時期の発売が待たれる。

追記1

2010年4月中旬、家内と二人、NHW20プリウスで、神奈川県川崎市から愛媛県新居浜市まで瀬戸大橋経由で走った。 全行程:高速道路767Km+一般道路21km=合計788km、所要時間:朝7時40分発~夜8時30分着=12時間50分。久しぶりにドライブを堪能 した。経路は、東名高速-伊勢湾岸道-新名神高速-名神高速(京滋バイパス経由)-中国道-山陽道-瀬戸中央道-松山道。

復路は4月下旬、四国の新居浜から川崎まで往路の逆のルートを戻ってきた。距離と所要時間は往路と同じ。お天気に恵まれ、快適なドライブだった。

高速料金は休日割引で4,100円(大都市2,100円・地方部1,000円・瀬戸中央1,000円)、ガソリン4,400円(燃費24km/l、ガソリン133円/l)合計8500円/2人。JRでは、所要時間は5.5時間、料金19,100円/1人。自動車 vs. JR:時間2.3倍、費用4.5分の1。

高速道路ドライブでは、PAやSAでの休憩も楽しみの一つ。往路では、いつも休む浜名湖SA、初めての伊勢湾岸道・長島PA。復路では、1960年代に日本最初のSAとしてオープンした直後に行った懐かしい大津SA、富士山が綺麗に見える富士川SA、都会色一杯で活気のある海老名SA。
(2010.5.3)

追記2

2010年5月下旬、先月のドライブに続き、また川崎から四国の新居浜まで約800kmをプリウスで走った。今回は、往路は神戸淡路鳴門自動車道を通るルートで、瀬戸大橋を通るルートよりも、距離は短いが四国に入ってしばらく片側1車線があるために、時間は30分ほど長く掛かった。復路は、毎度走る瀬戸大橋を通るルートで、こちらの方が全般的に走り易い。
(2010.5.31)

上記2回の四国ドライブに続いて、2010年8月上旬と2010年10月中旬、また同じ川崎⇔新居浜の往復ドライブをした。所要時間は、約1時間半ごとのPA/SAでの休憩、2回の食事などを含めて、ゆっくり走って13時間というのが私の標準になった。お気に入りは、伊勢湾岸道・長島PAの蛤ラーメンと足湯、山陽道・三木SA(上り)・レストラン宝塚ホテルのオムハヤシ。燃費は、エネルギー・モニターの積算表示で25.5km/L前後、満タン法で24km/L、というところ。
(2010.10.28)

追記3

2010年7月上旬、NHW20プリウスの購入から3年経ち、第1回の車検の時期が来た。今度もユーザー車検で取ることにして、これまで経験のあるクラウンの車検との違いを調べた。

プリウスの車検につい解説しているサイトが数箇所あり、この情報からスピードメーターと排ガスの検査に際して、

① プリウスは「モータTRC」を採用しているためスピードメーター試験時に前輪のみを回転させる場合に、トラクションコントロールを解除する必要がある。
② 排ガス検査時にエンジンが止まらないようにする必要がある。

このために、車検ラインに入る前に、予めエンジンを「整備(メインテナンス)モード」に移行させておく必要があることが判った。整備モードへの移行の方法については、プリウス車検の一般的な注意事項とともに、ここの情報を参考にした。

事前に下回りの水洗とホィールキャップの取り外しをしておき、後席シートベルトの整頓や車台番号の位置確認(ボンネットを開けて向かって左側のダッシュボードの裏側の壁に刻印されている、直接は見えないので、ドライバーなどで蓋を外して開いた窓から中を覗くようにして確認)などの準備をした。また、列に並ぶ前に検査ラインの横の通路を歩いて、手順を確認した。

検査ライン前に行う検査で、プリウスの場合は原動機としてエンジンとモーターの型式の確認がある。エンジンの「1NZ」は直ぐ判る位置にあるが、モーターの「3CM」の位置を始めて知った。これは、ハンドルを右一杯に切った状態で左側タイヤハウスから確認するようになっていた。

検査ラインに入ってからは、電光掲示板の指示に従って、サイドスリップ、スピードメーター、ブレーキ、サイドブレーキ、ヘッドライト、排ガス、下回りと、これまでと同じく進んだ。ブレーキは踏み方が甘かったために1回×が出たが2回目で○、ヘッドライトはプリウスの場合一寸普通と違うようで、係りの人が制御室とインターフォンで何か連絡していたが、これも通過した。

これまでと同様に、受付から、書類審査、検査ラインまで、係りの人が皆大変親切に対応してくれて、本当に有難かった。

因みに、プリウスの1回目の車検では重量税が免除になっており、掛かった費用は、自賠責保険2年のほかは、OCRシート(20円)と審査料・検査料の収入印紙(1800円)を購入するのみであった。
(2010年7月8日)

追記4

プリウスの補器バッテリーの劣化、ハイブリッドシステムの始動不能

2年くらい前から、私の第2世代プリウス(DAA-NHW20)の補器用の鉛酸バッテリーが弱くなり、3週間くらい使わないでいるとハイブリッドシステムの起動ができないことがあった。ルームランプを点灯したまま放置したことが2回ほどあり、これがバッテリーの早い時期の劣化につながったと思っている。

バッテリー劣化で始動不能の場合、プリウスの補器バッテリーはトランクルームの下にあるため簡単にアクセスができないため、エンジンルーム内助手席側にあるターミナルボックスの黒色プラスチック蓋を開けて、その中の赤色カバーのバッテリー・プラス端子に接続することになる。

昨日(2012年3月10日)、2週間ほど駐車した後に始動しようとしたら、バッテリが弱くハイブリッドシステムのパワーエレクトロニクスが作動しないため始動しない。この時は、ドアの電子キーで開けるのがやっとで、トランクルームは開かない状態だった。

こんなこともあると思って通販で買っておいたバッテリーチャージャーで充電をしようと思ったら、全然充電してくれない。説明書を見るとバッテリー電圧が8V以下では作動しないと書いてある。

結局、ご近所の車のバッテリーからジャンバーケーブルで電流を貰い始動させた。このハイブリッドシステムの始動には殆ど電流を必要としないようで、小さな電池でもあれば始動できそうに思える。

インターネットで調べるとこのようなプリウスの補器バッテリーのトラブルは割りと多いようで、駆動用のニッケル水素電池には十分な電力があるので、電圧は違うが何とか駆動用電池から電力を融通してパワエレを始動するように出来ないものなのか? 新しいハイブリッド車も同じ設計になっているのかな?

プリウスの補器バッテリーの交換

2週間の駐車で始動しなくなる状況は正常ではないので、バッテリーを交換することにした。

今まで普通の車のバッテリー交換は何回もやってきたが、プリウスの電池は上述のようにトランクルームの下にあり、密閉式のメンテナンスフリーバッテリーにさらに水素排出のチューブを接続するようにした特別なものを使用している。狭い空間での水素による万一の発火のトラブルに対する用心のようである。

重いバッテリーを狭い場所で排気チューブ接続を含む交換作業をするのは億劫なので、ディーラーのサービスにお願いすることにした。私の車はプリウスのSグレードだが、10周年記念特別仕様車なのでスマートエントリーなどG仕様の装備になっているためにバッテリーの容量も普通のSグレードの34Ahの3割増の46Ahの大きなもので、費用は工賃込みでSの場合の約2万5千円に対して約3万9千円かかるとのこと。

念のために、カー用品販売・取り付けなどの専門店ではどんな値段か電話で聞いてみた。カー用品大手系列のA社、Y社、J社に車の仕様を伝えてバッテリー交換の費用を聞くと、Sグレード車は約2万8千円~約4万5千円、Gグレードは不明~約4万円~約4万8千円と、ディーラーより安い店はなかった。これらのカー用品系列店はディーラーより何割か安いという先入観があったので、これは意外だった。結局、プリウス販売店のサービス部門で約3万9千円でバッテリー交換をしてもらった。

もし自分で交換する場合は、バッテリーは例えばアマゾンで純正S34B20R互換(Sグレード)および純正S46B24R互換(Gグレード)と検索するとSグレード約1万円から、Gグレード約1万3千円から売っているので、この程度の費用で済ますことはできる。交換の方法は経験者のメモ(例えば、ここここ)がインターネットに出ている。
(2012.3.11)

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